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それは出会いでした。
それが原因にゃし!ーぷろろーぐー
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ー霧が出てきたなぁ・・・ー
バスール公国国境から神国ミールに跨る森の中、ミールへ逃げる最中、霧に見舞った。
元バスール公国第4王子のロイドはミール神国の勇者を斬り捨ててしまい、国から逃げる事を選んだ。
ミール神国の召喚勇者が調子に乗って真剣での手合わせを挑んだからだ。
ミール神国はクルブナ帝国と戦争中で、その兵器として異世界より勇者を召喚していた。
そして、その勇者の強さを持ってバスール公国を傘下に入れ、クルブナ帝国へ挑もうと、勇者を公王に合わせた。
勇者はミール神国の聖女の姫と、属国であるエルフの国の王女と共に現バスール公王、ロイドの兄、マルカスに面会しに来ていた。
少し遅れて謁見の間に入ったロイドは会話が始まっていたので近衛隊の末席に並んだ。
(ロイドさま!?何してたんですか?)
隣にいたラカムが小声で話して来た。
(いや、ちと寝てた・・・)
(マルカス様、かなり怒ってましたよ!?)
隣の近衛隊員のラカムに若干怒られながら並んでいると、勇者は実力を見せよう。
などと言ってきた。
それまでラカムを仲間にするとか言ってきてた。
それを言われたラカム、かなり怒ってるな?
(・・・生理か?)
(~!!)
赤い顔して涙目で睨まれた。
図星か?
「・・・ロイド、貴様が行け」
兄貴になんか言われた。
(何してんですか!?ご指名ですよ!?)
いやだから何が?
するとラカムのアマ、俺を押しやがった。
少し蹌踉ながら前に出された。
「ロイド、貴様が・・・勇者の相手を務めよ」
は?
聞いて無かった。
あ、実力を測るのね?
この・・・名前解らない勇者くんの?
兄貴の顔を見る。
(手加減するなよ!?)
ーえ~?手加減しないと死んじゃうじゃん?ー
(いいから殺れ!!)
長年兄弟してるとアイコンタクトだけで解る。
溜息を吐き、兄貴に正対した。
「拝命仕りました・・・陛下」
そう言って腰の剣を・・・あ、忘れた。
腰にある筈だった剣が無かった。
「・・・ラカム!?」
ラカムに冷や汗かきながら見た。
ラカムも溜息を吐き、俺の元に来た。
(・・・マジ忘れですか?)
頭を掻いた。
さらに溜息を吐かれ、ラカムに剣を借りた。
って?
真剣でか!?
マジで死んじゃうじゃん!?
「君、えっと?スキノブくんかな?怪我したら回復してあげるから?」
兄貴と近衛隊全員が・・・名前知らないわ。
勇者くんの言葉で笑いを堪え出した。
どうやら俺はスキノブらしい。
さっきから全員に【鑑定】を使ってる勇者くん。
普通は王宮とかに来て王族に【鑑定】なんて使ったら不敬罪で死罪なんだよ?
そう言うのミールの姫とエルフちゃんは教えないの?
勇者くんは俺をずっと鑑定しっぱなすから勇者くんのステータスが丸見えなんだよ?
名前 p@j'.
種族 異世界人
職業 勇者
HP 1000/1000
MP 580/580
ギフトスキル
【鑑定】【次元収納】【全魔法属性】【時間停止】【ミール勇者戦闘術】
うーん・・・
かなり弱い。
名前読めねぇよ!!
異世界語か?
俺は勇者くんにどう表示されてんの?
名前 スキノブ
種族 人間
職業 下男(王宮道化師)
HP 350/350
MP 70/70
スキル
【大道芸】【生活魔法】【上級剣術】
わ、それは舐められてるわ。
本当の俺のスキルは、
名前 ロイド=バスール・ルクレイン
種族 人間
職業 近衛騎士団員(第4王子)
HP 18500/25500
MP 3400/3400
スキル
【バスール騎士戦闘術改】【中級回復魔法】
ギフトスキル
【反転】【偽装】
HPが減ってるね?
多分寝不足だからだ。
昨日色々あってね?
エルフちゃん可愛いな?
「始め!!」
うわ!兄貴、謁見の間で殺れってか!?
バスール王の開始の合図で取り敢えずラカムの剣を抜いた。
で、軽く構えた。
でも勇者くんは構えない。
「・・・あれ?行きますよ?横切りします、よ?」
「いいよ?スキノブ」
・・・馬鹿なの?
おい!ラカム笑うな!!
って腹抑えて青い顔するなよ!生理だろ!!
そのまま勇者くんまで走り、避けれるスピードで首めがけ斬る。
避けろよ?避けろよ?
うわ!止められねぇ!!
~・~・~・~・~・~・~・~
勇者の首が謁見の間に堕ちた。
その瞬間、勇者の身体は崩れ落ち、首から血飛沫を上げた。
その血がロイドに飛び散る。
ミールの姫は何が起こったのか解らす崩れ落ち、エルフの姫は悲鳴を上げた。
ミールの姫は四つん這いで勇者の首まで行き、それを抱いた。
「バスール王・・・これは!!」
「・・・謁見の間が汚れてしまった。まあ、勇者の亡骸は姫が【転移】で持って帰るとして・・・」
~・~・~・~・~・~・~・~
「汚ったね!?」
兄貴がそれを聞いてついに笑い転げた。
俺は仕方ないから剣を自分の服で拭き、ラカムに返した。
(お見事です!ロイドさま)
いや、兄貴が殺れって言ったからね?首切っちゃったよ?
