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幕間2 回想録 とっちゃん日記―――都華子side
オトナイケメンの懐事情
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日記を読み耽っていたところ、私は最近のあることを思い出す。
ある日、今付き合っているカレシに私がちょっとヤキモチを焼いちゃったのね。
それをキョウに3割増しぐらいに盛って大げさに泣きついちゃったら、そしたらあの子が直接そのカレに文句を言ってくれたんだけどさ。
それは嬉しかったんだけど……なんというか……その時カレが怯えきっちゃって……
あの子怒るとマジでおっかねえ!!
ちょっとって言うか結構話盛ってたから、むしろ私のことで怒られたカレに同情しちゃったよ!!
※ ※ ※ ※ ※ ※
某月 某日 お天気雨
今日はオジサマの部下の直樹さんにラーメンをご馳走しちゃいました(笑)まる。
今日も今日とて休日の朝っぱらからキョウの家に遊びに来てて、通算16勝28敗を盛り返すため二人でオセロに勤しんでいた時のこと。
ピ、ピ、ピンポーンと3連打の玄関チャイムが鳴りやした。
オジサマが休日出勤の時を狙って悪の組織が攻めてきたのかも知れない!と、私はパタパタと玄関へ向かうキョウの後に続く。
「おっ、恭子ちゃんにとっちゃん、オハヨウ!」
「あっ、直樹さん、おはようございます」
キョウ!気軽に挨拶なんてしている場合じゃないよっ!!
「アナタが悪の組織の一員だったとは……」
「とっちゃん?……何言ってんだい、この子は?」
「え、と、ですね……今、オセロで調子が悪いみたいでして……ちょっとだけご機嫌がです、ね……」
と、キョウは直樹さんへ苦笑い。
だって!負けを挽回しにきたのに3連敗中なんだよッ!!
「で?直樹さんは何しに来たのッ?オジサマが休日出勤中なのに一番弟子であろうお方がここへ何の用事ですのッ!?」
あらやだ、ちょっとお嬢様言葉になってしまった。
「いやぁ、俺は先週休みを犠牲にしたから今日は休んで良いってナベさんが言ってくれたんだよ。そこで、ホラ、折角鬼の居ぬ間になんとやらでさっ、久々に恭子ちゃんご飯を、とね♪」
ね♪じゃないよっ。鬼どころか、むしろオジサマは部下のことを気遣っている超良い上司じゃんッ!!
それでも、恭子はブレないんだよねぇ。
「はい、簡単なもので申し訳ないですけど、是非食べて行ってくださいね」
ホラ出た!殺し文句とエンジェルスマイル!!
私が男だったら、土下座で交際を申し込んでるよッ!!
「あー、食た食たッ!満腹だぁ。マジで美味いよ恭子ちゃんのご飯」
簡単なものと言っておきながら、実は和食に飢えている直樹さんのために朝っぱらから焼き魚定食を提供していたキョウ。
施しなんて、なっとご飯とかで十分だよ。
そして、その後は『ちょっと、もんでやるよ』と言いながら直樹さんもオセロに戦線参加してきたが、これがまた中々ツオイ。
やるなイケメン。
「ねぇねぇ、直樹さんや。ちょいちょいキョウのご飯を食べさせてもらってるんだから、お昼くらい何かご馳走してよっ」
言ってから気が付いたけど、同じくいつも食べさせてもらっている私が言うセリフじゃないねコレ。
すると、こめかみを指でポンポンしながら『んー』と考え出した直樹さん。
「そうだなぁー、そうだ、なぁー、金欠ってのもあって恭子ちゃんのご飯を食べさせてもらいに来たんだけど……ま、いっか、もうすぐ給料日だしな。普段食べられないような物でもどこでも連れてってやんよ」
