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第7話「時に嫉妬は人をヨガらせる」
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「……っおいおい嘘だろ?」
黒マントの男が引きつった笑みを浮かべる。
「流石にここまでなんて聞いてねぇぜ……。おい、一旦退くぞ。」
男が女を見る。
「ちょっと待って。」
女が顎に手を当てて男を止める。
「これを理由に強硬手段に出れば、あっちが動くのを待たなくてもこの任務をさっさと終わらせることができるかもしれないわ。」
「冗談じゃねぇ!」
男が女を睨みつける。
「このエーラの量がわかんねぇのか! エーラを持った俺らが刺激なんてしてみろ! 下手したらここら一帯更地になるんだぞ!」
「エーラを消して近づけば問題ないじゃない!」
「馬鹿言え! それじゃあ時間がかかるだろ! 俺はまだ早く済むが、お前の場合、一時間はかかるだろ⁉ 失敗のリスクもある! なにより、あのガキがもう発現してる可能性もある! 無意識にだ! ここにいる時点で死んでてもおかしくないんだ!」
男の剣幕に女が顔を伏せる。
「でも……」
「でもじゃない!」
「これ以上あんたと一緒にいたくないし……」
「わがまま言うな!」
男が女の腕を掴む。
「おら、さっさと退くぞ!」
「離してっ!」
女は男の腕を振り払う。
「私は早く『鍵』を連れて行かないといけないのよ! じゃないと……、私は……」
女の目が潤んでくる。
男は気まずそうに顔を逸らすと、「はーっ」と溜息をついた。
「俺だって出来ればそうしたいがよぉ……。こんなところで死ぬわけにもいかねぇんだ。それはお前も一緒だろ? 悪いけど、今回は」
「もういい! 私一人で行ってくる!」
なだめる男に反発して女は空き教室の扉を開ける。
「待てよ! そんなに焦んなくても」
「うるさいハゲ! 触るな!」
女の蹴りが男の顔面を吹っ飛ばす。
「ってぇ!」
倒れる男を尻目に、女は走り出していった。
「———つぅ……。誰がハゲだよ、あのヒス女めぇ……」
男は立ち上がり、女の後を追おうとして、ふと、立ち止まる。
「あ、そういやぁ、これ、使えそうだな。奪っといて正解だったぜ。」
時間は少し遡り、午後十六時五十分。
「……駄目だな。」
俺は立ち上がり、教室を出る。
「やっぱり、屋上に行こう。」
差別なく、区別なく、普通にも変態にも平等に接する。
俺が俺であるために。
だから、この誘いにあえて乗ろう。
隣の空き教室の前を通過すると、少し早足で屋上へと向かう。
嵐山がたとえ男好きだとしても、俺はそれを受け入れたうえであいつと接する。
あいつが力づくでくるんならこっちも力づくでいくまでだ。
ぶつかりあって、わかりあう。
そうでもしなきゃ、変態に生まれた意味がねぇ。
階段を上り、屋上を目指す。
が、二階へ上ったところでひとつの問題が発生した。
「げ、教頭いるじゃん。」
三階へと続く階段を、教頭が上っていた。
こんな時間まで学校に残っている生徒(帰宅部)なんて、説教好きな教頭の格好の餌食だ。
少し時間を潰すか。
俺は階段の踊り場から二階の廊下へと出た。
しかし、冷静に考えてあいつ、こんな時間まで待ってるか?
もう一時間は待たしてるぞ。
メールも返してねぇし。
待ってたとしても悪いことしちまってるよなぁ。
俺はぶつぶつ独り言を呟きながら曲がり角を折れる。
そして、空き教室の前を通り過ぎようとした時、視界に二人の男女が入ってきた。
あれ? 西野さんと、佐竹?
空き教室には、朝は大変お世話になった隣のクラスの純粋天使・西野さんと、クラスの剣道部・佐竹が向かい合って立っていた。
なんだか佐竹が慌てた様子で西野さんと話している。
なになに? なにしてるんだ二人で?
