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第一七話 夏の終わりに縁日を

第一七話 五

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 こんな調子で三人で談笑していると、談話室の扉が開いた。姿を現したのはにこにことしたツクシとやや疲れた顔をしたスギナだった。
 スギナは目をまるくして先客である慈乃達をまじまじと見つめた。
「なんだ。いないと思ったら三人揃ってこんなとこにいたのか」
「みんなお疲れ様~」
 ツクシはひらひらと片手を振って、慈乃達に歩み寄ってくる。彼らの目的も青のファイルだったようで、机に置かれたそれをツクシが真っ先に手に取った。ツクシが開いたページを、スギナが横から覗き込んだ。
「へ~。リンドウくんっていうんだね~」
「なんか気難しそうな感じだな」
「それ、スギナが言うの~?」
「オレを見んなよ。資料を見ろ、資料を」
 スギナは一瞬だけ横目にツクシを睨んだが、すぐに視線を紙面上に落とした。ツクシも言われたように再度文書に目を通す。
 数分かけて情報を読み終えた彼らもまた厳しい表情をしていた。
「なんか……不安だな」
 スギナにしては珍しく、歯切れ悪く呟く。ツクシもそれに同意した。
「それになんとなくだけど~、ちょっと前のシノちゃんに似てない~? 暗い雰囲気とか~」
「お前なぁ、言い方を考えろよ」
 ツクシの直截的な感想にスギナは眉をひそめたが、当の慈乃は否定することもなくただ頷いた。
「ええ。私も同じことを思いました」
「その上反抗期なんだ~」
 ツクシは短い間口をつぐんでいたが、やがて慈乃を上目遣いに見上げた。
「もしかしたらシノちゃんは特に気を付けた方がいいかも~」
 若草色の瞳が慈乃を射抜く。不吉な予言に慈乃は固まった。
 リンドウのような子どもの扱いにもある程度通じているニアとウタセには、ツクシの言わんとしていることが予測できたらしい。口を挟まずに静かに成り行きを見守っている。
「えっと……。どういうこと、でしょう?」
 こわごわと慈乃が口を開けば、ツクシは目を細めた。
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