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〜初等部
予想外の結末
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私が足を向けた先は佐々木さんと山代君の前。
ずっと泣き続けて目を赤くしている佐々木さんと、そんな彼女を泣き止ませようとして自分も泣きそうになっている山代君の姿がまるで喧嘩した時のあの子達みたい。お互い拗ねてしまって仲直りするまでが長かった、私の可愛い弟妹達。
感傷に浸りながら、私は小さく笑う。
先に対応するのは未だ泣き続ける佐々木さん。これ以上泣くと声が枯れてしまう。
「レディがそんなに泣いてはダメですよ。佐々木さん、顔を上げてちょうだい?」
私は彼女に努めて優しく話しかけた。
そろそろと顔をあげ、私を見つめた彼女の頬に伝う涙をハンカチでそっと拭き取る。
「山代さんにしっかりと謝れて、良い子でしたね」
「紫之宮様・・・」
そう言って彼女に微笑んでその手にハンカチを握らせる。佐々木さんはどこか呆然と私の名を呟いていたが泣き止んだのでとりあえずは大丈夫だろう。次は彼だ。
「山代さん。ペアを変わって欲しいなんてそれが冗談だとしても佐々木さんに対する侮辱ですわ。紳士ならレディの失敗もカバーできないとダメですよ」
佐々木さんに背を向け、山代君に向き合う。目をそらさず私がそう告げると、彼は手持ちぶさたになってしまったハンカチを握りしめながら顔を強ばらせる。
その瞳は潤んでいた。
「それでも佐々木さんを泣き止ませようとしたのは、良い子でしたよ」
そう言って彼の頭を撫でたら、彼は泣いてしまった。
「僕・・・足を踏まれて、他のペアにも、ぶつかってしまって、上手く佐々木嬢をエスコート出来なかったから、だから、悔しくて!」
「佐々木嬢は泣いてしまうし、どうしたら良いのか、わからなくて・・・ごめんなさい」
泣きながら話す彼の姿は小学生の少年そのものだった。大人のような礼儀作法や話し方をしていても根本はまだ7、8歳の子供なんだと、今更ながらに気づく。
「・・・許してあげられますか?佐々木さん」
私が呼んだ名前に山代君は泣いて俯いていた顔を勢いよく上げる。私の隣にはハンカチを握りしめた佐々木さんがいた。
「あ、佐々木嬢・・・」
「もう一度!」
「え?」
「もう一度、私と踊って頂けるなら・・・許して差し上げます!」
不安に染まった顔で佐々木さんを見つめる山代君に、彼女は顔を赤くして叫ぶ様にして言った。
彼女の言葉にぽかん、としていた彼は少しの間をおいて顔を赤く染める。これは、もしかして・・・?
「・・・では、もう一度僕と踊って頂けますか?佐々木嬢」
「はい、よろこんで」
そう言うと先程まで泣いていた子だとは思えないくらいの笑顔で、2人は手を取り合った。
あ~これは両想いではないですか?素直になれない女の子と意地悪だけど優しい男の子の恋物語では?
「無事仲直りできて安心しましたわ、お2人とも。ですが、まだやらなくてはいけないことがありましてよ?」
自分たちの世界に入っている2人に水を差すようだが、これだけは言わせてほしい。
「迷惑をお掛けした周りの方々に、ちゃんと謝罪をしなさい!」
迷惑をかけたら謝る。当然のことでしょう? ごめんなさいができない子はお姉ちゃん、許しませんよ!
私の叱咤にハッとした2人は、様子を見守っていた周りの生徒達に頭を下げて謝りだした。皆優しい子達ばかりで素直に2人の謝罪を受け入れている。なかには恋の気配がする2人に、キラキラした目を向けている子もいた。
「紫之宮様もご迷惑をお掛けしました」
「申し訳ありませんでした」
佐々木さんと山代君が2人揃って頭を下げる。落ち込んだ様子の2人に、頭を上げる様に告げると2人とも強ばった表情をしていた。
その様子に、小さく笑う。
「もう怒っていませんよ。2人ともちゃんと謝れて良い子でしたね。良くできました!」
そう言ってから私は無意識に2人の頭を優しく撫でる。しまった!兄は身内だからいいけどこの子達は違うのに、つい癖でやってしまった・・・。
2人の反応を恐る恐る伺うと、何やらキラキラとした目を向けられている。
「ありがとうございます!紫之宮様」
「お姉様って呼んでもよろしいですか!?」
予想外の反応に目を白黒させる私を気にすることなく、2人はにっこり笑ってそう言った。
驚き固まる私をよそに、2人はいつの間にか近づいて来ていた桜ちゃんに部屋の隅まで連れていかれた。私は一人、呆然と立ち尽くす。
えっと、どうやら妹?と弟?が出来ました?
***
ちなみに桜ちゃんと一緒に帰ってきた2人は、私の妹・弟兼友達になりたいと言ってくれた。なんだか二人とも使命感に燃えている様子だったが、桜ちゃんにやんわりと聞くのを止められてしまった。・・・何なんだろう?
改めまして、私に新しい友達(妹・弟兼任)が出来ました!