まさか、佐竹の奴、西野さんに告白でもしてんのか?
俺は興味本位に扉の前に隠れて聞き耳を立てる。
「マズいって、真央。」
「なにがマズいの? 私たち付き合ってるんだから別に普通でしょ?」
「いや、そうじゃなくて……、ここだと誰かに見られちゃうかもしれないだろ?」
「それがいいんじゃん♪」
「そ、それに、ほら。もう休憩も終わるし、そろそろ俺、部活に戻んないと……」
「えいっ、隙ありっ」
「———っっ! んんっ」
「んっ♡クチュ…クチュ…♡」
「クチュ…クチュ…レロッ…んんっ!」
………。
はああああああぁぁぁぁぁっっ⁉
え、なにそれ⁉
どういうこと⁉
二人は付き合って……いや、それよりも西野さん、あんな大胆に、え? 痴女なの? あんなガッツリ、ベロチューかまして……しかも西野さんの方から無理矢理……え? え? なにそれ佐竹……ずるくねぇ⁉
俺の股間が膨張を始めた。
そのことに俺が気付くよりも先に、俺の右手は自然とちんこをこすり始めていた。
最初はズボンの上から。
次第に、チャックを下ろし、パンツの中からガッチガチに自己主張をするムスコを引っ張り出す。
そして、一気に擦る。
ずるいずるいずるいずるいずるいずるい‼
羨ましい妬ましい‼
なんだよそれ‼
佐竹、おい‼
おまっ、俺が西野さんオカズに右手とイチャイチャしてる間にテメー、西野さんと付き合って突き合ってたのかよ⁉
あっちの竹刀振ってる間にこっちの竹刀も振ってましたってか⁉
やーん、佐竹くんの竹刀おっきぃー♡それじゃあルール違反よ。私のマンコのレギュレーションに合ってないわ♡ってか⁉
俺の迎え突きで真央の腰に帯刀してやるよってか⁉
やかましいわ‼
いや、落ち着けそうじゃない。
西野さんがあんなに積極的なんだ!
佐竹くんの鎬にすり足しちゃうぞー♡
真央っそれやばいっ!
次は脇構えだー♡
真央っ! やばっ! もうっ!
うん。
きっと普段はこうだな。
……あの野郎っ‼
西野さんの誰も知らないあんな顔を‼
「はぁっ…はあっ…」
あいつは毎晩毎晩‼
「はぁっ…はあっ…」
独り占めしやがって‼
「はぁっ…はぁっ…」
ちっくしょぉぉぉぉぉぉぉぉ‼
「はっ…はっ…」
ああ、西野さんの手が佐竹の股間に伸びて……
「はっ…はっ…」
佐竹ももうあんな恍惚とした表情で西野さんの胸に手がいって……
「はっはぁっはっ」
西野さん、その手つきやばいって……
見てるだけで、もう…もう…
「はぁっ…うっ……」
ドクドクと、脈打つちんこから大量の精液が流れ出していった。
「……はぁ……はぁ…」
手にべっとりとついたその臭いが鼻孔を刺激し、ようやく我に返る。
ああ……、何やってんだろ俺。
クラスメートの前戯現場オカズにしちゃった……。
しかも人待たせてんのに……。
「っ! やべぇっ」
俺は慌てて周りを見回す。
廊下は人気もなく静まり返っていた。
「……ふぅ…」
あぶねぇあぶねぇ。
すっかり忘れてたが、ここは学校の廊下だった。
こんなところ、誰かに見られでもしたら自主退学コース一直線だもんなぁ…。
ほんと、危なかったぜ。
「とりあえず、汚しちゃったから後処理しないと」
「お前、なにやってんだよ。」
背後からの声に振り返ると、そこには嵐山が息を切らして立っていた。
五月十三日、午後十七時十三分。
この日、運命が動き出す。
黒マントの男が引きつった笑みを浮かべる。
「流石にここまでなんて聞いてねぇぜ……。おい、一旦退くぞ。」
