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第2章 独身男の会社員(32歳)が過労で倒れるに至る長い経緯
プロローグ「とっちゃんがプロデューサーになるそうです」
しおりを挟む10月に入って、夜にもなると肌寒さが目立ってくるようになりましたが、関係各位の皆さんいかがお過ごしでしょうか?
俺はいま玄関先で女子高生に足で壁ドンされています。
「ねえ、オジサマ。キョウと同居し始めてもう半年くらいたつよね?」
彼女の目が怖いので、俺は顔を背けている。
「……切なかったなぁ。私がオススメの深夜番組の話をしてたらキョウが『あの…私、レコーダー持ってなくて録画できないんです』だってさ」
はい、知ってます。さっきまで3人で晩飯食ってたから、その会話は聞こえてる。
「いや、俺はちゃんと恭子の部屋にPCでだけどTV録画できるように機器は買い揃えてあったんだけど―――」
「そんなのキョウの部屋を見ればわかるよ。全番組1ヶ月間丸ごと録画できて、部屋のモニターでもスマホからでも見れるようなゴリゴリ仕様のNASチューナーが付いてたよね」
よくご存じで。
とっちゃんは足ドンしたまま、今度は俺の顔を手でペチペチしさせて言葉を続ける。
「大事なのは物を与える与えないじゃないよね?オジサマ。半年間も一緒に住んでて、録画の仕方もわからない、キョウがそれを持ってることすら知らないじゃ、コミュニケーションが足りないと言わざるを得ないですぜ?、保護者として」
「ま、まぁ、それは確かに……しかし、最近は残業も多くてだな」
九州の件のフォローでウチの部署はガチなデスマーチ状態が続いている。ごく稀に早く帰れることがあっても、今みたくとっちゃんや姫ちゃんに理不尽な説教をされて心休まる時が無い。
「ま、オジサマが大変ご苦労なさってることは認めてあげます。なので―――」
そして彼女は俺を足ドン及び顔ペチペチから開放してこう告げた。
「キョウはコミュニケーションに飢えてます。だからオジサマの代わりに私が土日祝日はほぼほぼ泊りに来てあげますぜぃ」
にやりと笑う彼女。
これは何か裏がありそうだ。
「―――で、その心は?」
「んーと、11月に学園祭があるから、そのミスコンでキョウが学園のトップアイドルになれるよう私が特訓する―――あの子はワシが育てるみたいな?てへ」
とっちゃんはそう言うと「キョウ、ご飯お代わりてんこ盛りで」と叫びながら玄関からリビングへ帰還していった。
「ご近所さんに見られてないよなぁ……」
俺は玄関先を見渡してホッとする。
なるほど、恭子をミスコンに、か。
それまでにはデスマーチを終わらさないとな。
恭子はとっちゃんのプロデュースに期待するとして、俺は俺で頑張ろう。
「恭子!!俺もお代わり漫画盛りで!!」
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