243 / 454
第一八話 蕾のリンドウ
第一八話 四
しおりを挟む
翌日、ミトドリは午前中に教会に出向いて、午後にはリンドウを連れて学び家に戻ってきた。先に対面を済ませたニアにホノ達のことを任せて、慈乃とツクシは入れ替わるように客間へ向かった。
「資料は読んだけど、実際どんな子なんだろうね~」
玄関で内履きに履き替えながら、ツクシが慈乃に問いかける。
「……」
一方、慈乃は緊張のために珍しくツクシの話を聞き逃していた。ツクシに名前を呼ばれて、はっと我に返る。
「す、すみません……! 何のお話でしたか?」
「リンくんはどんな子かな~って話だよ~。それにしてもシノちゃん、すごい緊張してるね~」
当初に比べたらひととの関わり合いにも慣れてきた慈乃だったが、人見知りが治ったわけではない。相手は年下といえど、初対面ともなると緊張するなという方が無理な話だった。
慈乃が顔を強張らせて黙り込んでいると、ツクシは勇気づけるように慈乃の肩をぽんとぽんと軽く叩いた。
「リラックス~、リラックス~。シノちゃんがそんなだと、リンくんも警戒しちゃうよ~」
「う……。そう、ですよね……」
「こういう時はね~、深呼吸だよ~」
言われた通りに数回深呼吸をしてみると、いくらか気持ちが落ち着いた。先ほどよりも硬さが抜けた慈乃の表情を確認して、ツクシが「そんじゃ~、行ってみよ~」と歩き出す。慈乃もその後を追って客間に入った。
客間にはミトドリとリンドウの他に、ウタセとスギナもいた。
最後に入室した慈乃が扉をそっと閉めると、ミトドリが話し始めた。
「資料は読んだけど、実際どんな子なんだろうね~」
玄関で内履きに履き替えながら、ツクシが慈乃に問いかける。
「……」
一方、慈乃は緊張のために珍しくツクシの話を聞き逃していた。ツクシに名前を呼ばれて、はっと我に返る。
「す、すみません……! 何のお話でしたか?」
「リンくんはどんな子かな~って話だよ~。それにしてもシノちゃん、すごい緊張してるね~」
当初に比べたらひととの関わり合いにも慣れてきた慈乃だったが、人見知りが治ったわけではない。相手は年下といえど、初対面ともなると緊張するなという方が無理な話だった。
慈乃が顔を強張らせて黙り込んでいると、ツクシは勇気づけるように慈乃の肩をぽんとぽんと軽く叩いた。
「リラックス~、リラックス~。シノちゃんがそんなだと、リンくんも警戒しちゃうよ~」
「う……。そう、ですよね……」
「こういう時はね~、深呼吸だよ~」
言われた通りに数回深呼吸をしてみると、いくらか気持ちが落ち着いた。先ほどよりも硬さが抜けた慈乃の表情を確認して、ツクシが「そんじゃ~、行ってみよ~」と歩き出す。慈乃もその後を追って客間に入った。
客間にはミトドリとリンドウの他に、ウタセとスギナもいた。
最後に入室した慈乃が扉をそっと閉めると、ミトドリが話し始めた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
右手に剣、左手にカエル姫
家紋武範
ファンタジー
勇士グレイブは単騎で獅子奮迅の働きをするも、多勢に無勢。
敵に捕まってしまった。
敵から見ればにっくきグレイブだ。
なんとか仕返ししてやりたい。
敵はニヤリと笑った。
手元のバケツには洞窟で拾ったカエルが入っていた。
それと結婚させようと言うのだ。
グレイブの国では一度結婚してしまうと離婚はできない。
その妻と一生を添い遂げなくてはいけないのだ。
あわれ、勇士グレイブはカエルと結婚させられたのであった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
薬屋の少女と迷子の精霊〜私にだけ見える精霊は最強のパートナーです〜
蒼井美紗
ファンタジー
孤児院で代わり映えのない毎日を過ごしていたレイラの下に、突如飛び込んできたのが精霊であるフェリスだった。人間は精霊を見ることも話すこともできないのに、レイラには何故かフェリスのことが見え、二人はすぐに意気投合して仲良くなる。
レイラが働く薬屋の店主、ヴァレリアにもフェリスのことは秘密にしていたが、レイラの危機にフェリスが力を行使したことでその存在がバレてしまい……
精霊が見えるという特殊能力を持った少女と、そんなレイラのことが大好きなちょっと訳あり迷子の精霊が送る、薬屋での異世界お仕事ファンタジーです。
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
【 本編 完結 】結婚式当日に召喚された花嫁は、余興で呼ばれた聖女、でした!?
