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第十話🌿凌杏の入院と僕の後悔と頼もしい味方
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美卯ちゃんがお泊まりして
日伝さんが来た日から
二ヶ月経ったある日、
夕飯の支度をしていた僕のスマホに
柊和から電話が来た。
「《心綺人、
落ち着いて聞いてくれ。
凌杏が病院に運ばれた》」
何で……?
僕は危うく、
スマホを落としそうになった。
『《容態は?》』
内心、焦りまくりだけど
凌杏の容態がどうなのか気になる。
「《幸い、意識は
はっきりしてるし、
軽い捻挫と
擦り傷くらいだから大丈夫だ。
ただ、検査入院ってことで
一週間は安静だとさ》」
それくらいでよかった……
『《今から、心咲に着替えさせて
一緒にそっちに向かうよ》』
柊和に病院の場所を聞き、
一旦、電話を切り、心咲を
着替えさせて戸締まりを
確認してから家を出た。
今日は自分で運転して行く。
チャイルドシートに乗せた
心咲は少し走ると眠ってしまった。
病院に着き、心咲を抱っこして
入口に行くと柊和が待っていた。
「心綺人」
凌杏の病室に向かいながら
事の経緯を話してくれた。
「怪我してる凌杏を見つけたのは
俺じゃなくて親父なんだよ」
藍染会長が……
「親父曰く、凌杏は
中年の男と言い争っていて
突き飛ばされた際に
足首の捻挫と膝を擦りむいたらしい」
凌杏が言い争い⁉
はっ‼
思い付くことは一つしかない。
『その、凌杏が言い争ってた
男の特徴とか会長から聞いた?』
普段、おとなしく優しい凌杏が
激昂するとしたら、自惚れでなく
僕達のことに間違いない。
だとすると、凌杏が
言い争ってたっていう男は
十中八九、実父に違いない。
「そういやぁ、
お前に少し似てたとか言ってたな」
やっぱりか……
母さんは話すはずがないから
何処かで僕達を見かけたんだろう。
『それ、僕の実父だ。
あの人は僕達みたいな
人種を嫌っているんだ……
凌杏に合わす顔がないな……』
エレベーターの前まで来て
凌杏の病室に行く勇気が出ない。
心の中で抱いている心咲に謝る。
ごめんね。
パパに怪我させたのは
ママの父親なんだよ……
「あいつの場合、逆に
謝って来るんじゃないか?」
ぅっ、あり得そうだなぁ(苦笑)
*✲゚*。 ♪*✲゚*。 ♪*✲゚**✲゚*。 ♪*✲゚*。
案の定、柊和の勘は当たった。
凌杏は怪我させられた方なのに
謝って来た。
だけど、僕はその謝罪に
逆キレてしました……
何だか、僕達の関係が
いけないと言われたような
気がしたからだ。
勿論、凌杏はそんな事を
一ミリも思っていないのは
僕自身がよくわかっているけど
何だか悲しくなってしまったんだ……
「此処は病室だ。
少し、落ち着け‼」
柊和に後頭部を叩かれた。
心咲に衝撃が伝わらない程度の
軽いものだったけど。
それを見て、藍染会長は慌てて
凌杏は笑っていた。
『心綺人、
あなたが気に病むことはないんですよ』
穏やかな声色で凌杏が言った。
『私はあなたも心咲も愛しています。
ですから、私に怪我を負わせたのが
あなたの父親だったとしても
気にしていないのですよ』
どうしたらこの聖母のような考え方が
できるようになるのか不思議だ。
「やられた本人は
気にしてねぇんだから
お前も何時までもイライラしたり
凹んだりしてんなよ」
言い方はぶっきらぼうだけど
僕には柊和が励まそうと
してくれているのがわかった。
『そうだね、柊和ありがとう。
遅くなってしまいましたが
藍染会長、凌杏を
助けて頂きありがとうございました』
一番、肝心なことを
忘れるところだった(汗)
「いやいや、凌杏君のことは
昔から知っているから、
あんな場面に出くわせば
助けるのが道理だよ。
それから、俺のことは
名前で読んでくれるとありがたい」
困って、柊和の方を向くと
目でそうしろと言われた(苦笑)
『では柊也さんと呼ばせていただきます』
僕の答えに藍染親子は
満足そうな表情をして頷いた。
日伝さんが来た日から
二ヶ月経ったある日、
夕飯の支度をしていた僕のスマホに
柊和から電話が来た。
「《心綺人、
落ち着いて聞いてくれ。
凌杏が病院に運ばれた》」
何で……?