ラカムの剣刃こぼれしちゃったよ?
返り血一杯浴びてしまった。
ラカムの生理血なら嬉しいのだが。
ラカムに睨まれた。
ごめん。
俺の太刀筋に対して勇者くんがやったのは【時間停止】。
恐らく俺を止めようとしたのだろう。
だが、それは俺の【反転】により、勇者くんに掛かり、勇者くんの時間が止まったのだ。
そして、勇者くんが止めれると思った俺の剣が止まる事なく、勇者くんの首を刎ねたのだ。
「さて・・・姫達はお帰りである。謁見の間の御法度の代金はおって報せると大神官達に言って下され?」
と、兄貴は言うと、近衛隊から4名が前に出て、ミールの姫とエルフちゃんを連れて行った。
と言うか、羽交締めし、引き摺り出した。
「【浄化】」
俺は近衛達と謁見の間を【浄化】し、ラカムは俺を【浄化】してくれた。
「馬鹿な男だ・・・ひたすらに鑑定ばかり使いおって・・・」
兄貴は玉座に座り、頬杖をつきながらぼやき出した。
さて、俺はどうしようかな?
「ロイド、貴様?なんで遅れた?」
兄貴は逃げようとした俺を呼び止めた。
「えーっと・・・言わないとダメにゃし~?」
「・・・また女か・・・」
と、溜息つかれた。
「貴様、我が国最強たる者なのになんでそう・・・はぁ。小言ばかり言ってられんな・・・」
親父の代わりを務めた俺の1番上の兄貴、マルカス=バスール・ブラックランは、言い切らぬ間に玉座から立ち上がり、執務室へと向かった。
「ロイド、程々。何事も程々が大事だぞ!?良いな!?」
と捨台詞を吐いて。
俺はこの世界フィピニスの一国の第4王子として産まれた。
純粋のフィピニス人。
異世界から来る勇者や、異世界から転生して来た者でも無い。
ただ、少しだけ違うのは、神様から【反転】と【偽装】と言う、自動的に発動するスキルを持って産まれた事。
そして、フィピニス最強の国の第4王子って事。
長男はさっきのマルカス兄貴。
10離れている。
次男は公爵家令嬢と結婚し、その公爵家を継いだロナ兄貴。
8離れてる。
三男は現王家筆頭魔道師になったカミオン兄貴。
5離れてる。
そして俺、やりたい事もなく、ただ遊び相手が近衛達だった事もあり、気が付いたらバスール近衛騎士団に入れられてた。
マルカス兄貴に・・・
お袋だった人は覚えて無い。
だって2才の時にミール神国に暗殺された。らしい。
証拠は無い。
ただ、お袋が殺された日、国交と称し、勇者と呼ばれる帝国向けの兵器が国に大量に居たからだ。
親父は10の時、同じくミール神国により暗殺された。
それも、お袋と一緒で確証した証拠は無かった。
で、マルカス兄貴が20才だったので即位する事になった。
今はマルカス兄貴の部屋の隣で兄貴警護を兼ねて寝泊まりしている。
昨日は、ちと城を抜け出して、色街に行ってた。
帰ったのは明るくなり出してた時間だ。
だって給料日だったもん!
娼館で3人抱いた。
気持ち良かった。
だが、満たされ無い。
なんでだ?
多分、入れたら皆んな気絶しちゃうのがイケナイんだよ?
だって、緩々なんだもん!
と、金無くなったんだった。
ラカム?
おーい?ラカム?
「金貸して?」
「はい!?昨日給料日でしたよね!?」
「無い」
「給料日は有りましたよ?」
「いや、金が昨日使い切ったから・・・」
ラカムに叩かれた。
叩いたラカムがお腹押さえて蹲った。
「もう嫌、女の体嫌!マジで痛い・・・」
あれ?生理痛軽減魔法ってのがあるって、侍女が知ってたぞ?
たしか?こうかな?
ラカムの頭に指をあてがい、魔力を流す。
「【痛み止め】」
「あ!・・・あ?楽になった!?嘘!?」
「ラカム、侍女達から聞いて無い系?」
「今のですか?」
「そう」
なんでも異世界から来た勇者に女が居て、その人が作った魔法らしい。
と、侍女が言ってた。
と、教えた。
「へー。【勇者殺し】のロイドさまが勇者の魔法を使っちゃうんだ・・・」
って!酷いな!?
折角ラカムに使ってあげたのに【勇者殺し】って何だよ!?
「さっき、近衛が言ってましたよ?ロイドさまの2つ名、【勇者殺し】な?って」
近衛達後でタコ殴り。
「では楽になったラカムさん?勇者のお供に誘われたラカムさん?生理が2日目で凄く重いラカ・・・」
また殴られた。
「・・・で?お幾らですか?」
わお!ラカム!マジ天使!!