やった!そうこなくっちゃね♪
洗い物をしていたキョウがいつものごとく遠慮していたけど、直樹さんが『良いってことよ!』って気さくにキョウの肩をポンポンしていた。
気軽に触んなや!タカフミに言いつけるよッ。
そんでもってソファーに寝転んでスマホをつついている直樹さんを横に、私はキョウとお昼何処に連れて行ってもらうか相談中。
コンセプトは普段気軽にいけない場所。
折角イケメンを連れてるんだから、お洒落なお店ってのもアリかと思ったんだけど、さっき直樹さんの事情を聞いちゃったからなぁ……
でも、こういうのって考えたり話したりするだけでも凄く楽しくて、あっと言う間にお昼の時間が来てしまった。
「直樹さんっ、決まったよッ!!」
「ん?何処だい?」
「んー、それは着いてのお楽しみ、私が道案内するからさ」
「了解」
それから直樹さんのかっけぇ真っ白のスポーツカーに乗って目的地まで大爆走。
「あっ、ここっ、ここの店だよ」
店の隣の駐車場へ切り返しゼロで見事にバック駐車してみせた直樹さんだったけど、車から降りて店を眺めてポカンとしている。
「着いたって……こんな寂れたラーメン屋かい?」
んふふ、確かに寂れているし、店長が凄く無骨らしいけど、一度来てみたかったんだ。
女の子だけじゃ入りにくいからねッ♪
「実は私も一回来てみたかったんですよ」
遠慮しぃの恭子もちょっとウキウキだった。
「……いや、もっと高価な店でもいいだぜ?」
男の面子を気にしているのだろうか、余り乗り気ではない直樹さんの背中に手を当てて、私は店の中へ押し込む。
「直樹さんの懐事情は知ってるから、今日のところはワリカンでいいよ♪」
私ってばお財布に優しい良い女だよねッ♪……ってその時は思ってたんだけど……
直樹さんはメニューを注文した後も店のなかをキョロキョロしてた。
「どったの?おトイレ我慢してんの?」
「いや、ひょっとして……この店ってカード使えなくね?」
「まあ、古びた個人店だし、現金のみっぽいね」
「あー、いやぁ……カードが使えないとなると自分の分すら払えないんだけど……」
直樹さんの分は私が奢ってあげました(笑)
ある日、今付き合っているカレシに私がちょっとヤキモチを焼いちゃったのね。
それをキョウに3割増しぐらいに盛って大げさに泣きついちゃったら、そしたらあの子が直接そのカレに文句を言ってくれたんだけどさ。
それは嬉しかったんだけど……なんというか……その時カレが怯えきっちゃって……
あの子怒るとマジでおっかねえ!!
ちょっとって言うか結構話盛ってたから、むしろ私のことで怒られたカレに同情しちゃったよ!!
※ ※ ※ ※ ※ ※
某月 某日 お天気雨
今日はオジサマの部下の直樹さんにラーメンをご馳走しちゃいました(笑)まる。
今日も今日とて休日の朝っぱらからキョウの家に遊びに来てて、通算16勝28敗を盛り返すため二人でオセロに勤しんでいた時のこと。
ピ、ピ、ピンポーンと3連打の玄関チャイムが鳴りやした。
オジサマが休日出勤の時を狙って悪の組織が攻めてきたのかも知れない!と、私はパタパタと玄関へ向かうキョウの後に続く。
「おっ、恭子ちゃんにとっちゃん、オハヨウ!」
「あっ、直樹さん、おはようございます」
キョウ!気軽に挨拶なんてしている場合じゃないよっ!!
「アナタが悪の組織の一員だったとは……」
「とっちゃん?……何言ってんだい、この子は?」
「え、と、ですね……今、オセロで調子が悪いみたいでして……ちょっとだけご機嫌がです、ね……」
と、キョウは直樹さんへ苦笑い。
だって!負けを挽回しにきたのに3連敗中なんだよッ!!
