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第二章『猫神学園に入学だ』

はじめての登校(4)

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 あっ、傘猫堂かさねこどうの猫神様の園音様だ。

「園音さまーーー」

 心寧は手を振り叫んだ。

「子猫ちゃん、ここを通れば近道ですよ」
「近道」
「ええ、そう近道よ。こっちいらっしゃい」

 本当に近道なんかあるのだろうか。前に続く道を見て、園音様に目を向けてもう一度前の道をじっと見る。
 早く猫神学園に急がなきゃ。どうする。どうしたらいい。一歩進んで二歩さがる。三歩進んで五歩さがる。

「ほら、ほらどこへ行くの。こっちよ、こっち」

 だって、だって。そこは神社の社でしょ。そんなところに入ったって猫神学園に着くはずがない。けど、園音様がウソをつくはずがない。神様になったら近道も作れるのだろうか。そうだ、きっとそうだ。

 心寧は園音様の笑顔に頷き傘猫堂神社の社の中に飛び込んだ。
 うわっ、なにこれ。真っ白な光に包まれて思わず目を閉じる。
 なに、なに、これなんなの。身体がふわふわする。地面はどこへ行っちゃったの。

『助けてよ、助けてよ』

 心寧は一生懸命に前足をバタバタさせて前に進もうとした。
 チラッとだけ目を開けたら光が飛び込んできてまた目を閉じる。前足だけでなく後ろ足もバタバタさせた。

 イヤイヤ、イヤ。真っ白な光のお化けなんてあっちへ行け。まぶしいったらありゃしない。あれあれ、おかしいな。目を閉じてもまぶたの裏に虹が見える。
 変だ、変だ、とっても変だ。もしかして天国に行っちゃうの。そんなの嫌だ。立派な猫神様になるんだから。

「子猫ちゃん、着いたわよ」

 えっ、着いたの。本当に着いたの。天国じゃなくて猫神学園に着いたの。

 ゆっくりと目を開けると目の前に猫神学園がドドーンと立っていた。心寧は顔を上に向けながら立ち上がると後ろに倒れ込んでしまった。

 心寧は転げながら「スゴイ、たかーーーい」と呟いた。えっと、一、二。あれ、あれ、そんなに高くないのかな。いやいや、高い。だって、自分の倍の倍の倍はありそうだもの。もっとか。もしかしてこれって高層ビルってやつ。うーん、違うのか。小首を傾げて校舎をもう一度見上げた。

 あれれれれ。学校がどっかへ消えちゃった。青い空に変わっちゃった。んっ、違った。また後ろに倒れちゃったんだ。

 あれ、あっちになんかある。
 これってなんだろう。
 猫が一、二、三、四。

「あの、あの。わたし心寧。あなたたちはなんで動かないの」

 恐る恐る手を出して触れてみた。硬い。なんだ作り物なのか。なにか書いてあるけどよくわからない。
 えっと、えっと。

『……、四……猫は……。……守り……この学園の……』

 ああ、ダメだ。読めない。

「子猫ちゃん、なにをしているの。早く行かなきゃダメでしょ」
「えっ、あああ、そうだった」

 急がなきゃ。

「園音様、ありがとうございました」
「どういたしまして。勉強頑張ってね。子猫ちゃん」
「はい。あの、でもわたし、子猫ちゃんじゃなくて心寧です」
「あら、ごめんなさいね。じゃ改めて心寧ちゃん、頑張ってね」

 心寧は満面の笑みで「はい」と返事をすると学校内へと駆けて行った。

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