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第四章「暗雲を跳ね除けろ」
四猫神様宿る心寧たち
しおりを挟む「またしても邪魔立てするのか。四猫神どもーーーーー」
空までも切り裂いてしまいそうな叫び声をあげて魔猫ネコルが猫神学園を破壊しにかかった。だがムムタをはじめ園音様、先生たち、全国各地からやって来た猫神様たちによりどうにか破壊を阻止していた。山猫神様までいる。
力を合わせれば強大な力にもなんとか対等に戦うことができるんだと心寧は痛感した。けど、このままではダメだ。
巨大だと思っていた山猫神様よりも魔猫ネコルは大きい。破壊力も半端ない。いつまで食い止められるかわからない。
早く加勢しなきゃ。
「行こう心寧ちゃん」
差し出されたムサシの手を取り頷く。心寧はもう片方の手をルナと繋ぐ。ルナはチムと手を繋ぎ、チムはムサシと手を繋ぐ。その瞬間、ひとつの輪が出来上がりおのおのの身体の輝きが増した。
朱色に輝く炎の輝き、青々とした葉の輝き、虹色に輝くダイヤモンドの輝き、澄んだ湖のような水の輝きがひとつになり眩い光を纏いグルグル回る。
「みんな行くよ」
心寧の身体に全員の力が入り込んでくるのを感じた。
強く優しい力だ。
思いはひとつ。魔猫ネコルを再び封印してこの猫神学園を守る。それだけだ。
心寧の頭の中に不思議と呪文が浮かぶ。
『九字切り』
守りを固め、魔猫ネコルを攻撃するには九字切りをすればいいのか。シュレンの魂がそう告げていた。いや、それは最後の手段だ。封印出来なかったとしたら消滅させるしかない。
心寧はみんなとともに魔猫ネコルに向かって飛んでいく。
「なんだ、おまえらは。チビどもに用はない。んっ、違うな。そうか、おまえらには四猫神を感じる。憎き四猫神ども今度こそあとかたもなく木端微塵にしてやろう」
魔猫ネコルの大きな手が振り下ろされてくる。鋭い爪を何度も避け一気に魔猫ネコルの上空に飛び上がる。
「みんないいか。全員の力を合わせてあいつに突っ込め」
「えっ、突っ込むの」
チムが驚くのも無理もない。正直、自分も怖い。けどムサシの言う通りあの胸の奥にある漆黒の塊を貫けばあいつは倒れるだろう。同時に地下へと封印される。そのはずだ。
「おのれ、チョコマカと忌々しい奴らだ。さっさと我にやられてしまえ。そうだ、おまえらなど食っちまおう。それがいい」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべると魔猫ネコルが大きな口を開けて飛び跳ねた。巨体が空を飛ぶ。思ったよりも身軽だった。
大きな口がどんどん近づいて来る。その口に並んだ鋭い牙がギラリと光る。
大きく開かれた真っ赤な口の奥の光も通さないような闇が近づいて来る。
「こ、怖い」
「チム、大丈夫。わたしたちがいるでしょ」
「う、うん。ぼ、ぼくがんばる」
「心寧ちゃん、なんだか強くなったね」
「えっ、そ、そう」
「ほら、そこイチャイチャしている場合ではありませんわよ。チャンスは今ですわ。一気に闇に葬ってやるのですわ」
そうだ、ルナの言う通りだ。
心寧は全員の目と順々に合せて頷くと魔猫ネコルへとムサシ、ルナ、チムとともに突っ込んでいく。
「ふん、馬鹿な奴らだ。自ら死に逝くか。おまえら我の胃液で溶かされてしまえ」
「うっ、うわわっ」
***
「心寧、みんな」
魔猫ネコルは大口を開けて笑っていた。
どうする。心寧たちが食われちまった。終わりだ。もう終わりだ。
「ムムタ、うろたえている場合ではありません。私たちでなんとかするしかないのです」
「園音、無理だ。四猫神の宿るあいつらでも敵わなかったのに。俺たちだけじゃ無理だ」
「で、でも……」
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