年上彼氏は体育教師

華愁

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僕と先生の気持ちと……

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僕には好きな人がいる。

それは体育の先生。

名前は條原桂二しのはらけいじ

三十半ばとかなり年上だし、
既婚者なのも知っている。

家族思いのいい父親だ。

子供は確か、上の子が中学生の女の子。
下の子が小学生の女の子だったはず。

情報は全部、職員室の前で
立ち聞きした事に過ぎない。

相手は教師で同性で年配で更に既婚者。

一番のネックは“既婚者”だって事だ……

例え気持ち悪がられても
独身だったなら、
または、冷めた家族だったなら
振られるのを
覚悟して告白していただろう。

だけど、職員室の前で
立ち聞きしている限り、
條原先生は家庭を大事にしているから
生徒で更に同性に告白されたら
戸惑ってしまうだろうだろう。

だけど、実は
毎晩、先生に抱かれる夢を見るから
寝不足気味だったりする……

叶わないから願望を
夢として見るのだろう。

そんなある日、僕は
体育の時間に倒れた。

『葛原‼』

目が覚めたのは保健室だった。

『條原先生』

授業はどうしたのだろう?

そう思っていたら、
意外な質問をされた。

『何か悩み事でもあるのか?』

おそらく、保健医の先生から
寝不足だと聞かされたのだろうと
すぐに見当はついた。

しかし、悩み事の種が
條原先生本人だとは
面と向かっているわけにはいかない。

ましてや、僕の単なる片思い。

『俺を好きって本当か?』

答えられずにいたら
とんでもない質問が飛んできた。

何で!? 

もしかしたら、保健医の先生は
僕の気持ちに
気付いていたのかも知れない。

目が覚めてから二度目の沈黙……

これは、嫌われても
誤魔化すより本当の事を
言ってしまった方がいいのかも知れない。

『そうです。
僕は條原先生が好きです』

ベッドに寝たまま話す。

『だからといって
先生は気にしないでください』

家族思いの先生に答えを
求めるつもりはない。

顔を見れずに壁側を向いた。

『葛原、こっち向け』

呼ばれても向けずにいると
條原先生に耳元で名前を呼ばれた。

『未央』

何でそんな優しい声で呼ぶの……?

変に期待させないでほしい。

だって、先生は既婚者で
不倫関係にはなりたくない……

名前を呼んでも振り返らない
僕に痺れを切らしたのか
無理矢理自分の方に向かせたと
思ったら、唇を奪われた。

今、先生とキスしてる……

こんなことされたら
本当に期待してしまう。

『これが、俺の気持ちだ』

これは都合のいい夢?

起きてるのに夢を見てるのだろうか?

『だって、先生は既婚者で
家族思いのいい父親なのに……』

『周りから見ればそうだろうなぁ。
だけど、実際はそうじゃないんだ……
妻には若い恋人がいるし、
下の娘は俺とあまり口を利かない
上の娘は家族の中で唯一
俺と話してくれるけどな』

知らなかった。

先生ん家が冷めた家庭だったなんて……

『離婚話も出ているから
近々、離婚するかもな』

**桂二side**

葛原が体育の時間に倒れた。

授業はバスケだったため、
試合をするように言い渡し
保健室に葛原を運んだ。

砂森先生によれば寝不足らしい。

原因を聞いた時、
最初は信じられなかった。

“葛原君は條原先生が
好きなんですよ
恋愛感情でね”

うちの家族は傍から見れば
仲のいい家族に見えるだろうが
実際はバラバラだ。

唯一、上の娘だけが
俺と話してくれる。

目が覚めた葛原に
悩み事があるのかと訊いてみた。

そして、俺が好きなのかとも。

反応を見れば一目瞭然。

葛原は俺が好きなんだと。

そして、実は俺も
葛原が気になっていた……

砂森先生から聞かされたことは
驚いたが同時に嬉かった。

『そうです。
僕は條原先生が好きです』

ベッドに寝たまま話す葛原。

『だからといって
先生は気にしないでください』

既婚者だということを
気にしてるのだろう。

『葛原、こっち向け』

呼んでも向かない葛原に
耳元で名前を呼ぶ。

『未央』

名前を呼んでも
振り返らないから痺れを切らせ、
無理矢理自分の方に向かせたて
唇を奪った。

『これが、俺の気持ちだ』

我慢できずにキスしてしまった。

『だって、先生は既婚者で
家族思いのいい父親なのに……』

やはり、気にしていたのはそこか。

『周りから見ればそうだろうなぁ。
だけど、実際はそうじゃないんだ……
妻には若い恋人がいるし、
下の娘は俺とあまり口を利かない
上の娘は家族の中で唯一
俺と話してくれるけどな』

うち冷はめた家庭だ。

『離婚話も出ているから
近々、離婚するかもな』

嘘ではない。

今は家庭内別居状態だ。

これは、時間の問題だ。
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