43 / 68
第四章
43、愛した分だけ
しおりを挟む
「マリユス……今は余裕がない。優しくしてあげられない」
呼吸が荒い。悲しそうな表情なのは不安からか、それとも強引に僕を押し倒したことを申し訳なく思っているのか。
エリペール自身が悲しんでいる時にまで、気を使わなくていい。求められるままを受け入れることで不安を拭えるのなら、いくらでも応えたいと思う。
「乱暴にされても構いません。僕はエリペール様の全てを受け入れたいのです。それに、今までも気を遣ってくれていましたから」
「最初はマリユスを凄く弱い人だと思っていた。子供ながらに私が守ると誓ったのを覚えている。しかし君が強くなったと感じるほどに、心に隙間風が吹いている気持ちになる。明るくなって笑ってくれるのは嬉しいはずなのに、自立しないでほしいなんて身勝手な欲求を抱いてしまうのだ」
エリペールに押し倒され、唇を重ねた。
それを言うのなら、僕だってエリペールは強い人間だと思っていた。
何事も卒なくこなし、多少のことでは動じない。努力家で完璧主義で機転の効く人。そんなイメージを抱いていた。
しかし現実には違う部分もある。
こうして僕に自分の弱さを見せてくれる人。哀愁を隠さない人。
全力で愛を伝えてくれるのは、出会った頃から変わらない。
こんなことを伝えても良いのだろうか。僕から話すとどんな反応を見せるだろうか。
言ってみたいけれど、そっと心の奥にしまっておいた。
「エリペール様が運命の番で良かったと日々感じています。どんな時でも僕を導いてくれる。そんなエリペール様と心を通わせられるのが、一番の幸せなんです」
顔を寄せ合う。
唇が触れる瞬間はいつも緊張してしまうが、それからは蕩けるほど全身の力が抜ける。
温かい体温と体を包み込んでくれる逞しい腕、呼吸ごと奪われるほどの濃厚なキスが、全て自分に向けられていると思うだけで、天に昇るような気持ちになる。
大きな手が全身を愛撫する。
孔に触れ、中を拡げる。
甘く漏れる声を塞ぐように再び口を塞がれ、舌を絡ませる。
「ぁ、ん……そこが……」
「気持ちいい時は教えてくれ」
「全部、気持ちい……」
「マリユス、やはり君は誰の目にも触れさせたくない」
「こんなこと、エリペール様以外とはしたくありません」
「早く中に這入りたい。この中を私のもので埋め尽くして、私の形を覚えるまで繋がっていたい」
「教えてください。僕に、貴方の全てを刻み込んでください」
エリペールが怒張した男のそれを孔に宛てがう。
オメガの液でびしょ濡れになっている肉胴は、男根をズブズブと飲み込んでいく。
浅い所でゆらりと揺れているのがもどかしい。
「マリユス、腰が揺れている」
「ぁ、はぁ、もっと……奥に、欲しくて」
快楽に貪欲になっている事に、頭の中の片隅にいる冷静な自分が驚いている。
けれども、一度味わってしまった刺激を忘れることなどできない。
最奥を突かれたり、吐精をしたり、肩を甘噛みされたり……。
終わってしまうのが寂しいと思えるほど、繋がっている時間を愛おしく感じる。
エリペールが注挿を繰り返す度、奥へ奥へと媚肉を擦りながら肉胴を抉るように這入ってくる。
律動が激しさを増し、込み上げてくる快楽に、男根が最奥を貫くと同時に盛大に白濁を吐瀉した。
それでもエリペールはまた硬さを保っており、今度は体勢を変え背後から挿する。
「はぁ、ぁぁ……んぁあ……」
仰向けの時とはまた違う場所に当たり、新鮮な刺激に嬌声を上げる。
腹の奥が疼き、腰を打ちつけられる度に孔からはオメガの液が迸る。
淫靡な水音と腰を打ち付ける音が入り混じり、余計に卑猥に感じさせた。
「あ、もう、射精る……んん~~~!!」
