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二章~アシル・クローシャー編~

52 発情期の熱を鎮めて⑥ ★

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 ハッと意識を取り戻すと、エリアス様とはまだ繋がったままで安心した。
「ぼく、今……」
「意識が飛んでいたね。そのくらい、感じてくれているなんて嬉しいけど、もう少しゆっくりしようか」
 腰を引こうとしたエリアス様に、脚を絡め抱きつく。
「まだ、このままがいいです」
「アシル、発情期は始まったばかりだ。動けそうなら一度、湯浴みをしよう」
「でも……エリアス様はさっきイってないですよね?」
「私の心配をしてくれているのか? ふふ……大丈夫だ。まだ時間はたっぷりある」
 宥めるように髪を撫でる。
「それでも嫌です。エリアス様にも、気持ちよくなって欲しいんです。それとも、ぼくでは満足できませんか?」
 自ら唇を奪う。
 自分だけが意識が飛ぶほどの快楽を味わっているのに、エリアス様には何も奉仕できていないのが辛い。
 発情期だから、オメガの熱を奪い取ろうとしてくれているのは有り難い。でも、二人ともが気持ちよくないと意味がないのだ。

 こんな子供騙しな口付けで、エリアス様が欲情などしないだろう。それでも、少しでも長い時間繋がっていたい。
 そう思うのが我が儘だというのなら、ぼくはバース性を言い訳にしてでも責めてくれと強請るだろう。

 エリアス様がぼくの体を心配してくれているのは分かっている。でも、ぼくは見た目ほど弱くはない。もっとぞんざいに扱ってくれてもいいくらい、体の疼きが治らない。
 小さな舌をエリアス様の口腔に差し込むと、エリアス様も観念したのか、それに応えてくれた。

「ふっ、んんっ……」
「アシル、そこまで私を煽ったなら、達するまで付き合ってもらうぞ」
「はい、ぁぁ……ぁん……」
 エリアス様は口付けをしながら胸の突起を抓った。ピリピリとする痛みすら感じてしまう、淫らなオメガだ。
 体の中の熱感に、まだ溺れていたい。
 
 その想いが、さらにアルファの本能を刺激したようだ。
 エリアス様に食べられてしまいそうなキスで責められた。
 息苦しさが、今は心地いい。
 腰に腕を回すと、エリアス様も体を密着させ体勢を変える。
 仰向けになったエリアス様にぼくを跨る形に座らせると、「動いてくれ」と言って、情欲をそそるような視線を向けた。
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