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第一七話 夏の終わりに縁日を

第一七話 一六

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 夏の日は長いが、時計を見れば針は午後六時を示していた。青かった空は橙色を帯び始めている。
 ミトドリ達が撤収しているのを見て、慈乃も立ち上がった。
「飾りつけも十分ですし、そろそろおしまいにしましょうか」
「うん。かなり良くなったもんね」
 ライモが慈乃に続いて立ち上がると、他の子ども達も片付けを始めた。慈乃も使った道具を拾い集めながら、園庭にちらりと視線を向けた。
 広い園庭には屋台が六つある。そのどれもがカラフルに装飾されており、各班の個性を反映していた。ふと見上げた頭上を渡る張子は昼間よりも数が増えており、地面にはどこかから移動させたと思しき鉢植えが十数個設置されていた。ぱっと見は夏の花祭のようだが、よくよく見ると学び家らしさが醸し出されていて、慈乃は我知らず微笑を浮かべた。
 子ども達から集めた道具を回収していた慈乃は、最後に受け取ったライモに確認をした。
「これで片付けるものは全てですよね」
「うん、そうだよ」
 ライモの一声を合図に、子ども達の集中力は切れたようだった。慈乃達がぞろぞろと玄関に向かう間にも、気の抜けた会話が交わされる。
「うわっ、めちゃくちゃ日焼けしてる!」
「ぼくもくろくなった」
「フィオもテオもすごい焼けてるーってわたしもだ!」
「……うん、お腹空いた」
「今日はよく動いたものねぇ。夕飯が楽しみねぇ、ヒーさん」
「ああ」
 慈乃も一日動きっぱなしで疲れはあったが、嫌な疲労感ではなかった。皆の会話を耳にしながら、今日の頑張りを労うような夕食を作ろうと、慈乃は密かに張り切っていた。
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