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〜初等部

お披露目パーティー

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 私のお披露目パーティーは有名3つ星レストランの多目的ホールを貸し切って開催された。
 参加しているのは両親が主に交流している家の人達らしく、一流企業や老舗旅館などの人達ばかりである。
 会場に到着してから急いで着替え、兄と共に入口に並び立つ。

「とっても可愛いよ、春!」

 横に立った兄が私を見て褒める。
 私は兄と同じ白銀の長い髪をハーフアップにし、シンプルなレースの白いドレスを着て薄紫色のヴェールを肩に羽織っている。髪飾りはアレクサンドライトを使用したものをつけている。

「ありがとうございます、お兄様。お兄様もとても格好いいですわ」

 兄は白いシャツに薄紫色のベストを羽織り、黒のパンツをはいている。瞳の色と同じアレクサンドライトがネクタイを飾り、兄の薄く紫がかった白銀の髪を引き立てている。
 兄は私の言葉に嬉しそうに笑って、私に手を差し出し告げた。

「お手をどうぞ、僕のお姫様」
「ふふ、ありがとうございます。私の王子様」

 私に微笑みかける兄の手に私の手を重ねる。
 こんな時にも冗談を言ってくる兄に少し呆れながら、私も冗談を返し頬笑む。
 兄に優しく手を引かれ、二人並んでホールに入った。前を向き、胸を張って。

 さぁ、紫之宮家の名に恥じない立派なお嬢様になりますよ!

***

「紫之宮家 長女の紫之宮 春と申します。皆様、どうぞ宜しくお願い致します」

 両親の元へとエスコートしてくれた兄の手を離し、出席してくれた方々に向かい挨拶をする。
 私を見て頷き微笑んでくれた両親にホッと息をつく。両親の反応を見るにどうやら成功したようだ。

「春ちゃん、上手に挨拶できたわね」
「疲れただろう?奏の所に行って来なさい」
「はい、お父様。皆様、失礼致します」

 両親に進められるままにその場を離れ、兄の姿を探す。周りを見渡すが、大人ばかりで一向に兄の姿が見付けられない。
 困った。兄が見付からないと、どうしたらいいかわからない。
 途方に暮れる私の背に探していた人の声が投げられた。

「春、こっちだよ!」

 その言葉に身を翻せば、壁際で兄が私を呼んでいるのが見えた。良かった、兄から私を見つけてくれたようだ。
 安心感に包まれながら私は足早に兄の元へと向かう。

「お兄様!」
「春!」
「見つけられなかったらどうしようかと思いました。お兄様に会えて良かったわ・・・」
「ごめんね、春。不安にさせて」

 兄は近寄った私を抱き締めると申し訳なさそうに謝る。
 ・・・兄よ、私はそこまで不安にはなっていない。見つからなければ、見つからなかったで両親の元に戻るつもりだったし。
 だからそんな心底申し訳ないと悔いた顔を止めてくれないか、こちらが申し訳なくなってくる。

「奏」

 兄に対する罪悪感に胸を痛めていると、兄の側に居た男の子が兄に声をかけた。
 声の方へと視線を向ける。空のような水色の髪に暗い青色の瞳が目立つ、端正な顔立ちの男の子。
  ・・・何だか嫌な予感がする。とても、とても嫌な予感が。

「すまない、悠真」
「お兄様、こちらの方は・・・?」

 私から体を離し彼に向き合う兄に訪ねると、兄は私を見て嬉しそうに笑う。

「彼は青柳 悠真。僕の学園の友達だよ!悠真、この子は僕の可愛い妹の春。よろしくね」
「青柳 悠真だ。よろしく、奏の可愛いお姫様?」

 青柳と名乗った彼が私の手を取り、口付けた。ぞわぞわと鳥肌が立つ。
 ・・・待って、ちょっと待ってよ!やっぱりこの子も攻略対象者じゃない!?

「・・・紫之宮 春と申します。よろしくお願い致しますね、青柳様」

 混乱した私は、彼にそう返すので精一杯だった。
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