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第二二話 答えの在り処
第二二話 一一
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まずは自分と真っ直ぐ向き合うこと。それは今までのように卑屈な考えに囚われることとは違う。それから困ったときは誰かに頼ること。視野を広く持つことは大事なことだと気づかされたばかりだ。
その二点を念頭に置きながら、慈乃はあえて食堂の真ん中の席で熟考していた。
「そんなところで何してんだ?」
訝しがりながらもスギナは慈乃に近づいた。慈乃は顔を上げると唐突に質問を投げかけた。
「スギナくんは、決断に迷ったときどうしますか?」
「な、なんだよ、藪から棒に……」
スギナは目を点にしていたが、慈乃の真剣な瞳に気づくと真面目に答えてくれた。
「そうだな……。オレはツクシに相談することが多いかな。やっぱり双子の兄だし」
「なになに~? ボクの名前が聞こえたんだけど~」
ツクシがひょっこりと姿を現した。背後にはホノ達も控えている。
「何かシノが質問してきたんだよ」
「はい。ツクシくんは迷いごとがあるとき、どうやって解決しますか?」
ツクシは逡巡してからけろりとした顔で答えた。
「ん~、気分~? やりたいことをやれば大体なんとかなってるかな~」
「なるほど……」
「え。こんな答えでいいのかよ」
スギナは啞然としていたが、慈乃にとっては十分にいいアドバイスだった。
「やりたいことをやってみる、ですか」
慈乃がツクシの言を繰り返すと、話を聞いていた子ども達も会話に加わってきた。
「オレは楽しければなんでもいいや!」
「オレもオレも」
挙手するレヤとフィオにホノが呆れた視線を送った。
「ちょっとは考えることも必要じゃないの?」
「むてっぽう、よくない……」
ウルフィニもホノに味方した。テオとメリルは互いに顔を見合わせて、首を傾げている。
「たのしいはうれしい?」
「うん。メリルはにこにこできたらいいとおもうよ」
子ども達の話も慈乃はしっかりと聞いていた。実に様々な考えがあると感心してしまう。
皆でわいわいと話していると、ウタセとニアも食堂にやって来た。
「みんなで集まって、何してるの?」
「相談会?」
「そうそう~。シノちゃんがね~」
その二点を念頭に置きながら、慈乃はあえて食堂の真ん中の席で熟考していた。
「そんなところで何してんだ?」
訝しがりながらもスギナは慈乃に近づいた。慈乃は顔を上げると唐突に質問を投げかけた。
「スギナくんは、決断に迷ったときどうしますか?」
「な、なんだよ、藪から棒に……」
スギナは目を点にしていたが、慈乃の真剣な瞳に気づくと真面目に答えてくれた。
「そうだな……。オレはツクシに相談することが多いかな。やっぱり双子の兄だし」
「なになに~? ボクの名前が聞こえたんだけど~」
ツクシがひょっこりと姿を現した。背後にはホノ達も控えている。
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ツクシは逡巡してからけろりとした顔で答えた。
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「なるほど……」
「え。こんな答えでいいのかよ」
スギナは啞然としていたが、慈乃にとっては十分にいいアドバイスだった。
「やりたいことをやってみる、ですか」
慈乃がツクシの言を繰り返すと、話を聞いていた子ども達も会話に加わってきた。
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「オレもオレも」
挙手するレヤとフィオにホノが呆れた視線を送った。
「ちょっとは考えることも必要じゃないの?」
「むてっぽう、よくない……」
ウルフィニもホノに味方した。テオとメリルは互いに顔を見合わせて、首を傾げている。
「たのしいはうれしい?」
「うん。メリルはにこにこできたらいいとおもうよ」
子ども達の話も慈乃はしっかりと聞いていた。実に様々な考えがあると感心してしまう。
皆でわいわいと話していると、ウタセとニアも食堂にやって来た。
「みんなで集まって、何してるの?」
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