と、両手を拡げて見せた。
「はあ!?」
1本減らした。
「え?マジですか?」
片手無くした。
「うわ!最低だわこの人・・・」
もう、減らしたくないよぅ!!
4本にした・・・
「馬鹿でしょ?給料全額使うとか?」
ラカムは3枚くれた。
「あげてません!貸したんです!!」
近衛騎士団の給料は、月、バスール金貨10枚である。
昨日はお姉ちゃん追加したから使い切ったんだよ!
あと三男のカミオン兄貴に7枚返したから・・・
カミオン兄貴、何故か俺の給料袋持ってた。
マルカス兄貴から直貰いが王家伝統なのに、「貴様の?知らぬな・・・」ってくれねえなと思ったら、ニコニコ顔してカミオン兄貴が俺に渡して来た。
全く、末っ子弄って楽しいか!?って、取ろうとしたら、それ引っ込めて、借りてた5枚プラス2枚抜きやがった。
「金の貸し借りは兄弟仲でも許せんな・・・」
マルカス兄貴、それ見ながらまた小言言いやがった。
「ロイドにも良き勉強になったでしょう」
って利息とか言いながら2枚取るか?
「どうせ色街に消えるんだし?・・・まあ、ある意味、国民に還元してますね・・・」
だったらもっとくれよ!?
俺働いてるよ?
先週だって、魔物の大規模発生、俺1人で行ったじゃん!?
その前は川の氾濫復旧作業したし?
「ロイド・・・当たり前だ!」
「ロイド?王家の誰かが行かないでどうする?」
「う!!・・・」
くそう!
正論だから仕方ない・・・
っと、んで金貨3枚握って滾るイライラを持て余し、夜、こっそり色街に行ったんだ。
「・・・ところで、剣は?いつものタダのブロードソードは?」
あれ?
そういや部屋にあったか?
・・・
あ。
再び夜、色街に剣を取りに城を抜け出す俺だった。
「これはこれは殿下。いつもご贔屓に・・・」
俺行き着け、娼館『艷椿濡牡丹』オーナー、クピカが直接俺の元に来た。
クピカのナイトドレスから見える胸を、たゆんたゆんと指で弾きながら聞く。
「俺、剣忘れてねぇ?」
「魔剣でしたっけ?ヒック!!聖剣でしたっけ?ヒック!!・・・って、殿下に着いてるのは道祖神。きゃはははヒック!!」
って、クピカが俺の股間を触る。
クピカ酒臭ぇ・・・
「あ、・・・石コロサイズ・・・ヒック!!」
クピカの乳たゆんたゆん遊びだけじゃ立たねぇよ!!
それより剣、本物の剣だよ!!其方じゃねえよ!クピカ!何時まで触ってんだよ!!
「殿下が、ヒック!!・・・お触り無料をヒック!!・・・何時までもしてるから、殿下の殿下をヒック!!・・・無料が続く限り、私がヒック!!・・・触ってるのら~~~!!きゃははは!!ヒック!!」
ダメだ。
クピカじゃ話にならねぇ・・・
クピカを俺の横に座らせ、外に出て強面お兄さんに聞く。
「リガイア?俺の剣知らねぇか?」
「?・・・殿下、昨日来た時、剣持って来なかったですよ?大概、俺が預かるし?」
あ、そうだった・・・
武器の携帯はリガイアに預けてから入るんだった・・・
「やべ・・・失くしたわ・・・って、なんでオーナーのクピカまで酒飲んでんだよ!?」
「今日は昨日、殿下が置いてった金で皆んな飲んでますから?・・・そういや剣ですかいね?・・・並なら忘れ物が有りますがどうします?」
リガイアは横にある樽を開け、そこから何本か並べてくれた。
「うーん・・・この錆出したブロードソードでいいわ。くれ!!」
赤錆が目立ち出した何年忘れられたかわからないブロードソードを手に取った。
「本当に殿下は変わってますよね?歴代最強のエロ王子で武器を見る目が無い・・・」
そんな良く切れそうなバスタードソードとか、サーベルとか持ったら死んじゃうじゃん?相手が?
だから錆たこれにしたの!!
タバコに火を付け煙を吐くリガイア。
そのタバコを奪い、俺も吸う。
「・・・で?殿下は如何するんですかい?」
俺に取られ。
いや、始めから取られると思っていたんだろう。
もう一本出し、吸うリガイア。
「ん?・・・今後か?今日か?」
「まあ?・・・俺っち的には今後が聞きたいかな?」
リガイアはよく俺の相談とか雑談とかに付き合ってくれる、腐れ縁みたいなダチだ。
「・・・今日は帰る。今後は・・・」
「城抜けだって得意なんだ?旅なんて如何ですかい?」
旅か?
そりゃいいな?
「そうだな?ここにいたら、訳わからない何処ぞの御令嬢と結婚させられるのがオチだしな?」
「なんですかい?そんな話があるんですかい?」
「んにゃ?無いにゃし?」
じゃあ思わせ振り発言すんなよ!!
