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〜初等部
兄と友の友の邂逅
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「お兄様、こちら私のお友達の小早川 桜さん。桜さん、こちらが私のお兄様の紫之宮 奏ですわ」
「よろしくね、小早川さん」
「よろしくお願い致しますわ。春様のお兄様」
ある日の放課後の談話ルーム。
学園で生徒達の交流のために開放されているその一室にて行われた顔合わせ。
兄と友達をそれぞれに紹介するためにこの部屋を借りたのですが、何か空気が重くないですか?
***
「お兄様。明日の放課後なのですが、お時間はありますか?」
「春のためなら何時でも時間をつくるよ」
朝、学園に向かう途中の車の中。
以前兄に友達を紹介すると約束した事をふと思い出し、時間を空けておいてもらおうと聞いた私に間髪いれずに答えた兄。
家族で食事に行ったあの日から、なんだか兄の中の私の優先度があがっている気がする。原因はわからない。私は兄に何かやったか?
「何か僕にやってほしいことがあるの?」
「私のお友達をお兄様に紹介しようと思いまして、以前約束しましたでしょう?」
「・・・あぁ、春の友達か。会えるのが楽しみだよ」
問いかけてきた兄に笑って用件を告げれば、兄の顔から一瞬表情が消えた。
見間違いかと思い瞬きをすればいつもの優しい微笑みを浮かべてこちらを見つめる兄がいる。
この時、私は気のせいだと兄の様子を特に気に止めなかった。
まさか兄のこの様子があの惨状の前兆だったなんて、その時の私は知らなかったのだ。
***
「春がいつもお世話になっているね」
「いえ、私こそ春様にはとてもお世話になっております」
顔合わせが始まって2人とも笑顔で和やかに会話しているけど、なんだか周りの空気が冷たい、気がする。
「春様はいつも親切にしてくださって、私にとてもお優しいのです」
「春は兄である僕をよく気遣ってくれて、助けてくれるんだよ」
和やかに会話していた筈の2人の顔がピキリと固まり、重なりあった目線が雷のように光った気がした。
「・・・私の手を引いて、一緒に行動してくださいますのよ」
「・・・僕を抱き締めて、よく頭を撫でてくれるんだ」
「お兄様?桜さん?どうしましたの?」
様子のおかしい2人に声をかけるが、2人は私の声が聞こえていないのかどんどん話し合いがヒートアップしていく。
「・・・・・・私は春様に、大好きと言っていただきました!」
「・・・・・・僕なんて春に、私の王子様って呼ばれた!」
「え、あの、お二人とも?」
確かに私は桜ちゃんに大好きと言ったし、兄にも冗談で私の王子様って言ったけど、何で今その話が出たの!?関係ない話でしょ?
しまいには立上がり、私にしてもらったことを言い合う二人は落ち着く気配がなく、私はどうしたらいいのかと一人頭を抱える。
もう、誰でもいいから誰か助けてくれ!
恥ずかしすぎて、涙が滲んできたその時。
「奏ー?外まで声聞こえてるぞ」
その声と共に、扉が開かれた。
扉の方を向けば、そこに居たのは兄の友人で攻略対象者の一人である青柳 悠真だった。
迷ったのは一瞬だった。彼に関わらないと決めたがこの状況を私が止めることは不可能だ。
「青柳様、助けて下さい!お兄様と桜さんが落ち着いて下さらないのです!」
青柳の前で頭を下げて、精一杯頼み込む。・・・今さら都合良すぎかな、あんなに避けてたのに。
動く気配のない青柳に苦笑する。
仕方ない、私だけで頑張って解決しようと、頭をあげようとしたその時だった。
「ちょっと待ってろ」
そう言って私の頭を撫でると青柳は二人の元に歩いていく。
青柳は兄と桜ちゃんの間に割り込むと二人を引き離し、お互いの話を聞いている。
数回頷きながら二人に何かを話している青柳の姿を見る。すごい、私は止められなかった二人があんなに落ち着いている。
彼の手腕に関心していると、青柳が私を手招いた。
「なんでしょうか?」
「こいつらが、春に謝りたいって」
ほら、と青柳が兄と桜ちゃんの背を押し私の前に並べる。
「春がこの場を用意してくれたのに、台無しにしてごめんね」
「申し訳ありませんでした、春様」
2人で頭を下げて許して下さい、なんて謝るのがなんだか可愛くてつい笑ってしまう。
私の笑い声にそろそろと顔を上げた二人に頬笑む。
「私は別に怒っていませんわよ。お兄様、桜さん」
そう言ったら2人に抱き付かれてしまった。私に抱き付く2人の肩からこちらを見て笑う青柳が見える。私の視線に気づいたのか、彼が私を見つめる。
「青柳様、ありがとうございました」
青柳の目を見て、笑ってお礼を言う。
どんな相手でも助けてもらったらお礼をするのが常識ですから!
***
途中はどうなるかと思ったが最終的に何か意気投合した様子の兄と桜ちゃん。別れる前になにやらこそこそと話し合っていたが何を話していたのだろう。兄に聞いても内緒だと言って教えてくれなかった。まぁ、いいか。
なんとか兄に友達を紹介できました!
