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メインストーリー
クソガキたちとクレヨンの契約
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「…あー。キスが、してみたいんだ。」
「きす?」
さっきからずっと訝しんでいたニックが、キスという言葉に驚いて、素っ頓狂な声を上げる。マセガキのウィルは、だれとキスしたいの?とワクワクしながらこちらをみていた。
「イヴァンにキスしてほしーんだよ。」
「おやすみなさいの、おでこのやつ?」
ベティがでんぐり返しをやめて近くに来ていた。クロエがベティの手を握りこちらを見ている。あっぶねぇ交尾とか言わなくてよかった。いや、でも、これベティがいる前で下手なこと言えなくなったな。どうしよう。
「…おひめさまとおうじさまがするやつが、したいの?」
言い淀んでるとベティが舌ったらずな口調で話してくる。
「え、ぁ、ああ。そうだな。たぶんそう」
いや、ベティが言ってるみたいな御伽噺の恋とか一切ないんだけどな。肉欲に沈めりゃいいだけから。キスしてそっから先っぽだけ~って雪崩込めたら仕事が終わるってだけ。信仰心が逸れれば何だっていいんだけどな。他の宗教信仰してくんねぇかな。太陽神とかどうよ。
ーー
「なんだよ、たぶんって」
「教会の決まりがあるものね。男の人同士は結婚できないって。だからお姫様と王子様って言われてもしっくりこないんでしょう。……決して結ばれないから」
「そっか!イヴァンが神様なんか信じてるから、結婚もちょっとエッチなこともできないんだね!お兄さん可愛そう!」
「キスだけでもって考えてんのかこのお兄さん……。いや男同士はどうなんだろとか、性別の壁はデカイと思うけどさ、なんか悲しいな。」
「おにいさん、かわいそうなの。何か手伝えることないかな。」
「ベティもそう思うのね。じゃあ、お兄さんを応援して、男性同士でも付き合える宗派に改宗させる……でいいかしら?」
「「うん!」」
「イヴァンの意思はどうなるんだぜ。」
「そんなもの後からいくらでもどうにかなるわ。賛成多数。可決!」
ーー
あー仕事ダル、さっさと終わんねえかなぁ…。なんて黙って考えているうちに、ガキどもが勝手に話し合いを始め、勝手に結論を出したらしい。
「お兄さん、私たちはあなたの恋を応援するわ。だってイヴァンが信じてる神様のこと私大嫌いだもの。」
「結婚式は、神様じゃなくて悪魔にでも祈ろうぜ。神様が許してくれなくても、俺もウィルも味方してやっからさ。」
「やっぱり許せないの!私たち神様を信じる人に酷い目に遭わされてきたし!!イヴァンがお祈りをさせてこないだけで、ステンドグラス割ってやりたいって思うぐらいには嫌いなの!」
「ん、とね。ベティはしあわせになってほしい。イヴァン、いっつもベティたちをしあわせにしてくれるから。ちにあし?つけてほしーの」
「は?あ?なに話聞いてなかったんだけど、どうなってんの?」
捲し立てられ囲まれて、どうやら誤解を生んでるらしいと気付いたときには、子供たちは手がつけられなくなっていた。
「別にいまさら恥ずかしがらなくても良いわよ。お兄さんの恋路を応援するって決めただけだもの」
「約束の儀式しよーよー!ニックは聖書を持ってきて!お子様聖書!あと誓いの、四角のビスケットってまだある?あるよねクロエ!」
「ええあるわね。ハンカチも綺麗なものを用意できたわ。クレヨンは何色が約束してない色だったかしら」
「ベティはピンクつかったの!ベティのママは紫!」
「ウィルと俺は青、クロエは…赤と黄色使ったんじゃなかったか?」
「白色と黒色が残ってるよー!お兄さんは何色がいいの?」
「なに、なにこれ?何するってった?お前ら。」
「いいから!白と黒と紫だったら何色が好き?!」
「?? 黒…だけど?」
「お兄さん、ここに名前書いて!」
クロエとニックから黒のクレヨンと本が手渡され、咄嗟に名を書き込む。(言い訳がましく聞こえるかもしれないが、書類仕事のせいでサインを求められたら書いてしまう癖がついてしまっていた。)ベティの手によってクッキーが箱から取り出され、テキパキとウィルがクッキーをハンカチに包み木箱の上に置いた。
「私たちは、私たちに誓います。秘密を守り、互いを助け、お兄さんとイヴァンを必ず結婚させます。」
「「「誓います!」」」
「はぁ!?何言って」
クロエがとんでもない宣言をした後聖書を閉じて振り上げる。いや、やめろよやめろ、そんな簡単に悪魔と連名して誓いを立てるな!