と、背中を叩かれた。
リガイアと軽く挨拶し、城に帰った。
~・~・~・~・~・~・~・~
「ロイドさま~?起きて下さい~?」
揺すり起こされた。
侍女に。
「陛下が~お呼びですよ~」
と、俺が着替えてるのに平気で部屋を掃除しだす侍女。
「正確に言えばロイドさま~?邪魔~」
く!
第4王子だからってそんな乱雑に扱わ無くても・・・。
侍女に部屋を服を着替える前に追い出された。
一応仲いい兄弟だが、親しき仲にも礼儀あり。が家訓の1つのため、身なりを整えながらマルカス兄貴が居るであろう玉座・・・
「ロイド、コッチだ」
と、嫁いだ筈のロナ兄貴が王執務室から顔を出して呼んだ。
「なんでロナ兄貴が?」
「まあ入れ」
ロナ兄貴に部屋に入れられると、頭を抱え悩むマルカス兄貴、その横で同じく試行錯誤するカミオン兄貴が居た。
「遅れました陛下・・・」
「ロイド・・・すまない・・・死んでくれ?」
陛下に死ねと言われた。
そこまでの罪を俺はしたようだ。
どの件かわからないが勅命であった。
仕方ない。
死ぬか・・・
腰にある昨日貰った錆びたブロードソードを抜いた。
「ロナ兄貴が介錯な?」
錆びてて痛そうだ・・・
「・・・陛下の命令だから仕方ないな・・・」
と、俺の横を素通りし、マルカス兄貴の前に座った。
「・・・何してる?」
マルカス兄貴が俺の首に剣先を当てがう姿を不思議に見る。
「・・・いや死ねって?」
溜息を吐き、マルカスは自分の隣を数回叩く。
隣に来いってか?
「失礼します?」
剣を納刀・・・
ギ、ギ、ギ、って、錆びて入り辛い。
「整備しなよ?ロイド・・・」
カミオン兄貴に呆れられた。
仕方ねえじゃん?
昨日娼館から貰った剣なんだから!!
なんとか納刀し、マルカス兄貴の横に座る。
「・・・久々の4兄弟が揃ったってのにロイドの処刑話かよ・・・」
うん。
だからロナ兄貴が介錯してくれよな?
「・・・どっかの辺境伯の娘婿とか?」
カミオン兄貴が訳わからない事を言う。
「・・・それが無難か?」
マルカス兄貴はなんか納得?
「・・・なんの話してんだ?」
堪らず聞いた。
「・・・お前の首寄越せってミールが言ってきたんだ」
と、ロナ兄貴が俺の前に手紙を投げた。
それを拾い中を見る。
俺が殺した勇者は帝国切札の1人で、大神官達は大層お怒りで、俺の首を寄越さないと、不幸が再び訪れるぞっと・・・。
「・・・何処へ行く!!」
「ん?ミールに行って大神官供殺してくる」
親殺し認めた奴等を殺しまくってきます。
「馬鹿言うな!?そんな事したら国家間のバランスが崩れるだろうが!!」
マルカス兄貴、俺が大神官供殺せるの知ってるようだ。
「・・・!!それだ!!」
カミオン兄貴がなんか閃いたみたいだ。
まあ、ミールに行って殺して来ますよ?大神官供も勇者も?
「ロイド、座れよ!!そうだよ!マルカス兄さん!ロイドがバスールから居なくなればいいんだよ!」
「・・・成る程、ロイドを捜索中って事にするんだな?」
ロナ兄貴も何言ってんだ?
「・・・そうだな?それが1番良い方法だ」
マルカス兄貴も何言ってんの?
マルカス兄貴は立ち上がり、床を捲る。
そんな所開くんだ!?
スゲーな?
って違うわ・・・それ何?
「ロイド、貴様、旅に出ろ。行き先はミール」
と、床から取り出した大袋を俺に投げてきた。
「なんだこれ?」
「そりゃ・・・俺にも夢があったんだよ!!聞くな!!」
って、30が顔を赤らめんなってーの。
袋を開けると着替え、レザー装備、毛布、ローブ、水筒が入っていた。
なんか旅支度っぽい?
「・・・そんなマジマジと見るな!!」
兄貴の夢ってか。
「ロイド、勅命である。ミールに向かい、勇者の間引きを行うがよい」
わ!
ここで勅命かよ!?
すかさず立ち上がり、胸に手を当て兄貴に頭を下げる。
「賜りました陛下・・・って?」
こうして兄貴達の勅命でミールに行く事になった。
カミオン兄貴、金貨30枚しかくれねえし。
ロナ兄貴なんか手振るだけだし。
ラカムなんか馬はここまでです!って金返せ!って・・・
だから正確には金貨26枚。
足す3枚だから29枚。
一枚は利息だとか抜かしやがって・・・
「グルル・・・」
うるせえ!!
