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一章~伊角光希編~
44 部屋割り
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もうすぐエリアス様とずっと一緒にいられると思うと、心が弾む。
このまま悪阻も治まれば、庭を散歩したり、街に出掛けたりしたい。
赤ちゃんの準備も、ある程度は進めてあると言った時は驚いた。あれだけ忙しい毎日を送っているのに、そんな時間がいつあったのだと瞠目としてしまう。
というのも、この世界では家具などはオーダーメイドが主流のようなのだ。
貴族に限った話なのかもしれないが、この屋敷の物は全てがそうだった。
エリアス様は、今の僕の部屋を子供用にしてはどうかと言う。
「他にも空いている部屋はあるが、ここから離れすぎている。アシルの部屋は私も気に入っているし、行き来しやすいからね」
「僕の部屋は庭の花壇も眺められる良い部屋です。それは賛成です」
僕の部屋に赤ちゃんのベッドを置くなら、手っ取り早いのもあるのだろうと思った。
僕は母と子は、ある程度大きくなるまで(十歳くらいまで?)は、同じ部屋で過ごすのだとばかり思っていたから。
けれども、そうにしてはさっきからエリアス様の話が噛み合わない。
エリアス様は赤ちゃん専用の部屋……というニュアンスで話を進めているように感じる。
「あの……すみません。聞きたいのですが、僕の部屋を赤ちゃんの部屋にすると……」
「ああ、さっきからそのように説明しているが……」
「えぇっと……その場合、僕が住む部屋は……どうなるのかなって……思いまして……」
エリアス様が何を言ってるんだ? という顔をしている。
『コーキ、エリアス様はきっと……』
「ここに決まっているだろう?」
アシルが喋るのとほぼ同時に、エリアス様が喋った。
ずっと、この部屋にいて良いってこと……だよね?
「ここ……?」
「嫌か?」
「嫌じゃないです!! ここにいたいです!!」
「突然、何を言い出すのかと思ったじゃないか」
「ごめんなさい。悪阻が治まれば、別々の部屋に戻ると思い込んでいました」
「そんなことを考えていたのか。それで? 本当は自分の部屋に帰りたくない?」
「悪阻が酷い時に、エリアス様の匂いに助けられていたのは本当です。でも、一人の時間も、ここなら気分が違うというか……エリアス様の香りに包まれていて、ずっと心地いいんです。それで……んっ?」
喋っている途中で手を引かれ、口付けられた。
「ふ、ん……エリアス、さま……?」
「アシルも、何時だって甘いいい香りがしている。私は仕事を終え、この部屋に入るのが楽しみで仕方なかった。ドアを開けた瞬間から、君の香りが充満しているからね。悪阻で苦しんでいるから言えなかったけど、本当は毎日抱きたいのを我慢していたんだ」
エリアス様の言葉に、嬉しくてまたΩのフェロモンを撒いてしまったようだった。
唇を求めるエリアス様が、ぐっと僕を抱きしめ、キスに集中する。
何ヶ月も我慢させていた。
僕だって本当は触れて欲しい。
性的なキスは避けていたとエリアス様が言う。自分を抑えられなくなるから。
「エリアス様、僕はもう大丈夫です。この香りに包まれていると、もう悪阻の気持ち悪さを感じません」
「アシル、今夜は少し触れさせてくれ。決して無理はさせない」
エリアス様と寝室へと移動した。
二人とも、気持ちが高揚していて既に息が荒い。寝室への移動さえも時間を惜しむようにキスを続けた。
このまま悪阻も治まれば、庭を散歩したり、街に出掛けたりしたい。
赤ちゃんの準備も、ある程度は進めてあると言った時は驚いた。あれだけ忙しい毎日を送っているのに、そんな時間がいつあったのだと瞠目としてしまう。
というのも、この世界では家具などはオーダーメイドが主流のようなのだ。
貴族に限った話なのかもしれないが、この屋敷の物は全てがそうだった。
エリアス様は、今の僕の部屋を子供用にしてはどうかと言う。
「他にも空いている部屋はあるが、ここから離れすぎている。アシルの部屋は私も気に入っているし、行き来しやすいからね」
「僕の部屋は庭の花壇も眺められる良い部屋です。それは賛成です」
僕の部屋に赤ちゃんのベッドを置くなら、手っ取り早いのもあるのだろうと思った。
僕は母と子は、ある程度大きくなるまで(十歳くらいまで?)は、同じ部屋で過ごすのだとばかり思っていたから。
けれども、そうにしてはさっきからエリアス様の話が噛み合わない。
エリアス様は赤ちゃん専用の部屋……というニュアンスで話を進めているように感じる。
「あの……すみません。聞きたいのですが、僕の部屋を赤ちゃんの部屋にすると……」
「ああ、さっきからそのように説明しているが……」
「えぇっと……その場合、僕が住む部屋は……どうなるのかなって……思いまして……」
エリアス様が何を言ってるんだ? という顔をしている。
『コーキ、エリアス様はきっと……』
「ここに決まっているだろう?」
アシルが喋るのとほぼ同時に、エリアス様が喋った。
ずっと、この部屋にいて良いってこと……だよね?
「ここ……?」
「嫌か?」
「嫌じゃないです!! ここにいたいです!!」
「突然、何を言い出すのかと思ったじゃないか」
「ごめんなさい。悪阻が治まれば、別々の部屋に戻ると思い込んでいました」
「そんなことを考えていたのか。それで? 本当は自分の部屋に帰りたくない?」
「悪阻が酷い時に、エリアス様の匂いに助けられていたのは本当です。でも、一人の時間も、ここなら気分が違うというか……エリアス様の香りに包まれていて、ずっと心地いいんです。それで……んっ?」
喋っている途中で手を引かれ、口付けられた。
「ふ、ん……エリアス、さま……?」
「アシルも、何時だって甘いいい香りがしている。私は仕事を終え、この部屋に入るのが楽しみで仕方なかった。ドアを開けた瞬間から、君の香りが充満しているからね。悪阻で苦しんでいるから言えなかったけど、本当は毎日抱きたいのを我慢していたんだ」
エリアス様の言葉に、嬉しくてまたΩのフェロモンを撒いてしまったようだった。
唇を求めるエリアス様が、ぐっと僕を抱きしめ、キスに集中する。
何ヶ月も我慢させていた。
僕だって本当は触れて欲しい。
性的なキスは避けていたとエリアス様が言う。自分を抑えられなくなるから。
「エリアス様、僕はもう大丈夫です。この香りに包まれていると、もう悪阻の気持ち悪さを感じません」
「アシル、今夜は少し触れさせてくれ。決して無理はさせない」
エリアス様と寝室へと移動した。
二人とも、気持ちが高揚していて既に息が荒い。寝室への移動さえも時間を惜しむようにキスを続けた。
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