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序章

なかなかなトイレ

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 さて、先程目があった女子には後で声をかけるとして。本来の目的のトイレにいこうかね。

「そんじゃ、トイレ行こうか」

 そう言うと、西城はアニメの話を止めてトイレに向かって歩き出した。

「お、そうだったな。トイレに行くという目的をすっかり忘れていたよ」

 こいつアニメ大好きだもんな。
 将来は、2次元と結婚するんだとか、胸を張って俺に言って来たぐらいだし。
 2次元と結婚するのならあなたのイケメンスキルを私に下さい。
 わりと、マジメに。

 なんてことを考えながら歩いていたら、男子トイレについた。
 見た目は何処にでもあるトイレの入り口だが、ここの学校のトイレはひと味違う。

 なんと、わざわざトイレに入室するために学生証をつかって、認証しないといけないのだ。

 《学生証の認証をお願いします》

 このように、トイレの入り口に立つと機会音声により学生証の認証を促される。

「いつものことながら、変わってるよな、うちの学校のトイレ。何故、トイレだけに学生証の認証機能つけたし」

「あれだろ、トイレが無駄に豪華だからだろう」

「まあ、確かにトイレらしからぬ場所になっているもんな」

「だな、エアコン完備、Wi-Fi完備、飲み物を入れておける大型クーラーボックス完備とまだまだ色々あるしな」

 そう、何故か我が校はトイレが無駄に凄いのだ。

 ちなみに、男性のトイレに小便器はない。

 なぜなら、男女どちらのトイレも、全て洋式だからだ。

「じゃ、入るか」

「そうだな」

 俺たちは学生証を胸ポケットから取り出し、入り口の横にある液晶パネルに3秒程、触れさせる。

 《認証完了しました、どうぞお入り下さい》

 やっと、入れる。

 そして、トイレのなかにはいると。

 なんということでしょう、まるで高級ホテルのようなLEDシャンデリアに、これまた高級ホテルにあるような洗面台があるではありませんか。
 それに、優雅なクラシックも流れているではありませんか。

 おっと、いけない。
 つい、某、劇的ビフォーア○ターの番組のようにトイレの内装を紹介してしまった。

「トイレじゃないよな、どう見たって」

 とか、西城が言っているが俺は気にせずに便器がある所まで向かう。
 そこそこ、トイレのなかは広く、広さは約25畳程である。
 どのような形をしているかというと、長方形型のリビングを想像していただけるとわかるだろう。
 で、肝心の用をたすための便器は、一番奥の部分にある1畳程の広さで5つに壁で区切られたところだ。

 そして、便器のある所の扉を開けて入ろうとすると。

 《最高の一時をお楽しみください》

 いらぬ一言だぞ、このやろう。
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