しずもり
ファンタジー
まだ私が少女と呼ばれるような歳の頃、私は聖女として異世界に召喚された。
そこで聖女として穢れを祓う旅に出て務めを果たし、恋人と再会を約束し、そして元の世界へと戻された。
元の世界に戻った私は、、、現実を知る。
恋人は本当に私を呼び戻すつもりがあったのだろうか?
そして十年。夢から覚めきった私は今日、結婚する。
・・・・・・・・・はず、だった?
そして気付けば異世界への再召喚は、元恋人の結婚式の宴(二次会)の余興でした!?
独自のなんちゃって異世界ゆるゆる設定になります。
コメディ要素が多めかも?
気をつけているつもりですが、誤字脱字があると思います。気付き次第、修正はかけます。
感想欄は本編完結辺りで期間限定で解放する予定です。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
究極のポーター 最弱の男は冒険に憧れる
長野文三郎
ファンタジー
異世界に転移した宮田一平のステータスはひどいものだった。ヒットポイントは8しかないし、攻撃力と防御力はそれぞれ3と5しかない。攻撃魔法も一切使えず、実戦に出れば即死は免れないステータスだ。
しかし回復魔法と生産スキルだけは突出していた。
これは誰よりも冒険に憧れる男が、上がらないレベルと紙の防御力に苦しめられながら、ダンジョン最深部を目指す物語。
第五回ネット小説大賞で最終選考まで残った作品です。
「小説家になろう」にて完結していますが、修正作業をしながらの投稿です。
稀代の大賢者は0歳児から暗躍する〜公爵家のご令息は運命に抵抗する〜
撫羽
ファンタジー
ある邸で秘密の会議が開かれていた。
そこに出席している3歳児、王弟殿下の一人息子。実は前世を覚えていた。しかもやり直しの生だった!?
どうしてちびっ子が秘密の会議に出席するような事になっているのか? 何があったのか?
それは生後半年の頃に遡る。
『ばぶぁッ!』と元気な声で目覚めた赤ん坊。
おかしいぞ。確かに俺は刺されて死んだ筈だ。
なのに、目が覚めたら見覚えのある部屋だった。両親が心配そうに見ている。
しかも若い。え? どうなってんだ?
体を起こすと、嫌でも目に入る自分のポヨンとした赤ちゃん体型。マジかよ!?
神がいるなら、0歳児スタートはやめてほしかった。
何故だか分からないけど、人生をやり直す事になった。実は将来、大賢者に選ばれ魔族討伐に出る筈だ。だが、それは避けないといけない。
何故ならそこで、俺は殺されたからだ。
ならば、大賢者に選ばれなければいいじゃん!と、小さな使い魔と一緒に奮闘する。
でも、それなら魔族の問題はどうするんだ?
それも解決してやろうではないか!
小さな胸を張って、根拠もないのに自信満々だ。
今回は初めての0歳児スタートです。
小さな賢者が自分の家族と、大好きな婚約者を守る為に奮闘します。
今度こそ、殺されずに生き残れるのか!?
とは言うものの、全然ハードな内容ではありません。
今回も癒しをお届けできればと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる