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第四章
57、運命の番
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余裕など、最初からなかったみたいに瞬く間に消え去った。
オメガのフェロモンがエリペールに纏わりつく。
夢中で腰を打ち付け、太く反り立つそれは子宮を誘い出すように最奥を刺激する。
アルファ性を解放してからのエリペールは、人が変わったように容赦がなかった。
さっきの意地悪なんて可愛らしいものだった。
常に低く呻り声を吐き出しながら、僕の体が離れないように引き摺り込む。
これが本能に支配されたアルファの姿……。
そのアルファを誘惑しているのは僕自身のオメガのフェロモンである。アルファのように自分でオメガ性をコントロールする事はできないが、感度が増すほどにフェロモンが濃くなるのだとエリペールが話していた。
挿入前から絶頂を味わい続けている僕の体は孕む準備に入っているに違いない。
熱の上昇が著しく、頭で何も考えられなくなってきている。
オメガの本能に従わせるような体の仕組みになっているのだろう。
これまでのヒートでも欲望を我慢出来なくなってはいたが、これまでと明らかに違うのは今から番になるとアルファから体を支配するフェロモンに順応しようと無意識的なところで体が順応しているところにあった。
孔から溢れ出るオメガの液はアルファを惑わせる成分が含まれているのか、分泌が増すほどエリペールはアルファ性を強めてきている。
まるでアルファから噛もうとしているのではなく、僕がアルファに頸を噛ませようと誘っているような錯覚さえ起こしていた。
自我を本能に翻弄されたアルファは獣そのものだ。
警戒心剥き出しに、目の前のオメガを自分のものにするためにフェロモンで狂わせる。
エリペールがまだ僕の体が番う姿勢に入っていないと言った理由が今なら理解できる。
本気になってからのエリペールが途端に口数が減った。
言葉を失ったかのように、呻り続け、注挿だけに集中している。
一つに繋がった体はもうこのまま離れられないのではないかと思うほど癒着している。
肉胴で太さを増したそれに亀頭球が現れると、さらに体を焼くほどの電撃が貫いた。
「ぁあっ、は、んん……ぁん、はぁっ……」
絶え絶え吐き出される声は甘いなど言ってられない。錯乱状態にある脳は快美に陶酔している。
早くこの中に精を放ってほしい。
その一心で肉茎を絞るように締めつける。
エリペールは突然僕をうつ伏せにさせた。
ずるりと男根を引き抜いたかと思えば、体を慰る余裕もなく反転させ、再び男根を捩じ込む。
この間、ほんの数秒の出来事だった。
双丘を引き摺り込むように鷲掴みにすると、自分の腰を力の限り押し込んだ。
奔馬の如く腰を揺すり最奥を突き上げる。
「ひっ、ぁぁっ、ん、ぁああっ」
「噛む……噛む……」
エリペールが譫言のように口走り、僕の頸に視線を突き刺す。
———あぁ、ついにこの時がきた———
爛れたようなヒリヒリとした感触を覚えながらも、神経はもう殆ど機能していない。
淫液に塗れた体は更にアルファの吐精を心待ちにしている。
律動が苛烈を極め、男根が結腸の更に奥まで抉り抜いた瞬間、目の前に星が迸り、息が止まった。
それと同時にエリペールの全体重が背後から伸し掛かり、鋭い犬歯が首の皮膚に突き刺さった。
皮膚を貫き、肉に食い込む。凄まじい痛みに意識が飛びそうになる。
痛みから数秒遅れて腹の奥が温かくなるのを感じた。エリペールが吐精している。
ガクガクと揺すぶりながら、何度も白濁を噴出させた。
「あ、ぁ……」
体の力みが少しずつ和らいでいく。
頸に噛み付いたエリペールは長い吐精の間、噛み続けいてた。
ぐったりとシーツに身を委ねると、どくどくと波打つエリペールの鼓動が聞こえてきた。
番になった……。
僕たちはたった今、番になった……。
口許が震え、涙が溢れた。
痛みさえも随喜に感じる。
ようやく歯を抜いたエリペールが僕の顔を後ろに向かせ、繋がったまま唇を重ねた。
