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三章〜クレール・ベルクール編〜
7 ノランの本気
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ノアとノランには、翌日改めてエリアスお父様から僕が高等部を卒業後、隣国へ引っ越すかもしれないと言う説明をしてくれた。
「エリアスお父様、それは後二年でクレールお兄様と離れ離れになるということですか?」
「そう言うことになる」
「それはいつまででしょうか?」
「遊びに行くわけではないからな。もし研究室を辞めれば、その時は帰ってくるかもしれないし、別の何かの事業に関わるかもしれない。今の所、研究室から話を聞いて、どうするかはクレール自身が決めればいい」
ノアとノランは僕との年の差が六歳もある事を悔やんだ。
僕が十八歳で高等部を卒業した頃、彼らは十二歳。まだ中等部に通っている。そこから更に高等部に通い……と考えていると、弟たちが隣国まで追ってくるにしても何年も先の話になる。
確かにまだ小さい彼らにとっては、この話は酷すぎるのかもしれない。
「ノアもノランも、これはまだ決定してはいないですし、まだ沢山遊べますから」
そう隣から宥めようとしたが、ノランは体を震わせとんでもない事を言い出したのだ。
「エリアスお父様!! それならば、私も隣国へ行かせてください!!」
いきなり何を言い出すのだ? 唖然とする僕。
ノアもノランの隣で僕と同じ顔でノランを見た。
エリアスお父様は目を細め、ノランに詳しく説明しないさいと促している。
「アシルお母様から聞きました。クレールお兄様は学校でベータと偽っていると。それは研究室でもそう通すのでしょうか? クレールお兄様が一人で隣国へ行ったとして、もし何かあった時、誰も助けてあげられません。しかし、私も一緒に行けばクレールお兄様を助けてあげられます」
「……なるほど。しかし万が一、クレールが隣国へ行くとなると研究に費やす時間が長くなる。そうすると、ノランが一人で過ごす時間が長くなっても良いのか?」
エリアスお父様は容赦なくノランに質問攻めにした。
しかしノランも必死だ。
捲し立てる早口のエリアスお父様に、堂々と言い返すのだ。
「一人で過ごすなど、なんとも思いません。ただ、クレールお兄様と同じ場所で住んでいると言うことが、私の生きがいになります。もし、クレールお兄様が落ち込んだり、寂しくなったりした時に、私がそばにいたいのです」
僕よりもはっきりと物申すノランに、目が釘付けになった。
十歳の男の子が言うセリフとは思えない。これがアルファというものなのか。
生まれた時から世話をしているが、彼はエリアスお父様にどんどん似てくるように感じている。相手にどういう事を言えば納得させられるかと、瞬時に察知し、それを躊躇わずに実行する。
計算かもしれないとは思いながらも、これは相手が僕なら快く了承するだろう。
いつの間にこんなに成長していたのだろうか。
嬉しい反面、少し寂しい気もする。
この状況で、弟の成長にしみじみと浸るなんてどうかしているとは百も承知だ。
でも今、目の前で僕のためにエリアス様を説得している姿には、もしも僕が彼の同級生のオメガなら一瞬で恋に落ちただろう。
きっとエリアスお父様がどんなに反対しても、ノランはお父様を説得し続ける。
そのくらい、自分で決めたことを実行する能力に長けている。
エリアスお父様は真正面からノランと見つめ合い、彼の真意を確認すると、小さくため息を吐いて、喋り始めた。
「エリアスお父様、それは後二年でクレールお兄様と離れ離れになるということですか?」
「そう言うことになる」
「それはいつまででしょうか?」
「遊びに行くわけではないからな。もし研究室を辞めれば、その時は帰ってくるかもしれないし、別の何かの事業に関わるかもしれない。今の所、研究室から話を聞いて、どうするかはクレール自身が決めればいい」
ノアとノランは僕との年の差が六歳もある事を悔やんだ。
僕が十八歳で高等部を卒業した頃、彼らは十二歳。まだ中等部に通っている。そこから更に高等部に通い……と考えていると、弟たちが隣国まで追ってくるにしても何年も先の話になる。
確かにまだ小さい彼らにとっては、この話は酷すぎるのかもしれない。
「ノアもノランも、これはまだ決定してはいないですし、まだ沢山遊べますから」
そう隣から宥めようとしたが、ノランは体を震わせとんでもない事を言い出したのだ。
「エリアスお父様!! それならば、私も隣国へ行かせてください!!」
いきなり何を言い出すのだ? 唖然とする僕。
ノアもノランの隣で僕と同じ顔でノランを見た。
エリアスお父様は目を細め、ノランに詳しく説明しないさいと促している。
「アシルお母様から聞きました。クレールお兄様は学校でベータと偽っていると。それは研究室でもそう通すのでしょうか? クレールお兄様が一人で隣国へ行ったとして、もし何かあった時、誰も助けてあげられません。しかし、私も一緒に行けばクレールお兄様を助けてあげられます」
「……なるほど。しかし万が一、クレールが隣国へ行くとなると研究に費やす時間が長くなる。そうすると、ノランが一人で過ごす時間が長くなっても良いのか?」
エリアスお父様は容赦なくノランに質問攻めにした。
しかしノランも必死だ。
捲し立てる早口のエリアスお父様に、堂々と言い返すのだ。
「一人で過ごすなど、なんとも思いません。ただ、クレールお兄様と同じ場所で住んでいると言うことが、私の生きがいになります。もし、クレールお兄様が落ち込んだり、寂しくなったりした時に、私がそばにいたいのです」
僕よりもはっきりと物申すノランに、目が釘付けになった。
十歳の男の子が言うセリフとは思えない。これがアルファというものなのか。
生まれた時から世話をしているが、彼はエリアスお父様にどんどん似てくるように感じている。相手にどういう事を言えば納得させられるかと、瞬時に察知し、それを躊躇わずに実行する。
計算かもしれないとは思いながらも、これは相手が僕なら快く了承するだろう。
いつの間にこんなに成長していたのだろうか。
嬉しい反面、少し寂しい気もする。
この状況で、弟の成長にしみじみと浸るなんてどうかしているとは百も承知だ。
でも今、目の前で僕のためにエリアス様を説得している姿には、もしも僕が彼の同級生のオメガなら一瞬で恋に落ちただろう。
きっとエリアスお父様がどんなに反対しても、ノランはお父様を説得し続ける。
そのくらい、自分で決めたことを実行する能力に長けている。
エリアスお父様は真正面からノランと見つめ合い、彼の真意を確認すると、小さくため息を吐いて、喋り始めた。
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