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笑わないアイドルが陥れられて転落人生!?誰が敵なのか味方なのか。大逆転ハッピーエンド。
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【氷の貴公子】
そんなキャッチコピーが付いている受けは、笑わないアイドル。
人気タレントのトップに君臨している。
『スーパーアルファ様』と持て囃されているが、実はオメガだ。
そんなオメガが初めてスクープされた。
相手は先輩アイドルのアルファ。
絶大な人気を誇る人だった。
しかしオメガと先輩アルファはただの友達。
先輩には密かに番がいる。
恋人以外のフェロモンが届かないのはオメガにとっても都合は良いため、仕事でもよく一緒になっていた。
「これから移動だけど、外にストーカーがいるから気をつけて」
マネージャーが声を掛けにくる。
先輩アルファは「まだストーカーに狙われてるの?」と、心配してくれた。
「もう、三年くらいかな」
どれだけ出禁にしても通い詰めている。
事務所も手を焼いてる人だ。
「もしかして、そいつがでっち上げた記事だったりして」
「あいつがそんな大それたこと、出来るわけないっすよ」
ただ、パパラッチとも思えない。
週刊誌に載るなら事前に連絡が入るはず。
SNSから突然情報が流れたのも不自然だった。
外に出た瞬間、目が眩むほどのフラッシュに襲われる。
真相が聞きたいと口々に叫ぶマスコミ。
(頭が痛い。吐き気がする)
騒動が起きてから、過度のストレスで体調を崩しがちだった。
マンションに帰ると直ぐに電話をかける。
セフレのバンドマン。
同じマンションに住んでいて都合がよかった。
部屋に来るなり抱きつく。
「早く抱いてよ」自ら服を脱ぐ。
バンド君は直ぐにオメガを抱いてくれた。
付き合う気持ちはお互いなく、単に利害関係が一致しただけの間柄。
体の相性も良かった。
「まだ、落ち着けそうにないな」
アフターピルをオメガに飲ませながら言う。
オメガは盛大にため息を吐いた。
しかし仕事は休めない。
毎日、容赦なくマネージャーが迎えに来た。
「今日はまず事務所で打ち合わせです」
「はいはい」
生意気な返事を返し、従う。
バンド君のおかげで、体調も安定している。
今日もアルファとして仕事をこなせるだろう。
事務所で後輩アイドルが心配して声をかけてくれた。
オメガも可愛がっている有望株。
ベータだが、事務所も力を入れている。
「大丈夫だから、ありがとう」と気遣いに感謝しておく。
マスコミに集られながら仕事をこなし、なんとか一日を乗り越えた。
「今日もストーカー君は頑張ってたな」
「どれだけ言っても聞かないから困っています。写真まで撮るし。くれぐれも外に出ないでくださいね」
口うるさく注意すると、マネージャーは帰っていった。
「流石に、それは行かないでしょ」
愚痴を言いながら部屋へと入る。
そんな渦中、さらなる噂が流れる。
表向きアルファと言っているバース性が暴かれた。
本当のバース性を知っているのは、事務所でも限られている。
(誰かが俺を裏切った?)
流石に自宅待機を強いられた。
十日ほど経った頃、オメガを心配して後輩アイドルから連絡がきた。
『僕しかいないので、息抜きに飲みに来ませんか?』
引きこもりに辟易としていた時だったオメガは「ちょっとくらいなら……」と、後輩のいるバーに出向く。
後輩はVIPルームをとってくれていた。
「事務所の人たちも、心配してますよ」
低めのトーンで話す。
「別に、どうにでもなれって感じ」
自暴自棄になっていた。投げやりな言葉を吐くオメガ。
「そうですか。どうなっても良いと……」不敵に口角を上げる。
「なんだこれ……急に体が熱くなって……カクテルに何か入れたのか!?」
酷い眩暈で椅子から崩れ落ちた。
見上げると、後輩が見下すように眺めている。
「発情誘発剤ですよ。もしあなたが本当にアルファなら、問題ないはずですが……」
「一体、何がしたい?」
「僕は何もしません。彼がするんですよ」
室内に入れと誰かに指示を送る。
ドアが開き、姿を現したのはストーカーだった。
オメガを見て興奮している。
「別に、ベータでもあなたを抱けます」
「や……めろ……」
「止めるわけないでしょ。ハメ撮りの動画を流して、あなたを再起不能にする。そうしたら、やっと僕が脚光を浴びる」
「最初から、全部お前の仕業だったのか」
後輩アイドルは裏垢を使ってガセ情報を流し、ストーカーを誑かして協力させた。
オメガを襲えと指示を出す。
抵抗するが、無理矢理引き出されたヒートで、意識が朦朧としている。
薄れゆく意識の中で、部屋の外が騒がしいと気付いた。
ドアに体当たりし、飛び込んできたのはバンド君だった。
「なんで、お前がここに?」
「GPS。あんたのマネから、謹慎中の監視役を頼まれてた。気付くのが遅くなって悪い」
話しながら、ストーカーを投げ飛ばす。
