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第一七話 夏の終わりに縁日を
第一七話 一〇
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「いらっしゃいませ。……あ」
「あなたは……」
店員は花見のときに初対面した学び家出身の男子、ハツだった。彼も慈乃には見覚えがあるらしく、数瞬考える素振りを見せた。
「思い出した。シノさん、だっけ?」
「はい。お花見のとき以来ですね」
ヨルメイとアスキは親しげにハツに挨拶した。アスキがひらひらと手を振るのへ、ハツも仏頂面ながら手を振り返す。
「この時期にこんなとこに来るってことは、ウタ兄さんのおつかい? それとも縁日の買い出し?」
ハツは慈乃に視線を戻すと淡々と尋ねた。慈乃にとってはやや緊張する対応だが、なんとかどもらずに話すことができた。
「縁日です。かき氷のシロップを探していて」
「ああ。前にウタ兄さんが言ってたから一応用意しといたよ」
他にはないかと訊かれて首を横に振れば、会計に通された。スムーズに買い物を済ませた慈乃達はハツにお礼を言うと店を出る。大通りに出ると、ひとの賑わいと眩しい陽光が戻って来た。
「早くに買い物が終わってよかったですね」
ヨルメイは日射しの強さに目を細めた。アスキは目を瞬かせている。
「そうですね。集合場所に行きましょうか」
「あなたは……」
店員は花見のときに初対面した学び家出身の男子、ハツだった。彼も慈乃には見覚えがあるらしく、数瞬考える素振りを見せた。
「思い出した。シノさん、だっけ?」
「はい。お花見のとき以来ですね」
ヨルメイとアスキは親しげにハツに挨拶した。アスキがひらひらと手を振るのへ、ハツも仏頂面ながら手を振り返す。
「この時期にこんなとこに来るってことは、ウタ兄さんのおつかい? それとも縁日の買い出し?」
ハツは慈乃に視線を戻すと淡々と尋ねた。慈乃にとってはやや緊張する対応だが、なんとかどもらずに話すことができた。
「縁日です。かき氷のシロップを探していて」
「ああ。前にウタ兄さんが言ってたから一応用意しといたよ」
他にはないかと訊かれて首を横に振れば、会計に通された。スムーズに買い物を済ませた慈乃達はハツにお礼を言うと店を出る。大通りに出ると、ひとの賑わいと眩しい陽光が戻って来た。
「早くに買い物が終わってよかったですね」
ヨルメイは日射しの強さに目を細めた。アスキは目を瞬かせている。
「そうですね。集合場所に行きましょうか」
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