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本編

体液の作用 ★R-18

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 カマルは月亜から抱きついてきたのが相当驚いたようだ。

 さっきまで激しく腰を打ち付けていたのに、急に動きを止めた。

「……私が怖くないのか?」

 真上から見下ろし、尋ねる。

「昨日は怖かったけど、今は大丈夫です。俺を愛してくれてるって分かるから、嬉しいんです」

 自然と生まれた感情を、そのまま伝えた。

「ルア、私の運命の番!! 出会えないまま滅びる人生だと、諦めていた。助けてくれ……どうか……お願いだ……助けて……」

 本来のカマル自身の叫びであった。この闇から救ってほしいと、月亜に懇願する目は悲しみに打ちひしがれている。

「俺に、できることがあれば……」

 カマルの叫びを信じたかった。この人は、月亜がいないといずれ死んでしまう。そこから救えるのなら……。

「あなたと番います」

 カマルの頬に手を当て、そっと口付けると、月亜の中で昂ったカマルのものが太くなった。

「あっ!! カマルさ……!! ぁぁあああ!!! はぁあっ! ふぅ、んんん~~~っっ!!!」

   奥の、更に奥まで到達した昂りは、月亜の気持ちいい場所に推し当たったまま止まっている。     
 
 体の中から爆ぜるように身体を反らせても、カマルは微動だにせず、より奥へ入ろうと力んだ。

 カマルの目からは大粒の涙が雫となって月亜の頬を濡らしていた。

 淫紋に精気を吸われ、闇堕ちし、数年もの間誰とも会わずにこの深い森の屋敷に篭っていたのだ。どんなに寂しかっただろう。心細かっただろう。

 体を重ねるほどに、カマルの目には光が戻ってきたように感じる。月亜の勘違いかもしれないが、そう思いたかった。

 月亜から一時も視線を逸らさず、突然注挿を激しくさせる。

「こうするのが、一番体液を吸収できるのだ」

「あん、んんん……はぁっ! わかり、まし……た……あああ、はぁっ~~!!」

 カマルの動きはだんだんと余裕をなくし始めている。

「ルアの……中が熱くて、熔けそうだ」

「俺もっ! あっ……カマルさんの、はぁんっ! も、もっと……」

「もっと、なんだ? 言ってみろ」

「もっと……んんっ……ぁあっ……。もっと、ほしい」

 カマルは容赦なく腰を打ち付けた。月亜の腰を両手で掴み、体を引き寄せながら打ち付けてくる。子宮への刺激がかなり強い。

「いっ、イくぅぅ!! も、イっちゃう~~!!」

 昨日から与えられ続けている快感に、体は敏感に反応する。媚肉がカマルの男根にしがみ付くように、咥えて離さなかった。

 月亜の絶頂はそのあと直ぐに訪れた。

 今度は噛まれても抵抗しないと決めていたが、今度はカマルから噛んでこなかった。うつ伏せにもされなかった。

 向かい合って抱き合ったまま、月亜の鎖骨に甘噛みをしながら果てたのだ。

 またしても月亜の中はカマルの白濁で満たされる。全ての白濁が出るまで繋がっていられるのを嬉しく感じる。

(抜いてほしくない)なんて、考えてる自分の変貌ぶりに、月亜自身が驚いていた。

 カマルが屹立を抜けないように脚でホールドし、動けなくすると、意表を突かれた表情を見せた。

「ルア? これはどういう……」

「まだ、繋がっていたいです」

「ルアっ! 昨日会ったばかりの私に気を許しすぎではないのか?」

「だって、俺たちは運命の番なんでしょ? だったら……」

   カマルの背に回した腕に力を込めた。

「私を憐れんでいるのか?」

「違います。俺だって嬉しいんです。番が見つからないと思っていたのは、俺だってそうでしたから」

 月亜だって本当は夢見ていたのだ。自分を頼ってくれる人が現れるのを。自分を求めてくれる人を。精通してから……いや、そのもっと前の、バース性が判明した時から。

 自分は一生発情しないと思って諦めいていた。

 あの時大きな猫に会わなければ、カマルには出会えなかった。

 このタイミングで出会えなければ、お互い番を持たないまま命を絶ったことだろう。

「だから、俺も探していたんです。あなたを」

「ルアっ!!」

 吐精を続けながら熱く口付けた。頬に手を添えたいが、肌を傷付けてしまわないかと心配でやめておいた。

 それから、三日三晩止まることなく求め合った。

 休もうとしても、直ぐに淫紋が作動し、それに反応したオメガの性が発情を促す。

 これはきっとカマルの生命が求めているのかもしれない。

 カマルの淫紋はこれだけ月亜の体液を吸収しても真っ赤なままだ。通常だと、ハワード国王たちのように黒いはず。

 月亜の体液が、どのように必要なのかはまだ聞いていない。息つく間もなく体を重ねていて、まともな話など交わす暇もない。

 それでも互いに今までの虚無な時間を埋めるかのように、満たし合う行為をやめようとはしなかった。

 二人とも半ば諦めながらも、人の体温を欲していた。

 運命の相手にしか発情しない二人が。僅かな可能性に賭けるしかない人生が、こんな異世界の森の奥で報われるなど、誰が思っただろうか。

 三日経ち、ようやく淫紋の作用が落ち着いた頃、ようやくカマルが口を開いた。

「体液のおかげで痛みと痒みから解放された」

 そう呟いたカマルの体には引っ掻き傷が無数にある。全身に広がる火傷痕は決して火傷を負ったわけではないそうだ。

 淫紋に精気を吸われ、肌が潤いをなくした結果なのだそう。

「人の体から栄養を吸い取って枯渇させていくのだ」

 どうやら栄養を吸われている時に痛みや痒みが発症するようだ。
 
 カマルがまだ赤いままの淫紋に手を当てた。

「俺の体液で、カマルさんの体は元通りになりますか?」

「完治するかは私にも分からない。しかし、今の時点で随分と楽になっているんだ。傷痕だって薄くなっている」

 腕を上げて殆ど見えなくなっている傷痕を見せた。
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