【威圧】最大で睨みつけた。
白い巨体な犬は「キャン!!」と吠えて、霧の中に消えた。
それは神獣と言われるバスールとミールの間にある霧の樹海の主、フェンリルだった・・・
パワーバランスが崩れた事で、難なく霧の森を抜ける。
そこにはバスール、ミール国境の砦を越え、かなり迂回した作りの街道があった。
それを歩き、ミールの村に着き、その村の周りの魔物を間引き、御礼に食料と水を貰い、さらに街道を進んで行けばマッサキと言う街があると教えて貰い、そこにとりあえず向かう事にしたロイドだった。
バスール公国国境から神国ミールに跨る森の中、ミールへ逃げる最中、霧に見舞った。
元バスール公国第4王子のロイドはミール神国の勇者を斬り捨ててしまい、国から逃げる事を選んだ。
ミール神国の召喚勇者が調子に乗って真剣での手合わせを挑んだからだ。
ミール神国はクルブナ帝国と戦争中で、その兵器として異世界より勇者を召喚していた。
そして、その勇者の強さを持ってバスール公国を傘下に入れ、クルブナ帝国へ挑もうと、勇者を公王に合わせた。
勇者はミール神国の聖女の姫と、属国であるエルフの国の王女と共に現バスール公王、ロイドの兄、マルカスに面会しに来ていた。
少し遅れて謁見の間に入ったロイドは会話が始まっていたので近衛隊の末席に並んだ。
(ロイドさま!?何してたんですか?)
隣にいたラカムが小声で話して来た。
(いや、ちと寝てた・・・)
(マルカス様、かなり怒ってましたよ!?)
隣の近衛隊員のラカムに若干怒られながら並んでいると、勇者は実力を見せよう。
などと言ってきた。
それまでラカムを仲間にするとか言ってきてた。
それを言われたラカム、かなり怒ってるな?
(・・・生理か?)
(~!!)
赤い顔して涙目で睨まれた。
図星か?
「・・・ロイド、貴様が行け」
兄貴になんか言われた。
(何してんですか!?ご指名ですよ!?)
いやだから何が?
するとラカムのアマ、俺を押しやがった。
少し蹌踉ながら前に出された。
「ロイド、貴様が・・・勇者の相手を務めよ」
は?
聞いて無かった。
あ、実力を測るのね?
この・・・名前解らない勇者くんの?
兄貴の顔を見る。
(手加減するなよ!?)
ーえ~?手加減しないと死んじゃうじゃん?ー
(いいから殺れ!!)
長年兄弟してるとアイコンタクトだけで解る。
溜息を吐き、兄貴に正対した。
「拝命仕りました・・・陛下」
そう言って腰の剣を・・・あ、忘れた。
腰にある筈だった剣が無かった。
「・・・ラカム!?」
ラカムに冷や汗かきながら見た。
ラカムも溜息を吐き、俺の元に来た。
(・・・マジ忘れですか?)
頭を掻いた。
さらに溜息を吐かれ、ラカムに剣を借りた。
って?
真剣でか!?
マジで死んじゃうじゃん!?
「君、えっと?スキノブくんかな?怪我したら回復してあげるから?」
兄貴と近衛隊全員が・・・名前知らないわ。
勇者くんの言葉で笑いを堪え出した。
どうやら俺はスキノブらしい。
さっきから全員に【鑑定】を使ってる勇者くん。
普通は王宮とかに来て王族に【鑑定】なんて使ったら不敬罪で死罪なんだよ?
そう言うのミールの姫とエルフちゃんは教えないの?
勇者くんは俺をずっと鑑定しっぱなすから勇者くんのステータスが丸見えなんだよ?
名前 p@j'.
種族 異世界人
職業 勇者
HP 1000/1000
MP 580/580
ギフトスキル
【鑑定】【次元収納】【全魔法属性】【時間停止】【ミール勇者戦闘術】
うーん・・・
かなり弱い。
名前読めねぇよ!!
異世界語か?
俺は勇者くんにどう表示されてんの?
名前 スキノブ
種族 人間
職業 下男(王宮道化師)
HP 350/350
MP 70/70
スキル
【大道芸】【生活魔法】【上級剣術】
わ、それは舐められてるわ。
本当の俺のスキルは、
名前 ロイド=バスール・ルクレイン
種族 人間
職業 近衛騎士団員(第4王子)
HP 18500/25500
MP 3400/3400
スキル
【バスール騎士戦闘術改】【中級回復魔法】
ギフトスキル
【反転】【偽装】
HPが減ってるね?
多分寝不足だからだ。
昨日色々あってね?
エルフちゃん可愛いな?
「始め!!」
うわ!兄貴、謁見の間で殺れってか!?
バスール王の開始の合図で取り敢えずラカムの剣を抜いた。
で、軽く構えた。
でも勇者くんは構えない。
「・・・あれ?行きますよ?横切りします、よ?」
「いいよ?スキノブ」
・・・馬鹿なの?
おい!ラカム笑うな!!
って腹抑えて青い顔するなよ!生理だろ!!
そのまま勇者くんまで走り、避けれるスピードで首めがけ斬る。
避けろよ?避けろよ?
うわ!止められねぇ!!
~・~・~・~・~・~・~・~
勇者の首が謁見の間に堕ちた。
その瞬間、勇者の身体は崩れ落ち、首から血飛沫を上げた。
その血がロイドに飛び散る。
ミールの姫は何が起こったのか解らす崩れ落ち、エルフの姫は悲鳴を上げた。
ミールの姫は四つん這いで勇者の首まで行き、それを抱いた。
「バスール王・・・これは!!」
「・・・謁見の間が汚れてしまった。まあ、勇者の亡骸は姫が【転移】で持って帰るとして・・・」
~・~・~・~・~・~・~・~
「汚ったね!?」
兄貴がそれを聞いてついに笑い転げた。
俺は仕方ないから剣を自分の服で拭き、ラカムに返した。
(お見事です!ロイドさま)
いや、兄貴が殺れって言ったからね?首切っちゃったよ?