「で?直樹さんは何しに来たのッ?オジサマが休日出勤中なのに一番弟子であろうお方がここへ何の用事ですのッ!?」
あらやだ、ちょっとお嬢様言葉になってしまった。
「いやぁ、俺は先週休みを犠牲にしたから今日は休んで良いってナベさんが言ってくれたんだよ。そこで、ホラ、折角鬼の居ぬ間になんとやらでさっ、久々に恭子ちゃんご飯を、とね♪」
ね♪じゃないよっ。鬼どころか、むしろオジサマは部下のことを気遣っている超良い上司じゃんッ!!
それでも、恭子はブレないんだよねぇ。
「はい、簡単なもので申し訳ないですけど、是非食べて行ってくださいね」
ホラ出た!殺し文句とエンジェルスマイル!!
私が男だったら、土下座で交際を申し込んでるよッ!!
「あー、食た食たッ!満腹だぁ。マジで美味いよ恭子ちゃんのご飯」
簡単なものと言っておきながら、実は和食に飢えている直樹さんのために朝っぱらから焼き魚定食を提供していたキョウ。
施しなんて、なっとご飯とかで十分だよ。
そして、その後は『ちょっと、もんでやるよ』と言いながら直樹さんもオセロに戦線参加してきたが、これがまた中々ツオイ。
やるなイケメン。
「ねぇねぇ、直樹さんや。ちょいちょいキョウのご飯を食べさせてもらってるんだから、お昼くらい何かご馳走してよっ」
言ってから気が付いたけど、同じくいつも食べさせてもらっている私が言うセリフじゃないねコレ。
すると、こめかみを指でポンポンしながら『んー』と考え出した直樹さん。
「そうだなぁー、そうだ、なぁー、金欠ってのもあって恭子ちゃんのご飯を食べさせてもらいに来たんだけど……ま、いっか、もうすぐ給料日だしな。普段食べられないような物でもどこでも連れてってやんよ」
やった!そうこなくっちゃね♪
洗い物をしていたキョウがいつものごとく遠慮していたけど、直樹さんが『良いってことよ!』って気さくにキョウの肩をポンポンしていた。
気軽に触んなや!タカフミに言いつけるよッ。
そんでもってソファーに寝転んでスマホをつついている直樹さんを横に、私はキョウとお昼何処に連れて行ってもらうか相談中。
コンセプトは普段気軽にいけない場所。
折角イケメンを連れてるんだから、お洒落なお店ってのもアリかと思ったんだけど、さっき直樹さんの事情を聞いちゃったからなぁ……
でも、こういうのって考えたり話したりするだけでも凄く楽しくて、あっと言う間にお昼の時間が来てしまった。
「直樹さんっ、決まったよッ!!」
「ん?何処だい?」
「んー、それは着いてのお楽しみ、私が道案内するからさ」
「了解」
それから直樹さんのかっけぇ真っ白のスポーツカーに乗って目的地まで大爆走。
「あっ、ここっ、ここの店だよ」
店の隣の駐車場へ切り返しゼロで見事にバック駐車してみせた直樹さんだったけど、車から降りて店を眺めてポカンとしている。
「着いたって……こんな寂れたラーメン屋かい?」
んふふ、確かに寂れているし、店長が凄く無骨らしいけど、一度来てみたかったんだ。
女の子だけじゃ入りにくいからねッ♪
「実は私も一回来てみたかったんですよ」
遠慮しぃの恭子もちょっとウキウキだった。
「……いや、もっと高価な店でもいいだぜ?」
男の面子を気にしているのだろうか、余り乗り気ではない直樹さんの背中に手を当てて、私は店の中へ押し込む。
「直樹さんの懐事情は知ってるから、今日のところはワリカンでいいよ♪」
私ってばお財布に優しい良い女だよねッ♪……ってその時は思ってたんだけど……
直樹さんはメニューを注文した後も店のなかをキョロキョロしてた。
「どったの?おトイレ我慢してんの?」
「いや、ひょっとして……この店ってカード使えなくね?」
「まあ、古びた個人店だし、現金のみっぽいね」
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直樹さんの分は私が奢ってあげました(笑)
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