その五分後にはマネージャーも到着した。
後輩アイドルとストーカーはバンド君が引き受け、マネージャーはオメガを車に乗せてマンションへ向かう。
「……ごめん」
「説教はヒートが終わってからします」
マネージャーの呼吸が荒い。
駆けつけたから息切れしてるのかと思ったが、どうも違う。
なんとか自室に戻ると、そのままベッドに傾れ込んだ。
「やっぱり、もっと早く君と番になるべきでした」
「マネって、ベータじゃないの?」
「私は今まで一度も自分がベータと言ったことはないですよ」
そう言われれば、事務所の人たちはみんなこの人をベータと思い込んでいた。
「私は、アルファです」
「早く言ってよ。でも、俺みたいなのは恋愛対象じゃないでしょ?」
タレントはあくまでも商品。
そう自嘲すると、突然唇を奪われた。
「これでも、そんなことを言いますか?」
熱い眼差しはヒートに当てられているからだけではない。
「ずっと見ていました。練習生の頃から」
「覚えてる。俺もずっと見てたから。自分のマネに指名したのも、俺自身だし」
マネージャーに腕を回す。
「この熱を、鎮めてくれるんだろ?」
激しくお互いを求め合った。
「もう、私以外の人を頼らないでください」
マネージャーから好意を寄せられていたとは僅かにも思っていなかったオメガは、驚きつつも、自分の全てを委ねた。
その後、バンド君とのセフレを解消。
マネージャーと同棲を始める。
二人が番になる頃、炎上はようやく鎮静。
噛み跡の付いた頸を見せて記者会見し、オメガを公表した。
続けて先輩アルファも番がいると発表。再び世間を驚かせた。
後輩アイドルは解雇の後、ストーカーと共に警察へ突き出された。
「もっと早く、俺が好きって言ってくれれば良かったのに」
「芸能界がそんなに簡単じゃないと、知ってるでしょう?」
「そうだけど……そういえば、子供作りたい?」
「休んでいた分の仕事が詰まってます。ピルを飲むのをお忘れなく!」
厳しいな、と口を尖らせる。
それでも夜な夜なオメガに逆らえず抱いてしまうマネージャー。
オメガはそれからよく笑うようになり、いつしか【氷の貴公子】と呼ばれなくなしましたとさ。
おしまい。
そんなキャッチコピーが付いている受けは、笑わないアイドル。
人気タレントのトップに君臨している。
『スーパーアルファ様』と持て囃されているが、実はオメガだ。
そんなオメガが初めてスクープされた。
相手は先輩アイドルのアルファ。
絶大な人気を誇る人だった。
しかしオメガと先輩アルファはただの友達。
先輩には密かに番がいる。
恋人以外のフェロモンが届かないのはオメガにとっても都合は良いため、仕事でもよく一緒になっていた。
「これから移動だけど、外にストーカーがいるから気をつけて」
マネージャーが声を掛けにくる。
先輩アルファは「まだストーカーに狙われてるの?」と、心配してくれた。
「もう、三年くらいかな」
どれだけ出禁にしても通い詰めている。
事務所も手を焼いてる人だ。
「もしかして、そいつがでっち上げた記事だったりして」
「あいつがそんな大それたこと、出来るわけないっすよ」
ただ、パパラッチとも思えない。
週刊誌に載るなら事前に連絡が入るはず。
SNSから突然情報が流れたのも不自然だった。
外に出た瞬間、目が眩むほどのフラッシュに襲われる。
真相が聞きたいと口々に叫ぶマスコミ。
(頭が痛い。吐き気がする)
騒動が起きてから、過度のストレスで体調を崩しがちだった。
マンションに帰ると直ぐに電話をかける。
セフレのバンドマン。
同じマンションに住んでいて都合がよかった。
部屋に来るなり抱きつく。
「早く抱いてよ」自ら服を脱ぐ。
バンド君は直ぐにオメガを抱いてくれた。
付き合う気持ちはお互いなく、単に利害関係が一致しただけの間柄。
体の相性も良かった。
「まだ、落ち着けそうにないな」
アフターピルをオメガに飲ませながら言う。
オメガは盛大にため息を吐いた。
しかし仕事は休めない。
毎日、容赦なくマネージャーが迎えに来た。
「今日はまず事務所で打ち合わせです」
「はいはい」
生意気な返事を返し、従う。
バンド君のおかげで、体調も安定している。
今日もアルファとして仕事をこなせるだろう。
事務所で後輩アイドルが心配して声をかけてくれた。
オメガも可愛がっている有望株。
ベータだが、事務所も力を入れている。
「大丈夫だから、ありがとう」と気遣いに感謝しておく。
マスコミに集られながら仕事をこなし、なんとか一日を乗り越えた。
「今日もストーカー君は頑張ってたな」
「どれだけ言っても聞かないから困っています。写真まで撮るし。くれぐれも外に出ないでくださいね」
口うるさく注意すると、マネージャーは帰っていった。
「流石に、それは行かないでしょ」
愚痴を言いながら部屋へと入る。
そんな渦中、さらなる噂が流れる。
表向きアルファと言っているバース性が暴かれた。
本当のバース性を知っているのは、事務所でも限られている。
(誰かが俺を裏切った?)
