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第一四話 輝く夏の始まりは
第一四話 八
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翌日は学舎の夏休み前最後の休日で、学舎組は浮足立った雰囲気に包まれている。
そんな今日は不定期開催のニアの料理教室が開講しており、いつにも増して参加者がいるのだった。ニア主導のもと、慈乃とウタセは子ども達のフォローにまわる。
ニアの明るい声が食堂に響いた。
「で、うどんの粉に水を入れたらよくこねる」
「あらあらぁ。粉が舞ってしまうわぁ」
「大丈夫。味は、変わらない……」
「それはそうかもしれないけど、シキブはもっと丁寧にやろう? ラギも止めなきゃ」
サーヤは粉にせき込みながら、呆れた眼差しをシキブとヒイラギに送った。
以前、お菓子作りをする日の朝食の席でシキブの料理の腕についてニアが苦い顔をしていたことを思い出す。眼前の光景から慈乃も思わず納得してしまった。とはいえ、サーヤと一応ヒイラギもついているのでフォローは必要なさそうだと判断し、隣のテーブルに視線を移した。
「どう、スイお兄ちゃん。じょうず?」
「うん、上手だよ」
テオが輝いた目をむけるのへ、スイセンはにっこりと微笑み返した。こちらは粉を舞わせることなく、順調そうだ。
まだ三歳のミオとマリカにはウタセがつき、直接教えている。他にもクルルとホノ、カルリアとメリルは協力し合っていたり、タムは半分寝ながら手を動かしていてヨルメイ、アスキ、ライモを驚かせていたりした。
そんな今日は不定期開催のニアの料理教室が開講しており、いつにも増して参加者がいるのだった。ニア主導のもと、慈乃とウタセは子ども達のフォローにまわる。
ニアの明るい声が食堂に響いた。
「で、うどんの粉に水を入れたらよくこねる」
「あらあらぁ。粉が舞ってしまうわぁ」
「大丈夫。味は、変わらない……」
「それはそうかもしれないけど、シキブはもっと丁寧にやろう? ラギも止めなきゃ」
サーヤは粉にせき込みながら、呆れた眼差しをシキブとヒイラギに送った。
以前、お菓子作りをする日の朝食の席でシキブの料理の腕についてニアが苦い顔をしていたことを思い出す。眼前の光景から慈乃も思わず納得してしまった。とはいえ、サーヤと一応ヒイラギもついているのでフォローは必要なさそうだと判断し、隣のテーブルに視線を移した。
「どう、スイお兄ちゃん。じょうず?」
「うん、上手だよ」
テオが輝いた目をむけるのへ、スイセンはにっこりと微笑み返した。こちらは粉を舞わせることなく、順調そうだ。
まだ三歳のミオとマリカにはウタセがつき、直接教えている。他にもクルルとホノ、カルリアとメリルは協力し合っていたり、タムは半分寝ながら手を動かしていてヨルメイ、アスキ、ライモを驚かせていたりした。
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