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第二〇話 過去と現在の狭間で

第二〇話 一一

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 食事が終わり、隣のカルリアのもとを訪ねる。ここでは果実水を売っていた。
「待ってたよー!」
 嬉々として駆け寄ってくるカルリアは躊躇わずに慈乃に抱き着いた。驚いた慈乃は声も出せず硬直していたが、カルリアの友人らしき女子生徒が笑いながら「やめたげなよー」と声を飛ばすと、カルリアはようやく慈乃を解放した。
「売り切ればっかりで今はレモン水しかないんだけど、いい?」
「はい」
「うん、いいよ」
 カルリアは代金を受け取ると、レモン水のビンを二本差し出した。
「シノ姉達はどこを回ってきたの?」
 ウタセが指折り数えながら立ち寄ったクラスの子ども達の名前を挙げていく。
「じゃあ、あとはクルルとトゥナのところだけなんだ。私、昨日行ってきたけど迷路やってたよ。すごかった」
「珍しく体験型なんだね」
 ウタセがパンフレットを眺めながら感心したような声を上げる。慈乃はぼんやりと「迷路……」と呟いた。いつかの光景を思い出しかける。
 カルリアは慈乃の様子には気づかず、楽しそうに話し続けた。
「そうそう」
「もー、リアー。接客放棄しないでよー」
 ここで慈乃達と話し込んでいたカルリアは友人に定位置に連れ戻された。
「また家でねー」
 手を振るカルリアに、慈乃とウタセは苦笑いして手を振り返した。
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