既に絶頂を味わっている体は快楽に鋭敏に反応する。
少し強く腰を打ちつけられただけで、簡単に達してしまった。
エリペールは射精寸前で思いとどまったらしく、僕の腰を鷲掴みにして腰が戦慄いている。
早く中に性液を注いで欲しい。
そんな風に考えていると、無意識に腰を揺らしていた。エリペールも僕の動きに合わせて直ぐに律動を再開する。
僕の屹立からはさっき飛ばした白濁が垂れていて、後ろから突かれる度にさらに白濁が飛び散る。
「エリペール様、顔が見たいです」
「私もだ。マリユスの綺麗な顔を見ながら達したいと思っていたところだ」
エリーエルは僕を仰向けに寝かせ、組み敷いた。
キスをしながら奥を責める。
以前一度味わった、尿意に似た感覚を覚えた。また痴態を晒すわけにはいかないが、水分を放出する快感は忘れられない。
「あっ、でる……また漏らしてしまいます」
「それが感じている証拠なのだ。潮吹きをまた見せてくれるのか」
一度経験すると、癖のようになるだと教えてくれた。
「一緒にイキそうだ」
「僕も、一緒がいいです」
欲しかったところに絶えず刺激を送られ続け、僕はよがり声を上げながら潮を噴いた。
エリペールの腹にかかっているが、まるで気にしていない。
二人してびしょ濡れになってしまい、もう何も出すものはないと思っていたが、エリペールは今が一番感度が上がるのだと言って吐精が終わると間髪入れずに腰を揺らし始めた。
呼吸が荒い。悲しそうな表情なのは不安からか、それとも強引に僕を押し倒したことを申し訳なく思っているのか。
エリペール自身が悲しんでいる時にまで、気を使わなくていい。求められるままを受け入れることで不安を拭えるのなら、いくらでも応えたいと思う。
「乱暴にされても構いません。僕はエリペール様の全てを受け入れたいのです。それに、今までも気を遣ってくれていましたから」
「最初はマリユスを凄く弱い人だと思っていた。子供ながらに私が守ると誓ったのを覚えている。しかし君が強くなったと感じるほどに、心に隙間風が吹いている気持ちになる。明るくなって笑ってくれるのは嬉しいはずなのに、自立しないでほしいなんて身勝手な欲求を抱いてしまうのだ」
エリペールに押し倒され、唇を重ねた。
それを言うのなら、僕だってエリペールは強い人間だと思っていた。
何事も卒なくこなし、多少のことでは動じない。努力家で完璧主義で機転の効く人。そんなイメージを抱いていた。
しかし現実には違う部分もある。
こうして僕に自分の弱さを見せてくれる人。哀愁を隠さない人。
全力で愛を伝えてくれるのは、出会った頃から変わらない。
こんなことを伝えても良いのだろうか。僕から話すとどんな反応を見せるだろうか。
言ってみたいけれど、そっと心の奥にしまっておいた。
「エリペール様が運命の番で良かったと日々感じています。どんな時でも僕を導いてくれる。そんなエリペール様と心を通わせられるのが、一番の幸せなんです」
顔を寄せ合う。
唇が触れる瞬間はいつも緊張してしまうが、それからは蕩けるほど全身の力が抜ける。
温かい体温と体を包み込んでくれる逞しい腕、呼吸ごと奪われるほどの濃厚なキスが、全て自分に向けられていると思うだけで、天に昇るような気持ちになる。
大きな手が全身を愛撫する。
孔に触れ、中を拡げる。
甘く漏れる声を塞ぐように再び口を塞がれ、舌を絡ませる。
「ぁ、ん……そこが……」
「気持ちいい時は教えてくれ」
「全部、気持ちい……」
「マリユス、やはり君は誰の目にも触れさせたくない」
「こんなこと、エリペール様以外とはしたくありません」
「早く中に這入りたい。この中を私のもので埋め尽くして、私の形を覚えるまで繋がっていたい」