僕は危うく、
スマホを落としそうになった。
『《容態は?》』
内心、焦りまくりだけど
凌杏の容態がどうなのか気になる。
「《幸い、意識は
はっきりしてるし、
軽い捻挫と
擦り傷くらいだから大丈夫だ。
ただ、検査入院ってことで
一週間は安静だとさ》」
それくらいでよかった……
『《今から、心咲に着替えさせて
一緒にそっちに向かうよ》』
柊和に病院の場所を聞き、
一旦、電話を切り、心咲を
着替えさせて戸締まりを
確認してから家を出た。
今日は自分で運転して行く。
チャイルドシートに乗せた
心咲は少し走ると眠ってしまった。
病院に着き、心咲を抱っこして
入口に行くと柊和が待っていた。
「心綺人」
凌杏の病室に向かいながら
事の経緯を話してくれた。
「怪我してる凌杏を見つけたのは
俺じゃなくて親父なんだよ」
藍染会長が……
「親父曰く、凌杏は
中年の男と言い争っていて
突き飛ばされた際に
足首の捻挫と膝を擦りむいたらしい」
凌杏が言い争い⁉
はっ‼
思い付くことは一つしかない。
『その、凌杏が言い争ってた
男の特徴とか会長から聞いた?』
普段、おとなしく優しい凌杏が
激昂するとしたら、自惚れでなく
僕達のことに間違いない。
だとすると、凌杏が
言い争ってたっていう男は
十中八九、実父に違いない。
「そういやぁ、
お前に少し似てたとか言ってたな」
やっぱりか……
母さんは話すはずがないから
何処かで僕達を見かけたんだろう。
『それ、僕の実父だ。
あの人は僕達みたいな
人種を嫌っているんだ……
凌杏に合わす顔がないな……』
エレベーターの前まで来て
凌杏の病室に行く勇気が出ない。
心の中で抱いている心咲に謝る。
ごめんね。
パパに怪我させたのは
ママの父親なんだよ……
「あいつの場合、逆に
謝って来るんじゃないか?」
ぅっ、あり得そうだなぁ(苦笑)
*✲゚*。 ♪*✲゚*。 ♪*✲゚**✲゚*。 ♪*✲゚*。
案の定、柊和の勘は当たった。
凌杏は怪我させられた方なのに
謝って来た。
だけど、僕はその謝罪に
逆キレてしました……
何だか、僕達の関係が
いけないと言われたような
気がしたからだ。
勿論、凌杏はそんな事を
一ミリも思っていないのは
僕自身がよくわかっているけど
何だか悲しくなってしまったんだ……
「此処は病室だ。
少し、落ち着け‼」
柊和に後頭部を叩かれた。
心咲に衝撃が伝わらない程度の
軽いものだったけど。
それを見て、藍染会長は慌てて
凌杏は笑っていた。
『心綺人、
あなたが気に病むことはないんですよ』
穏やかな声色で凌杏が言った。
『私はあなたも心咲も愛しています。
ですから、私に怪我を負わせたのが
あなたの父親だったとしても
気にしていないのですよ』
どうしたらこの聖母のような考え方が
できるようになるのか不思議だ。
「やられた本人は
気にしてねぇんだから
お前も何時までもイライラしたり
凹んだりしてんなよ」
言い方はぶっきらぼうだけど
僕には柊和が励まそうと
してくれているのがわかった。
『そうだね、柊和ありがとう。
遅くなってしまいましたが
藍染会長、凌杏を
助けて頂きありがとうございました』
一番、肝心なことを
忘れるところだった(汗)
「いやいや、凌杏君のことは
昔から知っているから、
あんな場面に出くわせば
助けるのが道理だよ。
それから、俺のことは
名前で読んでくれるとありがたい」
困って、柊和の方を向くと
目でそうしろと言われた(苦笑)
『では柊也さんと呼ばせていただきます』
僕の答えに藍染親子は
満足そうな表情をして頷いた。
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