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第二二話 答えの在り処

第二二話 一

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 思考は巡り続け、時に何の前触れもなく停止する。そんな日が十日近く続いた。その間、楽しげな会話を聞いたり笑顔を見たりすることが苦痛で、慈乃は誰かと顔を合わせることを極力避けていた。
 耳をすませばいつも以上に賑やかな声が階下や園庭から静かな慈乃の部屋にまで聞こえてきた。壁掛けのカレンダーをのろのろと見上げると、今日は学舎が休みの日だった。
 今日もまたぼんやりしているうちに一日が勝手に終わるだろう。
 半ば自棄になって慈乃が部屋の隅で膝を抱えていると、こんこんと扉が控えめに叩かれる音がした。珍しい来客の訪問に慈乃は扉を開けるべきか迷ったが無視もできなかったので、のっそり立ち上がると扉を開けた。
「おはよう、シノ姉」
「突然悪いわね。この子たちがどうしてもって聞かなくて」
 扉の向こうにはカルリアとクルル、ホノとメリルが佇んでいた。
「……何か、ご用ですか?」
 注意しないと聞きとれないような弱々しい声に、カルリアは心配そうに眉根を寄せた。一方でクルルは毅然とした態度を崩さず、ホノとメリルを前に押し出した。
「ほら、自分達で言うんでしょ」
 ホノとメリルは顔を見合わせて、声を揃えた。
「一緒に遊んでほしいの」
 慈乃の困惑に気づかないはずがないカルリアは申し訳なさそうに言い添えた。
「シノ姉が疲れてるのもお休み中なのも知ってるんだけど、この子たちはシノ姉としばらく遊べてないことが寂しいらしくって。無理にとは言えないけど、だめかな?」
 おずおずと慈乃が視線を下げれば、つぶらな瞳が二対、慈乃を見つめていた。
 お願いにはめっぽう弱い慈乃にはもちろん断れなかった。
「……私でよければ、お付き合いしますよ」
 ホノとメリルは跳び上がらんばかりに喜び、カルリアとクルルは安堵とも歓喜ともとれる顔を見合わせていた。
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