私は知らない。
兄が桜ちゃんに私の友達になる子の選別をさせていたことを。
桜ちゃんがそれを笑顔で了承したことを。
・・・この一件以来、佐々木さんと山代君が私を心酔する様になることを。
ずっと泣き続けて目を赤くしている佐々木さんと、そんな彼女を泣き止ませようとして自分も泣きそうになっている山代君の姿がまるで喧嘩した時のあの子達みたい。お互い拗ねてしまって仲直りするまでが長かった、私の可愛い弟妹達。
感傷に浸りながら、私は小さく笑う。
先に対応するのは未だ泣き続ける佐々木さん。これ以上泣くと声が枯れてしまう。
「レディがそんなに泣いてはダメですよ。佐々木さん、顔を上げてちょうだい?」
私は彼女に努めて優しく話しかけた。
そろそろと顔をあげ、私を見つめた彼女の頬に伝う涙をハンカチでそっと拭き取る。
「山代さんにしっかりと謝れて、良い子でしたね」
「紫之宮様・・・」
そう言って彼女に微笑んでその手にハンカチを握らせる。佐々木さんはどこか呆然と私の名を呟いていたが泣き止んだのでとりあえずは大丈夫だろう。次は彼だ。
「山代さん。ペアを変わって欲しいなんてそれが冗談だとしても佐々木さんに対する侮辱ですわ。紳士ならレディの失敗もカバーできないとダメですよ」
佐々木さんに背を向け、山代君に向き合う。目をそらさず私がそう告げると、彼は手持ちぶさたになってしまったハンカチを握りしめながら顔を強ばらせる。
その瞳は潤んでいた。
「それでも佐々木さんを泣き止ませようとしたのは、良い子でしたよ」
そう言って彼の頭を撫でたら、彼は泣いてしまった。
「僕・・・足を踏まれて、他のペアにも、ぶつかってしまって、上手く佐々木嬢をエスコート出来なかったから、だから、悔しくて!」
「佐々木嬢は泣いてしまうし、どうしたら良いのか、わからなくて・・・ごめんなさい」
泣きながら話す彼の姿は小学生の少年そのものだった。大人のような礼儀作法や話し方をしていても根本はまだ7、8歳の子供なんだと、今更ながらに気づく。
「・・・許してあげられますか?佐々木さん」
私が呼んだ名前に山代君は泣いて俯いていた顔を勢いよく上げる。私の隣にはハンカチを握りしめた佐々木さんがいた。
「あ、佐々木嬢・・・」
「もう一度!」
「え?」
「もう一度、私と踊って頂けるなら・・・許して差し上げます!」
不安に染まった顔で佐々木さんを見つめる山代君に、彼女は顔を赤くして叫ぶ様にして言った。
彼女の言葉にぽかん、としていた彼は少しの間をおいて顔を赤く染める。これは、もしかして・・・?
「・・・では、もう一度僕と踊って頂けますか?佐々木嬢」
「はい、よろこんで」
そう言うと先程まで泣いていた子だとは思えないくらいの笑顔で、2人は手を取り合った。
あ~これは両想いではないですか?素直になれない女の子と意地悪だけど優しい男の子の恋物語では?
「無事仲直りできて安心しましたわ、お2人とも。ですが、まだやらなくてはいけないことがありましてよ?」
自分たちの世界に入っている2人に水を差すようだが、これだけは言わせてほしい。
「迷惑をお掛けした周りの方々に、ちゃんと謝罪をしなさい!」
迷惑をかけたら謝る。当然のことでしょう? ごめんなさいができない子はお姉ちゃん、許しませんよ!
私の叱咤にハッとした2人は、様子を見守っていた周りの生徒達に頭を下げて謝りだした。皆優しい子達ばかりで素直に2人の謝罪を受け入れている。なかには恋の気配がする2人に、キラキラした目を向けている子もいた。
「紫之宮様もご迷惑をお掛けしました」
「申し訳ありませんでした」
佐々木さんと山代君が2人揃って頭を下げる。落ち込んだ様子の2人に、頭を上げる様に告げると2人とも強ばった表情をしていた。
その様子に、小さく笑う。
「もう怒っていませんよ。2人ともちゃんと謝れて良い子でしたね。良くできました!」
そう言ってから私は無意識に2人の頭を優しく撫でる。しまった!兄は身内だからいいけどこの子達は違うのに、つい癖でやってしまった・・・。
2人の反応を恐る恐る伺うと、何やらキラキラとした目を向けられている。
「ありがとうございます!紫之宮様」
「お姉様って呼んでもよろしいですか!?」
予想外の反応に目を白黒させる私を気にすることなく、2人はにっこり笑ってそう言った。
驚き固まる私をよそに、2人はいつの間にか近づいて来ていた桜ちゃんに部屋の隅まで連れていかれた。私は一人、呆然と立ち尽くす。
えっと、どうやら妹?と弟?が出来ました?
***
ちなみに桜ちゃんと一緒に帰ってきた2人は、私の妹・弟兼友達になりたいと言ってくれた。なんだか二人とも使命感に燃えている様子だったが、桜ちゃんにやんわりと聞くのを止められてしまった。・・・何なんだろう?
改めまして、私に新しい友達(妹・弟兼任)が出来ました!
私は知らない。
兄が桜ちゃんに私の友達になる子の選別をさせていたことを。
桜ちゃんがそれを笑顔で了承したことを。
・・・この一件以来、佐々木さんと山代君が私を心酔する様になることを。
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