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第三章「修行で大騒ぎ」
神社へ行くのが修行なの?
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「先生、神社に行くだけで修行になるんですか」
「ムサシくん、神社には不思議な強い気が纏っているものなんだよ。その強い気に触れるだけでもいい修行になるってものなんだ」
「ふーん、そうなのか」
なるほど。そういえば園音様といるだけでもなんだかいい気持ちになれた気がする。きっと、園音様のいい気をもらえたのだろう。
「そうなんだよ。ただ気をつけないと強い気に体調を崩すこともあるからね」
「そうなの? それって神様に嫌われていじわるされちゃうってことなの。そんなの嫌だ」
心寧は思わずそう口にしていた。
「あはは。心寧ちゃん、違うよ。神様に嫌われているわけじゃないよ。霊的なレベルが低いとそうなってしまうんだ。だから何度も神社に参拝すれば自然とレベルも上がっていく。つまり修行になっているってことだ」
「そうなのか。違うのか。そうだよね、神様がいじわるするわけないよね」
心寧は照れ笑いをして頭を掻いた。
「おっ、ここだ、ここ。みんな到着です」
あれ、ここは。えっと、えっと。社の上に寝そべって尻尾をゆらゆらさせているのは真っ白な狐神様だった。てっきり猫神社に行くとばかり思っていた。
「長九郎、来たぞ」
「おっ、マネキか。またこの時期がやってきたのか。どれどれ、今年の新入生をみてやろう」
うわっ、目が光った。
なに、なに。なんだかクラクラしてきた。身体が揺れる。おかしいな、どうして揺れるの。あれ、あれ、なんだか身体が軽くなってきた。もしかして浮いている。このままあの青空に羽ばたいてふわふわ雲をぱくりと食べられるかも。心寧は口を動かし雲をもぐもぐ。
「なんだおまえ。よだれ出ているぞ。汚ねぇな」
ハッとしてあたりに目を向けた。みんなの視線が集まっている。
空に羽ばたいたと思ったのは気のせいだった。地面にしっかりと足がついている。心寧はよだれを手でぬぐい俯いた。
「なるほど、面白い子がいるようだ」
面白い。もしかして自分のこと。もう嫌だ。なにやっているのだろう。
ああ、もうバカ、バカ、バカ。
「ムサシくん、神社には不思議な強い気が纏っているものなんだよ。その強い気に触れるだけでもいい修行になるってものなんだ」
「ふーん、そうなのか」
なるほど。そういえば園音様といるだけでもなんだかいい気持ちになれた気がする。きっと、園音様のいい気をもらえたのだろう。
「そうなんだよ。ただ気をつけないと強い気に体調を崩すこともあるからね」
「そうなの? それって神様に嫌われていじわるされちゃうってことなの。そんなの嫌だ」
心寧は思わずそう口にしていた。
「あはは。心寧ちゃん、違うよ。神様に嫌われているわけじゃないよ。霊的なレベルが低いとそうなってしまうんだ。だから何度も神社に参拝すれば自然とレベルも上がっていく。つまり修行になっているってことだ」
「そうなのか。違うのか。そうだよね、神様がいじわるするわけないよね」
心寧は照れ笑いをして頭を掻いた。
「おっ、ここだ、ここ。みんな到着です」
あれ、ここは。えっと、えっと。社の上に寝そべって尻尾をゆらゆらさせているのは真っ白な狐神様だった。てっきり猫神社に行くとばかり思っていた。
「長九郎、来たぞ」
「おっ、マネキか。またこの時期がやってきたのか。どれどれ、今年の新入生をみてやろう」
うわっ、目が光った。
なに、なに。なんだかクラクラしてきた。身体が揺れる。おかしいな、どうして揺れるの。あれ、あれ、なんだか身体が軽くなってきた。もしかして浮いている。このままあの青空に羽ばたいてふわふわ雲をぱくりと食べられるかも。心寧は口を動かし雲をもぐもぐ。
「なんだおまえ。よだれ出ているぞ。汚ねぇな」
ハッとしてあたりに目を向けた。みんなの視線が集まっている。
空に羽ばたいたと思ったのは気のせいだった。地面にしっかりと足がついている。心寧はよだれを手でぬぐい俯いた。
「なるほど、面白い子がいるようだ」
面白い。もしかして自分のこと。もう嫌だ。なにやっているのだろう。
ああ、もうバカ、バカ、バカ。
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