流石に自宅待機を強いられた。
十日ほど経った頃、オメガを心配して後輩アイドルから連絡がきた。
『僕しかいないので、息抜きに飲みに来ませんか?』
引きこもりに辟易としていた時だったオメガは「ちょっとくらいなら……」と、後輩のいるバーに出向く。
後輩はVIPルームをとってくれていた。
「事務所の人たちも、心配してますよ」
低めのトーンで話す。
「別に、どうにでもなれって感じ」
自暴自棄になっていた。投げやりな言葉を吐くオメガ。
「そうですか。どうなっても良いと……」不敵に口角を上げる。
「なんだこれ……急に体が熱くなって……カクテルに何か入れたのか!?」
酷い眩暈で椅子から崩れ落ちた。
見上げると、後輩が見下すように眺めている。
「発情誘発剤ですよ。もしあなたが本当にアルファなら、問題ないはずですが……」
「一体、何がしたい?」
「僕は何もしません。彼がするんですよ」
室内に入れと誰かに指示を送る。
ドアが開き、姿を現したのはストーカーだった。
オメガを見て興奮している。
「別に、ベータでもあなたを抱けます」
「や……めろ……」
「止めるわけないでしょ。ハメ撮りの動画を流して、あなたを再起不能にする。そうしたら、やっと僕が脚光を浴びる」
「最初から、全部お前の仕業だったのか」
後輩アイドルは裏垢を使ってガセ情報を流し、ストーカーを誑かして協力させた。
オメガを襲えと指示を出す。
抵抗するが、無理矢理引き出されたヒートで、意識が朦朧としている。
薄れゆく意識の中で、部屋の外が騒がしいと気付いた。
ドアに体当たりし、飛び込んできたのはバンド君だった。
「なんで、お前がここに?」
「GPS。あんたのマネから、謹慎中の監視役を頼まれてた。気付くのが遅くなって悪い」
話しながら、ストーカーを投げ飛ばす。
その五分後にはマネージャーも到着した。
後輩アイドルとストーカーはバンド君が引き受け、マネージャーはオメガを車に乗せてマンションへ向かう。
「……ごめん」
「説教はヒートが終わってからします」
マネージャーの呼吸が荒い。
駆けつけたから息切れしてるのかと思ったが、どうも違う。
なんとか自室に戻ると、そのままベッドに傾れ込んだ。
「やっぱり、もっと早く君と番になるべきでした」
「マネって、ベータじゃないの?」
「私は今まで一度も自分がベータと言ったことはないですよ」
そう言われれば、事務所の人たちはみんなこの人をベータと思い込んでいた。
「私は、アルファです」
「早く言ってよ。でも、俺みたいなのは恋愛対象じゃないでしょ?」
タレントはあくまでも商品。
そう自嘲すると、突然唇を奪われた。
「これでも、そんなことを言いますか?」
熱い眼差しはヒートに当てられているからだけではない。
「ずっと見ていました。練習生の頃から」
「覚えてる。俺もずっと見てたから。自分のマネに指名したのも、俺自身だし」
マネージャーに腕を回す。
「この熱を、鎮めてくれるんだろ?」
激しくお互いを求め合った。
「もう、私以外の人を頼らないでください」
マネージャーから好意を寄せられていたとは僅かにも思っていなかったオメガは、驚きつつも、自分の全てを委ねた。
その後、バンド君とのセフレを解消。
マネージャーと同棲を始める。
二人が番になる頃、炎上はようやく鎮静。
噛み跡の付いた頸を見せて記者会見し、オメガを公表した。
続けて先輩アルファも番がいると発表。再び世間を驚かせた。
後輩アイドルは解雇の後、ストーカーと共に警察へ突き出された。
「もっと早く、俺が好きって言ってくれれば良かったのに」
「芸能界がそんなに簡単じゃないと、知ってるでしょう?」
「そうだけど……そういえば、子供作りたい?」
「休んでいた分の仕事が詰まってます。ピルを飲むのをお忘れなく!」
厳しいな、と口を尖らせる。
それでも夜な夜なオメガに逆らえず抱いてしまうマネージャー。
オメガはそれからよく笑うようになり、いつしか【氷の貴公子】と呼ばれなくなしましたとさ。
おしまい。
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