どちらも言葉が出てこない。
その代わりに口付けで喜びを分かち合った。
オメガのフェロモンがエリペールに纏わりつく。
夢中で腰を打ち付け、太く反り立つそれは子宮を誘い出すように最奥を刺激する。
アルファ性を解放してからのエリペールは、人が変わったように容赦がなかった。
さっきの意地悪なんて可愛らしいものだった。
常に低く呻り声を吐き出しながら、僕の体が離れないように引き摺り込む。
これが本能に支配されたアルファの姿……。
そのアルファを誘惑しているのは僕自身のオメガのフェロモンである。アルファのように自分でオメガ性をコントロールする事はできないが、感度が増すほどにフェロモンが濃くなるのだとエリペールが話していた。
挿入前から絶頂を味わい続けている僕の体は孕む準備に入っているに違いない。
熱の上昇が著しく、頭で何も考えられなくなってきている。
オメガの本能に従わせるような体の仕組みになっているのだろう。
これまでのヒートでも欲望を我慢出来なくなってはいたが、これまでと明らかに違うのは今から番になるとアルファから体を支配するフェロモンに順応しようと無意識的なところで体が順応しているところにあった。
孔から溢れ出るオメガの液はアルファを惑わせる成分が含まれているのか、分泌が増すほどエリペールはアルファ性を強めてきている。
まるでアルファから噛もうとしているのではなく、僕がアルファに頸を噛ませようと誘っているような錯覚さえ起こしていた。
自我を本能に翻弄されたアルファは獣そのものだ。
警戒心剥き出しに、目の前のオメガを自分のものにするためにフェロモンで狂わせる。
エリペールがまだ僕の体が番う姿勢に入っていないと言った理由が今なら理解できる。
本気になってからのエリペールが途端に口数が減った。
言葉を失ったかのように、呻り続け、注挿だけに集中している。
一つに繋がった体はもうこのまま離れられないのではないかと思うほど癒着している。
肉胴で太さを増したそれに亀頭球が現れると、さらに体を焼くほどの電撃が貫いた。
「ぁあっ、は、んん……ぁん、はぁっ……」
絶え絶え吐き出される声は甘いなど言ってられない。錯乱状態にある脳は快美に陶酔している。
早くこの中に精を放ってほしい。
その一心で肉茎を絞るように締めつける。
エリペールは突然僕をうつ伏せにさせた。
ずるりと男根を引き抜いたかと思えば、体を慰る余裕もなく反転させ、再び男根を捩じ込む。
この間、ほんの数秒の出来事だった。
双丘を引き摺り込むように鷲掴みにすると、自分の腰を力の限り押し込んだ。
奔馬の如く腰を揺すり最奥を突き上げる。
「ひっ、ぁぁっ、ん、ぁああっ」
「噛む……噛む……」
エリペールが譫言のように口走り、僕の頸に視線を突き刺す。
———あぁ、ついにこの時がきた———
爛れたようなヒリヒリとした感触を覚えながらも、神経はもう殆ど機能していない。
淫液に塗れた体は更にアルファの吐精を心待ちにしている。
律動が苛烈を極め、男根が結腸の更に奥まで抉り抜いた瞬間、目の前に星が迸り、息が止まった。
それと同時にエリペールの全体重が背後から伸し掛かり、鋭い犬歯が首の皮膚に突き刺さった。
皮膚を貫き、肉に食い込む。凄まじい痛みに意識が飛びそうになる。
痛みから数秒遅れて腹の奥が温かくなるのを感じた。エリペールが吐精している。
ガクガクと揺すぶりながら、何度も白濁を噴出させた。
「あ、ぁ……」
体の力みが少しずつ和らいでいく。
頸に噛み付いたエリペールは長い吐精の間、噛み続けいてた。
ぐったりとシーツに身を委ねると、どくどくと波打つエリペールの鼓動が聞こえてきた。
番になった……。
僕たちはたった今、番になった……。
口許が震え、涙が溢れた。
痛みさえも随喜に感じる。
ようやく歯を抜いたエリペールが僕の顔を後ろに向かせ、繋がったまま唇を重ねた。
どちらも言葉が出てこない。
その代わりに口付けで喜びを分かち合った。
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