ラカムの剣刃こぼれしちゃったよ?
返り血一杯浴びてしまった。
ラカムの生理血なら嬉しいのだが。
ラカムに睨まれた。
ごめん。
俺の太刀筋に対して勇者くんがやったのは【時間停止】。
恐らく俺を止めようとしたのだろう。
だが、それは俺の【反転】により、勇者くんに掛かり、勇者くんの時間が止まったのだ。
そして、勇者くんが止めれると思った俺の剣が止まる事なく、勇者くんの首を刎ねたのだ。
「さて・・・姫達はお帰りである。謁見の間の御法度の代金はおって報せると大神官達に言って下され?」
と、兄貴は言うと、近衛隊から4名が前に出て、ミールの姫とエルフちゃんを連れて行った。
と言うか、羽交締めし、引き摺り出した。
「【浄化】」
俺は近衛達と謁見の間を【浄化】し、ラカムは俺を【浄化】してくれた。
「馬鹿な男だ・・・ひたすらに鑑定ばかり使いおって・・・」
兄貴は玉座に座り、頬杖をつきながらぼやき出した。
さて、俺はどうしようかな?
「ロイド、貴様?なんで遅れた?」
兄貴は逃げようとした俺を呼び止めた。
「えーっと・・・言わないとダメにゃし~?」
「・・・また女か・・・」
と、溜息つかれた。
「貴様、我が国最強たる者なのになんでそう・・・はぁ。小言ばかり言ってられんな・・・」
親父の代わりを務めた俺の1番上の兄貴、マルカス=バスール・ブラックランは、言い切らぬ間に玉座から立ち上がり、執務室へと向かった。
「ロイド、程々。何事も程々が大事だぞ!?良いな!?」
と捨台詞を吐いて。
俺はこの世界フィピニスの一国の第4王子として産まれた。
純粋のフィピニス人。
異世界から来る勇者や、異世界から転生して来た者でも無い。
ただ、少しだけ違うのは、神様から【反転】と【偽装】と言う、自動的に発動するスキルを持って産まれた事。
そして、フィピニス最強の国の第4王子って事。
長男はさっきのマルカス兄貴。
10離れている。
次男は公爵家令嬢と結婚し、その公爵家を継いだロナ兄貴。
8離れてる。
三男は現王家筆頭魔道師になったカミオン兄貴。
5離れてる。
そして俺、やりたい事もなく、ただ遊び相手が近衛達だった事もあり、気が付いたらバスール近衛騎士団に入れられてた。
マルカス兄貴に・・・
お袋だった人は覚えて無い。
だって2才の時にミール神国に暗殺された。らしい。
証拠は無い。
ただ、お袋が殺された日、国交と称し、勇者と呼ばれる帝国向けの兵器が国に大量に居たからだ。
親父は10の時、同じくミール神国により暗殺された。
それも、お袋と一緒で確証した証拠は無かった。
で、マルカス兄貴が20才だったので即位する事になった。
今はマルカス兄貴の部屋の隣で兄貴警護を兼ねて寝泊まりしている。
昨日は、ちと城を抜け出して、色街に行ってた。
帰ったのは明るくなり出してた時間だ。
だって給料日だったもん!
娼館で3人抱いた。
気持ち良かった。
だが、満たされ無い。
なんでだ?
多分、入れたら皆んな気絶しちゃうのがイケナイんだよ?
だって、緩々なんだもん!
と、金無くなったんだった。
ラカム?
おーい?ラカム?
「金貸して?」
「はい!?昨日給料日でしたよね!?」
「無い」
「給料日は有りましたよ?」
「いや、金が昨日使い切ったから・・・」
ラカムに叩かれた。
叩いたラカムがお腹押さえて蹲った。
「もう嫌、女の体嫌!マジで痛い・・・」
あれ?生理痛軽減魔法ってのがあるって、侍女が知ってたぞ?
たしか?こうかな?
ラカムの頭に指をあてがい、魔力を流す。
「【痛み止め】」
「あ!・・・あ?楽になった!?嘘!?」
「ラカム、侍女達から聞いて無い系?」
「今のですか?」
「そう」
なんでも異世界から来た勇者に女が居て、その人が作った魔法らしい。
と、侍女が言ってた。
と、教えた。
「へー。【勇者殺し】のロイドさまが勇者の魔法を使っちゃうんだ・・・」
って!酷いな!?
折角ラカムに使ってあげたのに【勇者殺し】って何だよ!?
「さっき、近衛が言ってましたよ?ロイドさまの2つ名、【勇者殺し】な?って」
近衛達後でタコ殴り。
「では楽になったラカムさん?勇者のお供に誘われたラカムさん?生理が2日目で凄く重いラカ・・・」
また殴られた。
「・・・で?お幾らですか?」
わお!ラカム!マジ天使!!
と、両手を拡げて見せた。
「はあ!?」
1本減らした。
「え?マジですか?」
片手無くした。
「うわ!最低だわこの人・・・」
もう、減らしたくないよぅ!!
4本にした・・・
「馬鹿でしょ?給料全額使うとか?」
ラカムは3枚くれた。
「あげてません!貸したんです!!」
近衛騎士団の給料は、月、バスール金貨10枚である。
昨日はお姉ちゃん追加したから使い切ったんだよ!
あと三男のカミオン兄貴に7枚返したから・・・
カミオン兄貴、何故か俺の給料袋持ってた。
マルカス兄貴から直貰いが王家伝統なのに、「貴様の?知らぬな・・・」ってくれねえなと思ったら、ニコニコ顔してカミオン兄貴が俺に渡して来た。
全く、末っ子弄って楽しいか!?って、取ろうとしたら、それ引っ込めて、借りてた5枚プラス2枚抜きやがった。
「金の貸し借りは兄弟仲でも許せんな・・・」
マルカス兄貴、それ見ながらまた小言言いやがった。
「ロイドにも良き勉強になったでしょう」
って利息とか言いながら2枚取るか?
「どうせ色街に消えるんだし?・・・まあ、ある意味、国民に還元してますね・・・」
だったらもっとくれよ!?
俺働いてるよ?
先週だって、魔物の大規模発生、俺1人で行ったじゃん!?
その前は川の氾濫復旧作業したし?
「ロイド・・・当たり前だ!」
「ロイド?王家の誰かが行かないでどうする?」
「う!!・・・」
くそう!
正論だから仕方ない・・・
っと、んで金貨3枚握って滾るイライラを持て余し、夜、こっそり色街に行ったんだ。
「・・・ところで、剣は?いつものタダのブロードソードは?」
あれ?
そういや部屋にあったか?
・・・
あ。
再び夜、色街に剣を取りに城を抜け出す俺だった。
「これはこれは殿下。いつもご贔屓に・・・」
俺行き着け、娼館『艷椿濡牡丹』オーナー、クピカが直接俺の元に来た。
クピカのナイトドレスから見える胸を、たゆんたゆんと指で弾きながら聞く。
「俺、剣忘れてねぇ?」
「魔剣でしたっけ?ヒック!!聖剣でしたっけ?ヒック!!・・・って、殿下に着いてるのは道祖神。きゃはははヒック!!」
って、クピカが俺の股間を触る。
クピカ酒臭ぇ・・・
「あ、・・・石コロサイズ・・・ヒック!!」
クピカの乳たゆんたゆん遊びだけじゃ立たねぇよ!!
それより剣、本物の剣だよ!!其方じゃねえよ!クピカ!何時まで触ってんだよ!!
「殿下が、ヒック!!・・・お触り無料をヒック!!・・・何時までもしてるから、殿下の殿下をヒック!!・・・無料が続く限り、私がヒック!!・・・触ってるのら~~~!!きゃははは!!ヒック!!」
ダメだ。
クピカじゃ話にならねぇ・・・
クピカを俺の横に座らせ、外に出て強面お兄さんに聞く。
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あ、そうだった・・・
武器の携帯はリガイアに預けてから入るんだった・・・
「やべ・・・失くしたわ・・・って、なんでオーナーのクピカまで酒飲んでんだよ!?」
「今日は昨日、殿下が置いてった金で皆んな飲んでますから?・・・そういや剣ですかいね?・・・並なら忘れ物が有りますがどうします?」
リガイアは横にある樽を開け、そこから何本か並べてくれた。
「うーん・・・この錆出したブロードソードでいいわ。くれ!!」
赤錆が目立ち出した何年忘れられたかわからないブロードソードを手に取った。
「本当に殿下は変わってますよね?歴代最強のエロ王子で武器を見る目が無い・・・」
そんな良く切れそうなバスタードソードとか、サーベルとか持ったら死んじゃうじゃん?相手が?
だから錆たこれにしたの!!
タバコに火を付け煙を吐くリガイア。
そのタバコを奪い、俺も吸う。
「・・・で?殿下は如何するんですかい?」
俺に取られ。
いや、始めから取られると思っていたんだろう。
もう一本出し、吸うリガイア。
「ん?・・・今後か?今日か?」
「まあ?・・・俺っち的には今後が聞きたいかな?」
リガイアはよく俺の相談とか雑談とかに付き合ってくれる、腐れ縁みたいなダチだ。
「・・・今日は帰る。今後は・・・」
「城抜けだって得意なんだ?旅なんて如何ですかい?」
旅か?
そりゃいいな?
「そうだな?ここにいたら、訳わからない何処ぞの御令嬢と結婚させられるのがオチだしな?」
「なんですかい?そんな話があるんですかい?」
「んにゃ?無いにゃし?」
じゃあ思わせ振り発言すんなよ!!
と、背中を叩かれた。
リガイアと軽く挨拶し、城に帰った。
~・~・~・~・~・~・~・~
「ロイドさま~?起きて下さい~?」
揺すり起こされた。
侍女に。
「陛下が~お呼びですよ~」
と、俺が着替えてるのに平気で部屋を掃除しだす侍女。
「正確に言えばロイドさま~?邪魔~」
く!
