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第64話「”十三厄災(ゾディアック)“⑤」

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  一年前 十二月二十四日十九時三十五分

「お兄さんが次にエッチする時の為に、今からちょっとだけ練習しようよ♪」
 あいりちゃんは俺の手を掴むと、圧倒的存在感を放つ楽園の果実へと埋めてきた。
「へぇあっ!」
 や、やあらかい……。
 おっぱい。
 あいりちゃんのおっぱいに手が呑み込まれていく。
 パジャマ、そしてブラを介して触れているのが非常に惜しい。
 ……いや、違うだろ!
 俺が次エッチする時の為⁉
 それはいつ来るんだよ⁉
 いや、金を払ってのエッチなら遠からぬ未来にするんだろうが、そういうのとは違う話だろ?
 そんな機会は絶対に訪れないぞ!
 断言する!
 第一、金を払わないエッチならまず、触れる云々以前に雰囲気作ったりとかなんだとかするもんだろ?
 そっからだろ?
 いや、素人童貞だからわからんが!
 いやいや、そもそもそれも違うだろ!
 駄目だ。
 頭が正常に働かない。
 息がどんどん荒くなっていく。
 脱出するだの息まいていた癖に、この有様だ。
 隙を突くとか言って、実際隙だらけなのは俺自身じゃねぇか!
 そして、その見え見えな隙をあいりちゃんは決して逃さない。
 おっぱいの感触に全神経を注ぐ俺の股に、あいりちゃんの太ももが侵入してくる。
 腰を引こうにも、あいりちゃんの手が腰に回っていては避けようがないというか、そもそも俺は腰を引く気すらなかった。
 そしてそのまま、あいりちゃんの太ももが俺の股間を刺激する。

 気持ちいい……。

 その感情だけが脳髄に響き渡る。
 なんとか、堪えなければ。
 その一心で、俺は自身の欲望を振り払おうと試みる。
 しかし。
「お兄さん、どうしたの?」
 妙に艶っぽい声を発するあいりちゃん。
 惑わされるな。
「あ、あんまりからかわないでよ。変な気分になってきた……」
 精一杯に、あいりちゃんの誘惑を跳ねのける。
 言葉にして、自身の意思を強固なものにしようと。
 そんなの、通じるわけがないのに。
 あいりちゃんは色っぽい笑みを浮かべると、俺の耳元に口を寄せてきた。
「……変な気分にさせてるんだよ♡」
 小声で囁くあいりちゃん。
 瞬間、頭は真っ白となり、俺は自身を制御する術を失った。
「はぁ……はぁ……」
 おっぱい。
 あいりちゃんのおっぱいが見たい……。
 両手でパジャマの門を左右に開ける。
 可愛らしいピンクのブラが露わになった。
 さらに、ブラに詰め込まれた、はち切れんばかりの褐色の双丘が激しく自己主張する。
 見たい……。
 その先が、見たい。
「………♬」
 あいりちゃんは何も言わず、ひたすらに太ももを押し当ててくる。
 こんなところに押し込められていたら、きっと苦しいだろう。
 わかりやすい言い訳を頭の中で詠唱しつつ、ブラに手を伸ばし、下へとずらす。
「⁉」
 な……。
 ついに全ての防具を失った、あいりちゃんの無防備なおわん型おっぱい。
 そこには、衝撃的な真実があった。
 なんと、乳輪が濃くて狭いのだ。
 そんな……そんな馬鹿な。
 おっぱいが大きい人は大抵、その大きさに比例して乳輪も薄くて広いものとなる。
 しかし、あいりちゃんのおっぱいの先に並び立つ二つの神槍は、どういうわけかその常識を覆す程に濃くて狭かったのだ。
 式に表すと、
 おっぱい:乳輪:乳首
 7:2:1
 となる。
 こんなことがあっていいのか⁉
 いや……そんなわけがない。
 騙されるな。
 これはきっと、偽物だ。
 偽物のおっぱいなんだ。
 だから、確かめなければ。
 見破らなければ。
 触ればきっとわかるはず……。
 最早意味をなさない言い訳を頭の中で繰り返しながら、俺は両手をおっぱいへと伸ばす。
 揺蕩い、包み込むように受け入れてくれるおっぱい。
 若い子特有のスベスベな肌。
 しっかりとした弾力がありつつも、しかし程よく柔らかい感触。
 そして、軽く掴んだだけでわかる絶対的な重量。
 ……究極だ。
 究極のおっぱいが、ここにあった。
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