「教えてください。僕に、貴方の全てを刻み込んでください」
エリペールが怒張した男のそれを孔に宛てがう。
オメガの液でびしょ濡れになっている肉胴は、男根をズブズブと飲み込んでいく。
浅い所でゆらりと揺れているのがもどかしい。
「マリユス、腰が揺れている」
「ぁ、はぁ、もっと……奥に、欲しくて」
快楽に貪欲になっている事に、頭の中の片隅にいる冷静な自分が驚いている。
けれども、一度味わってしまった刺激を忘れることなどできない。
最奥を突かれたり、吐精をしたり、肩を甘噛みされたり……。
終わってしまうのが寂しいと思えるほど、繋がっている時間を愛おしく感じる。
エリペールが注挿を繰り返す度、奥へ奥へと媚肉を擦りながら肉胴を抉るように這入ってくる。
律動が激しさを増し、込み上げてくる快楽に、男根が最奥を貫くと同時に盛大に白濁を吐瀉した。
それでもエリペールはまた硬さを保っており、今度は体勢を変え背後から挿する。
「はぁ、ぁぁ……んぁあ……」
仰向けの時とはまた違う場所に当たり、新鮮な刺激に嬌声を上げる。
腹の奥が疼き、腰を打ちつけられる度に孔からはオメガの液が迸る。
淫靡な水音と腰を打ち付ける音が入り混じり、余計に卑猥に感じさせた。
「あ、もう、射精る……んん~~~!!」
既に絶頂を味わっている体は快楽に鋭敏に反応する。
少し強く腰を打ちつけられただけで、簡単に達してしまった。
エリペールは射精寸前で思いとどまったらしく、僕の腰を鷲掴みにして腰が戦慄いている。
早く中に性液を注いで欲しい。
そんな風に考えていると、無意識に腰を揺らしていた。エリペールも僕の動きに合わせて直ぐに律動を再開する。
僕の屹立からはさっき飛ばした白濁が垂れていて、後ろから突かれる度にさらに白濁が飛び散る。
「エリペール様、顔が見たいです」
「私もだ。マリユスの綺麗な顔を見ながら達したいと思っていたところだ」
エリーエルは僕を仰向けに寝かせ、組み敷いた。
キスをしながら奥を責める。
以前一度味わった、尿意に似た感覚を覚えた。また痴態を晒すわけにはいかないが、水分を放出する快感は忘れられない。
「あっ、でる……また漏らしてしまいます」
「それが感じている証拠なのだ。潮吹きをまた見せてくれるのか」
一度経験すると、癖のようになるだと教えてくれた。
「一緒にイキそうだ」
「僕も、一緒がいいです」
欲しかったところに絶えず刺激を送られ続け、僕はよがり声を上げながら潮を噴いた。
エリペールの腹にかかっているが、まるで気にしていない。
二人してびしょ濡れになってしまい、もう何も出すものはないと思っていたが、エリペールは今が一番感度が上がるのだと言って吐精が終わると間髪入れずに腰を揺らし始めた。
733
お気に入りに追加
1,432
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです

黒とオメガの騎士の子育て〜この子確かに俺とお前にそっくりだけど、産んだ覚えないんですけど!?〜
せるせ
BL
王都の騎士団に所属するオメガのセルジュは、ある日なぜか北の若き辺境伯クロードの城で目が覚めた。
しかも隣で泣いているのは、クロードと同じ目を持つ自分にそっくりな赤ん坊で……?
「お前が産んだ、俺の子供だ」
いや、そんなこと言われても、産んだ記憶もあんなことやこんなことをした記憶も無いんですけど!?
クロードとは元々険悪な仲だったはずなのに、一体どうしてこんなことに?
一途な黒髪アルファの年下辺境伯×金髪オメガの年上騎士
※一応オメガバース設定をお借りしています

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる