4 / 8
序章 憧れの志望校へ
3話 黄昏時
しおりを挟む
『弓木ぃ、このままだと志望校はまず無理だぞ』
私は先生から告げられた内容に絶句。
その反応に先生も絶句。
『言ってたよね?このままだと危ないよって』
……たしかに、
思い起こせば何度か言ってくれてた気がする。
『弓木は勉強以外は良いんだけどな……』
――褒められてるのか、けなされてるのか。
『志望校以外なら、推薦取れる高校も結構あるんだぞ?』
正直、魅力的な響きだった。
スポーツに重点を置いた学校なら悪い成績でも行けると。
でも……、最大の問題は通学時間だった。
推薦校までは最低でも片道1時間、場所によっては一時間半はかかる。
低血圧の私にとって、起床が極早朝は拷問でしかない。
起きてからも何かとやる事は多くて、一番重要で大変なのがお弁当作り。
前日に作り置きすれば良いかもしれないけど、そこまでしないといけないのは想定外。
たまには夜更かしもしちゃうし、寝坊なんてしたら間違いなく遅刻。
このまま行くと待ってるのは苦痛から始まる高校生活。
全部自業自得だけど……。
「――部活、辞めます」
結局、
こうするしかなかった。
顧問の前で涙が止まらなかったよ、それぐらい部活がたのしかったから。
でも、このまま勉強をせずに進めば後悔以外何もない。
妥協も出来ないのなら、最善の手をつかみ取るしかなかった。
――勉強不足はうすうす感じてたけど、
面と向かっていわれると結構ショックだったな――。
それから遅れを取り戻すために勉強漬けの毎日が始まった。
そうまでして入りたかったんだ蘭北女子に――。
――室蘭市立蘭北女子高等学校。
胆振地区の女子中・高を統合して出来た学校で、
もとは完全中高一貫校だったのが私の代から受験可能になった。
15年くらい前に出来た新しい学校で建物はとても綺麗。
全校生徒は約2000人、俗にいうマンモス校だった。
学業も部活動も力の入れ方が豪快で学校の魅力は満点。
設備も最新鋭ってパンフレットで見た。
なにより、家からとても近くて徒歩15分圏内ってのは破格。
最近は、進学校としても力を入れ始めたから、一気に敷居が高くなっちゃた。
学校が近い以外にも思うところはあったんだよ?
それをどうするかは自分次第だけどね。
志望校を目指し全力で進み始めた私は、
中間テストが終わってから、ずーっと家と塾の往復。
夏期講習、特別講習、冬期講習……、その苦しさには涙も枯れ果てたよ。
何とかの毛も抜かれて鼻血も出ねぇやってやつ。
勉強がキツくて何度も諦めようとしたけど、やっていく内に慣れていくもんだね。
後半は勉強する事にそこまで苦痛は感じなかった。
苦労した分の見返りを貰う気すら芽生えるくらいだから。
そして、迎えた試験当日。
実はあまり覚えてないんだ。
ただひたすらこなしていったと思う、目の前の用紙を見つめながら――。
私は先生から告げられた内容に絶句。
その反応に先生も絶句。
『言ってたよね?このままだと危ないよって』
……たしかに、
思い起こせば何度か言ってくれてた気がする。
『弓木は勉強以外は良いんだけどな……』
――褒められてるのか、けなされてるのか。
『志望校以外なら、推薦取れる高校も結構あるんだぞ?』
正直、魅力的な響きだった。
スポーツに重点を置いた学校なら悪い成績でも行けると。
でも……、最大の問題は通学時間だった。
推薦校までは最低でも片道1時間、場所によっては一時間半はかかる。
低血圧の私にとって、起床が極早朝は拷問でしかない。
起きてからも何かとやる事は多くて、一番重要で大変なのがお弁当作り。
前日に作り置きすれば良いかもしれないけど、そこまでしないといけないのは想定外。
たまには夜更かしもしちゃうし、寝坊なんてしたら間違いなく遅刻。
このまま行くと待ってるのは苦痛から始まる高校生活。
全部自業自得だけど……。
「――部活、辞めます」
結局、
こうするしかなかった。
顧問の前で涙が止まらなかったよ、それぐらい部活がたのしかったから。
でも、このまま勉強をせずに進めば後悔以外何もない。
妥協も出来ないのなら、最善の手をつかみ取るしかなかった。
――勉強不足はうすうす感じてたけど、
面と向かっていわれると結構ショックだったな――。
それから遅れを取り戻すために勉強漬けの毎日が始まった。
そうまでして入りたかったんだ蘭北女子に――。
――室蘭市立蘭北女子高等学校。
胆振地区の女子中・高を統合して出来た学校で、
もとは完全中高一貫校だったのが私の代から受験可能になった。
15年くらい前に出来た新しい学校で建物はとても綺麗。
全校生徒は約2000人、俗にいうマンモス校だった。
学業も部活動も力の入れ方が豪快で学校の魅力は満点。
設備も最新鋭ってパンフレットで見た。
なにより、家からとても近くて徒歩15分圏内ってのは破格。
最近は、進学校としても力を入れ始めたから、一気に敷居が高くなっちゃた。
学校が近い以外にも思うところはあったんだよ?
それをどうするかは自分次第だけどね。
志望校を目指し全力で進み始めた私は、
中間テストが終わってから、ずーっと家と塾の往復。
夏期講習、特別講習、冬期講習……、その苦しさには涙も枯れ果てたよ。
何とかの毛も抜かれて鼻血も出ねぇやってやつ。
勉強がキツくて何度も諦めようとしたけど、やっていく内に慣れていくもんだね。
後半は勉強する事にそこまで苦痛は感じなかった。
苦労した分の見返りを貰う気すら芽生えるくらいだから。
そして、迎えた試験当日。
実はあまり覚えてないんだ。
ただひたすらこなしていったと思う、目の前の用紙を見つめながら――。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる