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第一章『悲しみから笑顔へ』
お母さーーーん(1)
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「心寧、がんばって生きるのですよ。そうすれば、きっと報われるはずだから」
「えっ、むくわれる? それ、なーに。おいしいもの?」
お母さんの瞳をじっとみつめて問い掛ける。あれ、お母さんの瞳に映っているのは誰。なんだか変だ。お母さんの中にもう一匹の猫がいる。しかも、同じ動きをしている。
ううん、そんなのいい。『むくわれる』っておいしいもののことが知りたい。
「違う、違う。報われるっていうのはね。なんて言ったらいいかしらね」
「なーに。なーに」
なんだかワクワクしてきた。大きな魚のことかな。ニワトリのお肉かな。どっちも食べたことないしよくわからないけど。きっとほっぺた落ちちゃうくらいおいしいものなんじゃないだろうか。違うのかな。違うのかな。
「あら、キラキラした目をしちゃって。なにを期待しているのかな」
「だって、だって」
「あのね、報われるってね心寧が一生懸命がんばって努力していたら良いことが起こるってことかな」
「良いこと。おいしいごはんじゃなくて」
「ふふふ。そんなに落胆しなくてもいいのよ。良いことにはおいしいごはんも含まれているわよ」
「やったーーー。お母さん、わたしがんばる」
「偉い、偉い。心寧は良い子ね」
「えへへ。なんだか照れるなぁ」
心寧は身体をクネクネさせてお母さんの身体に身を寄せた。あっ、やっぱりお母さんのミルクが一番。心寧はお母さんのお腹をもみもみしながらゴクゴクミルクを飲んだ。
「心寧、もうミルクは終わり。今日からひとりだからね。がんばるのよ」
えっ、ミルク終わりなの。ひとりってどういうこと。お母さんは何を言っているのだろう。あれ、そういえばお兄ちゃんたちはどこにいったのだろう。
んっ、何か跳んできた。
「あっ、バッタだ。待て、待て、待て。バッタ待てぇー」
「心寧、心寧。ちゃんと話を聞きなさい。お別れなのよ」
「えっ、なーに。あとでちゃんと聞くからさ。バッタ捕まえてやるんだから。待て、待て、待てぇー」
「心寧、もうあとはないのよ」
「えっ、むくわれる? それ、なーに。おいしいもの?」
お母さんの瞳をじっとみつめて問い掛ける。あれ、お母さんの瞳に映っているのは誰。なんだか変だ。お母さんの中にもう一匹の猫がいる。しかも、同じ動きをしている。
ううん、そんなのいい。『むくわれる』っておいしいもののことが知りたい。
「違う、違う。報われるっていうのはね。なんて言ったらいいかしらね」
「なーに。なーに」
なんだかワクワクしてきた。大きな魚のことかな。ニワトリのお肉かな。どっちも食べたことないしよくわからないけど。きっとほっぺた落ちちゃうくらいおいしいものなんじゃないだろうか。違うのかな。違うのかな。
「あら、キラキラした目をしちゃって。なにを期待しているのかな」
「だって、だって」
「あのね、報われるってね心寧が一生懸命がんばって努力していたら良いことが起こるってことかな」
「良いこと。おいしいごはんじゃなくて」
「ふふふ。そんなに落胆しなくてもいいのよ。良いことにはおいしいごはんも含まれているわよ」
「やったーーー。お母さん、わたしがんばる」
「偉い、偉い。心寧は良い子ね」
「えへへ。なんだか照れるなぁ」
心寧は身体をクネクネさせてお母さんの身体に身を寄せた。あっ、やっぱりお母さんのミルクが一番。心寧はお母さんのお腹をもみもみしながらゴクゴクミルクを飲んだ。
「心寧、もうミルクは終わり。今日からひとりだからね。がんばるのよ」
えっ、ミルク終わりなの。ひとりってどういうこと。お母さんは何を言っているのだろう。あれ、そういえばお兄ちゃんたちはどこにいったのだろう。
んっ、何か跳んできた。
「あっ、バッタだ。待て、待て、待て。バッタ待てぇー」
「心寧、心寧。ちゃんと話を聞きなさい。お別れなのよ」
「えっ、なーに。あとでちゃんと聞くからさ。バッタ捕まえてやるんだから。待て、待て、待てぇー」
「心寧、もうあとはないのよ」
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