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第一七話 夏の終わりに縁日を
第一七話 二二
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ひとしきり縁日を楽しんだと、慈乃はふと空を見上げた。夕方の橙色は消え去り、ちらちらと星が瞬く夜空に変化していた。小さい子ども達も参加しているのでそろそろお開きになるのだろうかと、少しだけ名残惜しく思った。
案の定、ミトドリから終了の合図が出される。
これで夏も終わるのかとしみじみしていると、目の前に何かが差し出された。
「そんなしんみりした顔しないで。まだこれがあるんだから」
ウタセが笑顔とともに示す『これ』を慈乃は戸惑いながらも受け取った。頭上の照明の薄らぼんやりした灯りを頼りに目を凝らす。
「これって、花火ですか……?」
「うん。学び家の縁日の締めは花火って決まってるんだ」
いつの間にかテオも花火を手にしていて、その目は期待にきらきらと輝いていた。
「ぼく、はなびすき!」
「ね、綺麗だものね」
園庭の中央に小さな焚火を起こしたミトドリが「いいよ」と言うと、テオをはじめ子ども達は一斉にそちらへ駆けて行く。
火を手持ち花火に移すと途端に周囲が鮮やかな光に彩られた。中には花火を振り回している子もいてスギナに注意されていたが、それすらもこの光景にはふさわしいと思える。
花火を眺めているとなんだか感傷的になってくる。
この夏は慈乃の人生において最も充実したものだった。夏風邪に始まり、プール開き、遠足、縁日。フロリアのお忍びに付き合ったこともあった。こんなにも思い出が次から次へと溢れてくるなんて、夢のようだと思ってしまう。
春も夏も過ぎ去って、間もなく秋がやってくる。こちらに来て変わりだした慈乃の世界はこれからどんな色に染まっていくだろう。手にしていた花火に火をつけ、その光を眺めながら、慈乃は未来に思いを馳せた。
案の定、ミトドリから終了の合図が出される。
これで夏も終わるのかとしみじみしていると、目の前に何かが差し出された。
「そんなしんみりした顔しないで。まだこれがあるんだから」
ウタセが笑顔とともに示す『これ』を慈乃は戸惑いながらも受け取った。頭上の照明の薄らぼんやりした灯りを頼りに目を凝らす。
「これって、花火ですか……?」
「うん。学び家の縁日の締めは花火って決まってるんだ」
いつの間にかテオも花火を手にしていて、その目は期待にきらきらと輝いていた。
「ぼく、はなびすき!」
「ね、綺麗だものね」
園庭の中央に小さな焚火を起こしたミトドリが「いいよ」と言うと、テオをはじめ子ども達は一斉にそちらへ駆けて行く。
火を手持ち花火に移すと途端に周囲が鮮やかな光に彩られた。中には花火を振り回している子もいてスギナに注意されていたが、それすらもこの光景にはふさわしいと思える。
花火を眺めているとなんだか感傷的になってくる。
この夏は慈乃の人生において最も充実したものだった。夏風邪に始まり、プール開き、遠足、縁日。フロリアのお忍びに付き合ったこともあった。こんなにも思い出が次から次へと溢れてくるなんて、夢のようだと思ってしまう。
春も夏も過ぎ去って、間もなく秋がやってくる。こちらに来て変わりだした慈乃の世界はこれからどんな色に染まっていくだろう。手にしていた花火に火をつけ、その光を眺めながら、慈乃は未来に思いを馳せた。
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1話約1000文字です
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02章――冒険の始まり・死に続ける
03章――『超越者』・騎士の国へ
04章――森の守護獣・イベント参加
05章――ダンジョン・未知との遭遇
06章──仙人の街・帝国の進撃
07章──強さを求めて・錬金の王
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