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第二章『猫神学園に入学だ』
ロシアンブルーのムサシ
しおりを挟む「ムサシです。僕はロシアという国からやってきました。
僕は日本が大好きです。すごいすごい親切な人と猫友さんがいろいろと教えてくれて恩返ししようって決めました。それにはやっぱり猫神様になることが一番だと思ったんです。たくさんの人を笑顔でいっぱいにさせたくてここで学ぼうって思いました。もちろん、たくさんの猫たちもしあわせになってもらいたいです」
ムサシは言い終えると小さく息を吐き席に着いた。緊張していたのかもしれない。
それにしてもロシアってどこだろう。違う国から来たってことはわかるけど。まあいいや、そんなこと。とにかくムサシはカッコイイ。それで十分。そうそう、ムサシには温かみのあるオーラがある。見ているだけで心がとろけちゃいそう。
「ねぇねぇ、外国から来たんだよね。それなのに日本語上手だね。なんで、なんで」
「それはね、さっきいった猫友さんが教えてくれたんだ。この学校を教えてくれたのも猫友さんなんだよ。けどね、本当はお母さんのお腹の中にいるうちに日本にやってきたんだ。だから生まれは日本。実はロシアのことはよくわからないんだよね」
「ふーん、そうなんだ。それにしてもグレーの毛並みがツヤツヤで素敵ね」
「ありがとう」
「あの、私、ココ。よろしくね」
「よろしく」
ムサシの笑顔にココが照れた素振りを見せた。
えっ、なにこの感じ。自己紹介のときと違って砕けた感じの会話をしちゃって。ムサシとココを交互に見遣る。まさか前からの知り合いとかなのだろうか。ああ、もう。嫉妬しちゃうけど、お似合いだ。ああ、ダメダメ。ムサシともっと親しくなりたい。
「ココちゃんの番ですよ。ムサシくんだけじゃなくてみんなと話しましょう」
「あっ、はい」
舌をペロッと出して照れ笑いするココ。なんだろう、ココって可愛い。けど、イラつきもする。どこからかふつふつと湧き上がってくるこの感情はいったいなに。心寧は頭を軽く振り床を見る。
ダメダメ。この感情は嫌な臭いがする。ドロッとした変な感情は捨てなきゃダメ。
ムサシとココを交互に見遣る。
ムサシとココがいい間柄になったとしたら……。そうなったらそうなったでしかたがないか。そうそう、そう思ったほうがいい。本当にそれでいいの。よくないでしょ。もうなにを考えているの。これってもしかして、ムサシに恋しちゃったの。
ああ、もう。ダメダメ。
今は恋愛より猫神様になる勉強が大事でしょ。
そうそう、一に勉強、二に勉強。三、四がお昼寝、五に勉強。あれ、ごはんはいつ食べるの。えっと、えっと。ああ、そんなのいつだっていい。食べたいときに食べればいい。
よし、解決。いや、全然解決していない。
ムサシと仲良くしつつ勉強もがんばる。おいしいごはんを食べてがんばる。そういうこと。
今度こそ、解決。たぶん。
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