第4王子だからってそんな乱雑に扱わ無くても・・・。
侍女に部屋を服を着替える前に追い出された。
一応仲いい兄弟だが、親しき仲にも礼儀あり。が家訓の1つのため、身なりを整えながらマルカス兄貴が居るであろう玉座・・・
「ロイド、コッチだ」
と、嫁いだ筈のロナ兄貴が王執務室から顔を出して呼んだ。
「なんでロナ兄貴が?」
「まあ入れ」
ロナ兄貴に部屋に入れられると、頭を抱え悩むマルカス兄貴、その横で同じく試行錯誤するカミオン兄貴が居た。
「遅れました陛下・・・」
「ロイド・・・すまない・・・死んでくれ?」
陛下に死ねと言われた。
そこまでの罪を俺はしたようだ。
どの件かわからないが勅命であった。
仕方ない。
死ぬか・・・
腰にある昨日貰った錆びたブロードソードを抜いた。
「ロナ兄貴が介錯な?」
錆びてて痛そうだ・・・
「・・・陛下の命令だから仕方ないな・・・」
と、俺の横を素通りし、マルカス兄貴の前に座った。
「・・・何してる?」
マルカス兄貴が俺の首に剣先を当てがう姿を不思議に見る。
「・・・いや死ねって?」
溜息を吐き、マルカスは自分の隣を数回叩く。
隣に来いってか?
「失礼します?」
剣を納刀・・・
ギ、ギ、ギ、って、錆びて入り辛い。
「整備しなよ?ロイド・・・」
カミオン兄貴に呆れられた。
仕方ねえじゃん?
昨日娼館から貰った剣なんだから!!
なんとか納刀し、マルカス兄貴の横に座る。
「・・・久々の4兄弟が揃ったってのにロイドの処刑話かよ・・・」
うん。
だからロナ兄貴が介錯してくれよな?
「・・・どっかの辺境伯の娘婿とか?」
カミオン兄貴が訳わからない事を言う。
「・・・それが無難か?」
マルカス兄貴はなんか納得?
「・・・なんの話してんだ?」
堪らず聞いた。
「・・・お前の首寄越せってミールが言ってきたんだ」
と、ロナ兄貴が俺の前に手紙を投げた。
それを拾い中を見る。
俺が殺した勇者は帝国切札の1人で、大神官達は大層お怒りで、俺の首を寄越さないと、不幸が再び訪れるぞっと・・・。
「・・・何処へ行く!!」
「ん?ミールに行って大神官供殺してくる」
親殺し認めた奴等を殺しまくってきます。
「馬鹿言うな!?そんな事したら国家間のバランスが崩れるだろうが!!」
マルカス兄貴、俺が大神官供殺せるの知ってるようだ。
「・・・!!それだ!!」
カミオン兄貴がなんか閃いたみたいだ。
まあ、ミールに行って殺して来ますよ?大神官供も勇者も?
「ロイド、座れよ!!そうだよ!マルカス兄さん!ロイドがバスールから居なくなればいいんだよ!」
「・・・成る程、ロイドを捜索中って事にするんだな?」
ロナ兄貴も何言ってんだ?
「・・・そうだな?それが1番良い方法だ」
マルカス兄貴も何言ってんの?
マルカス兄貴は立ち上がり、床を捲る。
そんな所開くんだ!?
スゲーな?
って違うわ・・・それ何?
「ロイド、貴様、旅に出ろ。行き先はミール」
と、床から取り出した大袋を俺に投げてきた。
「なんだこれ?」
「そりゃ・・・俺にも夢があったんだよ!!聞くな!!」
って、30が顔を赤らめんなってーの。
袋を開けると着替え、レザー装備、毛布、ローブ、水筒が入っていた。
なんか旅支度っぽい?
「・・・そんなマジマジと見るな!!」
兄貴の夢ってか。
「ロイド、勅命である。ミールに向かい、勇者の間引きを行うがよい」
わ!
ここで勅命かよ!?
すかさず立ち上がり、胸に手を当て兄貴に頭を下げる。
「賜りました陛下・・・って?」
こうして兄貴達の勅命でミールに行く事になった。
カミオン兄貴、金貨30枚しかくれねえし。
ロナ兄貴なんか手振るだけだし。
ラカムなんか馬はここまでです!って金返せ!って・・・
だから正確には金貨26枚。
足す3枚だから29枚。
一枚は利息だとか抜かしやがって・・・
「グルル・・・」
うるせえ!!
【威圧】最大で睨みつけた。
白い巨体な犬は「キャン!!」と吠えて、霧の中に消えた。
それは神獣と言われるバスールとミールの間にある霧の樹海の主、フェンリルだった・・・
パワーバランスが崩れた事で、難なく霧の森を抜ける。
そこにはバスール、ミール国境の砦を越え、かなり迂回した作りの街道があった。
それを歩き、ミールの村に着き、その村の周りの魔物を間引き、御礼に食料と水を貰い、さらに街道を進んで行けばマッサキと言う街があると教えて貰い、そこにとりあえず向かう事にしたロイドだった。
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