「はいはいお兄さん下がって下がって!危ないんだぜ。」
「クッキーちゃんと5個に割ってねクロエ!」
「がんばれークロエー。」
「ハッ!」
ドカバキ!と激しい音がして木箱は弾け飛んだ。クッキーは無事に五つに割れ、そして…誓いが、呪いが完成した。
ボフン、という音と共にオレの変身は解けてツノと尻尾が生えた。
ーー
追記 タイトルをクソガキたちとクレヨンの誓いに変更しました。
「きす?」
さっきからずっと訝しんでいたニックが、キスという言葉に驚いて、素っ頓狂な声を上げる。マセガキのウィルは、だれとキスしたいの?とワクワクしながらこちらをみていた。
「イヴァンにキスしてほしーんだよ。」
「おやすみなさいの、おでこのやつ?」
ベティがでんぐり返しをやめて近くに来ていた。クロエがベティの手を握りこちらを見ている。あっぶねぇ交尾とか言わなくてよかった。いや、でも、これベティがいる前で下手なこと言えなくなったな。どうしよう。
「…おひめさまとおうじさまがするやつが、したいの?」
言い淀んでるとベティが舌ったらずな口調で話してくる。
「え、ぁ、ああ。そうだな。たぶんそう」
いや、ベティが言ってるみたいな御伽噺の恋とか一切ないんだけどな。肉欲に沈めりゃいいだけから。キスしてそっから先っぽだけ~って雪崩込めたら仕事が終わるってだけ。信仰心が逸れれば何だっていいんだけどな。他の宗教信仰してくんねぇかな。太陽神とかどうよ。
ーー
「なんだよ、たぶんって」
「教会の決まりがあるものね。男の人同士は結婚できないって。だからお姫様と王子様って言われてもしっくりこないんでしょう。……決して結ばれないから」
「そっか!イヴァンが神様なんか信じてるから、結婚もちょっとエッチなこともできないんだね!お兄さん可愛そう!」
「キスだけでもって考えてんのかこのお兄さん……。いや男同士はどうなんだろとか、性別の壁はデカイと思うけどさ、なんか悲しいな。」
「おにいさん、かわいそうなの。何か手伝えることないかな。」
「ベティもそう思うのね。じゃあ、お兄さんを応援して、男性同士でも付き合える宗派に改宗させる……でいいかしら?」
「「うん!」」
「イヴァンの意思はどうなるんだぜ。」
「そんなもの後からいくらでもどうにかなるわ。賛成多数。可決!」
ーー
あー仕事ダル、さっさと終わんねえかなぁ…。なんて黙って考えているうちに、ガキどもが勝手に話し合いを始め、勝手に結論を出したらしい。
「お兄さん、私たちはあなたの恋を応援するわ。だってイヴァンが信じてる神様のこと私大嫌いだもの。」
「結婚式は、神様じゃなくて悪魔にでも祈ろうぜ。神様が許してくれなくても、俺もウィルも味方してやっからさ。」
「やっぱり許せないの!私たち神様を信じる人に酷い目に遭わされてきたし!!イヴァンがお祈りをさせてこないだけで、ステンドグラス割ってやりたいって思うぐらいには嫌いなの!」
「ん、とね。ベティはしあわせになってほしい。イヴァン、いっつもベティたちをしあわせにしてくれるから。ちにあし?つけてほしーの」
「は?あ?なに話聞いてなかったんだけど、どうなってんの?」
捲し立てられ囲まれて、どうやら誤解を生んでるらしいと気付いたときには、子供たちは手がつけられなくなっていた。
「別にいまさら恥ずかしがらなくても良いわよ。お兄さんの恋路を応援するって決めただけだもの」
「約束の儀式しよーよー!ニックは聖書を持ってきて!お子様聖書!あと誓いの、四角のビスケットってまだある?あるよねクロエ!」
「ええあるわね。ハンカチも綺麗なものを用意できたわ。クレヨンは何色が約束してない色だったかしら」
「ベティはピンクつかったの!ベティのママは紫!」
「ウィルと俺は青、クロエは…赤と黄色使ったんじゃなかったか?」
「白色と黒色が残ってるよー!お兄さんは何色がいいの?」
「なに、なにこれ?何するってった?お前ら。」
「いいから!白と黒と紫だったら何色が好き?!」
「?? 黒…だけど?」
「お兄さん、ここに名前書いて!」
クロエとニックから黒のクレヨンと本が手渡され、咄嗟に名を書き込む。(言い訳がましく聞こえるかもしれないが、書類仕事のせいでサインを求められたら書いてしまう癖がついてしまっていた。)ベティの手によってクッキーが箱から取り出され、テキパキとウィルがクッキーをハンカチに包み木箱の上に置いた。
「私たちは、私たちに誓います。秘密を守り、互いを助け、お兄さんとイヴァンを必ず結婚させます。」
「「「誓います!」」」
「はぁ!?何言って」
クロエがとんでもない宣言をした後聖書を閉じて振り上げる。いや、やめろよやめろ、そんな簡単に悪魔と連名して誓いを立てるな!
「はいはいお兄さん下がって下がって!危ないんだぜ。」
「クッキーちゃんと5個に割ってねクロエ!」
「がんばれークロエー。」
「ハッ!」
ドカバキ!と激しい音がして木箱は弾け飛んだ。クッキーは無事に五つに割れ、そして…誓いが、呪いが完成した。
ボフン、という音と共にオレの変身は解けてツノと尻尾が生えた。
ーー
追記 タイトルをクソガキたちとクレヨンの誓いに変更しました。
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