「よろしくね、小早川さん」
「よろしくお願い致しますわ。春様のお兄様」
ある日の放課後の談話ルーム。
学園で生徒達の交流のために開放されているその一室にて行われた顔合わせ。
兄と友達をそれぞれに紹介するためにこの部屋を借りたのですが、何か空気が重くないですか?
***
「お兄様。明日の放課後なのですが、お時間はありますか?」
「春のためなら何時でも時間をつくるよ」
朝、学園に向かう途中の車の中。
以前兄に友達を紹介すると約束した事をふと思い出し、時間を空けておいてもらおうと聞いた私に間髪いれずに答えた兄。
家族で食事に行ったあの日から、なんだか兄の中の私の優先度があがっている気がする。原因はわからない。私は兄に何かやったか?
「何か僕にやってほしいことがあるの?」
「私のお友達をお兄様に紹介しようと思いまして、以前約束しましたでしょう?」
「・・・あぁ、春の友達か。会えるのが楽しみだよ」
問いかけてきた兄に笑って用件を告げれば、兄の顔から一瞬表情が消えた。
見間違いかと思い瞬きをすればいつもの優しい微笑みを浮かべてこちらを見つめる兄がいる。
この時、私は気のせいだと兄の様子を特に気に止めなかった。
まさか兄のこの様子があの惨状の前兆だったなんて、その時の私は知らなかったのだ。
***
「春がいつもお世話になっているね」
「いえ、私こそ春様にはとてもお世話になっております」
顔合わせが始まって2人とも笑顔で和やかに会話しているけど、なんだか周りの空気が冷たい、気がする。
「春様はいつも親切にしてくださって、私にとてもお優しいのです」
「春は兄である僕をよく気遣ってくれて、助けてくれるんだよ」
和やかに会話していた筈の2人の顔がピキリと固まり、重なりあった目線が雷のように光った気がした。
「・・・私の手を引いて、一緒に行動してくださいますのよ」
「・・・僕を抱き締めて、よく頭を撫でてくれるんだ」
「お兄様?桜さん?どうしましたの?」
様子のおかしい2人に声をかけるが、2人は私の声が聞こえていないのかどんどん話し合いがヒートアップしていく。
「・・・・・・私は春様に、大好きと言っていただきました!」
「・・・・・・僕なんて春に、私の王子様って呼ばれた!」
「え、あの、お二人とも?」
確かに私は桜ちゃんに大好きと言ったし、兄にも冗談で私の王子様って言ったけど、何で今その話が出たの!?関係ない話でしょ?
しまいには立上がり、私にしてもらったことを言い合う二人は落ち着く気配がなく、私はどうしたらいいのかと一人頭を抱える。
もう、誰でもいいから誰か助けてくれ!
恥ずかしすぎて、涙が滲んできたその時。
「奏ー?外まで声聞こえてるぞ」
その声と共に、扉が開かれた。
扉の方を向けば、そこに居たのは兄の友人で攻略対象者の一人である青柳 悠真だった。
迷ったのは一瞬だった。彼に関わらないと決めたがこの状況を私が止めることは不可能だ。
「青柳様、助けて下さい!お兄様と桜さんが落ち着いて下さらないのです!」
青柳の前で頭を下げて、精一杯頼み込む。・・・今さら都合良すぎかな、あんなに避けてたのに。
動く気配のない青柳に苦笑する。
仕方ない、私だけで頑張って解決しようと、頭をあげようとしたその時だった。
「ちょっと待ってろ」
そう言って私の頭を撫でると青柳は二人の元に歩いていく。
青柳は兄と桜ちゃんの間に割り込むと二人を引き離し、お互いの話を聞いている。
数回頷きながら二人に何かを話している青柳の姿を見る。すごい、私は止められなかった二人があんなに落ち着いている。
彼の手腕に関心していると、青柳が私を手招いた。
「なんでしょうか?」
「こいつらが、春に謝りたいって」
ほら、と青柳が兄と桜ちゃんの背を押し私の前に並べる。
「春がこの場を用意してくれたのに、台無しにしてごめんね」
「申し訳ありませんでした、春様」
2人で頭を下げて許して下さい、なんて謝るのがなんだか可愛くてつい笑ってしまう。
私の笑い声にそろそろと顔を上げた二人に頬笑む。
「私は別に怒っていませんわよ。お兄様、桜さん」
そう言ったら2人に抱き付かれてしまった。私に抱き付く2人の肩からこちらを見て笑う青柳が見える。私の視線に気づいたのか、彼が私を見つめる。
「青柳様、ありがとうございました」
青柳の目を見て、笑ってお礼を言う。
どんな相手でも助けてもらったらお礼をするのが常識ですから!
***
途中はどうなるかと思ったが最終的に何か意気投合した様子の兄と桜ちゃん。別れる前になにやらこそこそと話し合っていたが何を話していたのだろう。兄に聞いても内緒だと言って教えてくれなかった。まぁ、いいか。
なんとか兄に友達を紹介できました!
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