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第一二話 私と僕はどこか似ている
第一二話 八
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いくつも聞いた話のうち、慈乃でも説明できそうなものを例に出した。
「オウゴンという生薬はコガネバナの根からできていて、コガネバナというと黄色の花を想像するけれど、黄色いのは根であって花は紫色だという話でした」
ラオンは当然知っているであろうその話を、まるで初めて聞くかのように楽しそうに聞いてくれる。慈乃と話すことはもちろん、慈乃の話を通してみるウタセの成長も喜んでいるようだった。
「黄色といえば、山梔子の話は聞いたことある?」
「えっと……?」
「クチナシの果実で、生薬としても使えるけど、黄色の着色料としても使えるっていう」
そこまで言われて、慈乃にも思い当たるものがあった。
「栗きんとんの、でしたか?」
「そうそう。今はサツマイモを混ぜて黄色を出すのもあるけど、従来の栗きんとんっていったら山梔子の色素を使うんだよね。山梔子に含まれる成分名はクロシンっていうんだけど、これはサフランの色素成分と一緒なんだよ」
流れるようなラオンの話に、いつの間にか慈乃は夢中になって聞き入っていた。
「サフランも生薬として柱頭部分を使うんだけど、最近ではお菓子の飾りにも使うって聞いたことあるよ」
「でしたら、どこかで見かけたことがあるかもしれません」
真面目な顔でそう言った慈乃を、ラオンは目を細めて見た。
「シノちゃん、薬師の素質あるよ。小さい頃のウタくんみたい」
「……話を聞くのは好きですが、技術として用いるのは難しそうですし、向いていないかと」
「そっかー。でもそれを抜きにしても、シノちゃんと話すのは楽しいよ。話に興味を持ってくれてるんだなってよくわかる。ウタくんがあれこれ話すのも納得かな」
ラオンは隣に顔を向けて、微笑んだ。
「ね、兄さんもそう思わない?」
途中から慈乃とラオンの会話を聞いていたらしいレゲは、ラオンの問いかけに小さく頷いた。
「オウゴンという生薬はコガネバナの根からできていて、コガネバナというと黄色の花を想像するけれど、黄色いのは根であって花は紫色だという話でした」
ラオンは当然知っているであろうその話を、まるで初めて聞くかのように楽しそうに聞いてくれる。慈乃と話すことはもちろん、慈乃の話を通してみるウタセの成長も喜んでいるようだった。
「黄色といえば、山梔子の話は聞いたことある?」
「えっと……?」
「クチナシの果実で、生薬としても使えるけど、黄色の着色料としても使えるっていう」
そこまで言われて、慈乃にも思い当たるものがあった。
「栗きんとんの、でしたか?」
「そうそう。今はサツマイモを混ぜて黄色を出すのもあるけど、従来の栗きんとんっていったら山梔子の色素を使うんだよね。山梔子に含まれる成分名はクロシンっていうんだけど、これはサフランの色素成分と一緒なんだよ」
流れるようなラオンの話に、いつの間にか慈乃は夢中になって聞き入っていた。
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「でしたら、どこかで見かけたことがあるかもしれません」
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「シノちゃん、薬師の素質あるよ。小さい頃のウタくんみたい」
「……話を聞くのは好きですが、技術として用いるのは難しそうですし、向いていないかと」
「そっかー。でもそれを抜きにしても、シノちゃんと話すのは楽しいよ。話に興味を持ってくれてるんだなってよくわかる。ウタくんがあれこれ話すのも納得かな」
ラオンは隣に顔を向けて、微笑んだ。
「ね、兄さんもそう思わない?」
途中から慈乃とラオンの会話を聞いていたらしいレゲは、ラオンの問いかけに小さく頷いた。
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