男が女を見る。
「ちょっと待って。」
女が顎に手を当てて男を止める。
「これを理由に強硬手段に出れば、あっちが動くのを待たなくてもこの任務をさっさと終わらせることができるかもしれないわ。」
「冗談じゃねぇ!」
男が女を睨みつける。
「このエーラの量がわかんねぇのか! エーラを持った俺らが刺激なんてしてみろ! 下手したらここら一帯更地になるんだぞ!」
「エーラを消して近づけば問題ないじゃない!」
「馬鹿言え! それじゃあ時間がかかるだろ! 俺はまだ早く済むが、お前の場合、一時間はかかるだろ⁉ 失敗のリスクもある! なにより、あのガキがもう発現してる可能性もある! 無意識にだ! ここにいる時点で死んでてもおかしくないんだ!」
男の剣幕に女が顔を伏せる。
「でも……」
「でもじゃない!」
「これ以上あんたと一緒にいたくないし……」
「わがまま言うな!」
男が女の腕を掴む。
「おら、さっさと退くぞ!」
「離してっ!」
女は男の腕を振り払う。
「私は早く『鍵』を連れて行かないといけないのよ! じゃないと……、私は……」
女の目が潤んでくる。
男は気まずそうに顔を逸らすと、「はーっ」と溜息をついた。
「俺だって出来ればそうしたいがよぉ……。こんなところで死ぬわけにもいかねぇんだ。それはお前も一緒だろ? 悪いけど、今回は」
「もういい! 私一人で行ってくる!」
なだめる男に反発して女は空き教室の扉を開ける。
「待てよ! そんなに焦んなくても」
「うるさいハゲ! 触るな!」
女の蹴りが男の顔面を吹っ飛ばす。
「ってぇ!」
倒れる男を尻目に、女は走り出していった。
「———つぅ……。誰がハゲだよ、あのヒス女めぇ……」
男は立ち上がり、女の後を追おうとして、ふと、立ち止まる。
「あ、そういやぁ、これ、使えそうだな。奪っといて正解だったぜ。」
時間は少し遡り、午後十六時五十分。
「……駄目だな。」
俺は立ち上がり、教室を出る。
「やっぱり、屋上に行こう。」
差別なく、区別なく、普通にも変態にも平等に接する。
俺が俺であるために。
だから、この誘いにあえて乗ろう。
隣の空き教室の前を通過すると、少し早足で屋上へと向かう。
嵐山がたとえ男好きだとしても、俺はそれを受け入れたうえであいつと接する。
あいつが力づくでくるんならこっちも力づくでいくまでだ。
ぶつかりあって、わかりあう。
そうでもしなきゃ、変態に生まれた意味がねぇ。
階段を上り、屋上を目指す。
が、二階へ上ったところでひとつの問題が発生した。
「げ、教頭いるじゃん。」
三階へと続く階段を、教頭が上っていた。
こんな時間まで学校に残っている生徒(帰宅部)なんて、説教好きな教頭の格好の餌食だ。
少し時間を潰すか。
俺は階段の踊り場から二階の廊下へと出た。
しかし、冷静に考えてあいつ、こんな時間まで待ってるか?
もう一時間は待たしてるぞ。
メールも返してねぇし。
待ってたとしても悪いことしちまってるよなぁ。
俺はぶつぶつ独り言を呟きながら曲がり角を折れる。
そして、空き教室の前を通り過ぎようとした時、視界に二人の男女が入ってきた。
あれ? 西野さんと、佐竹?
空き教室には、朝は大変お世話になった隣のクラスの純粋天使・西野さんと、クラスの剣道部・佐竹が向かい合って立っていた。
なんだか佐竹が慌てた様子で西野さんと話している。
なになに? なにしてるんだ二人で?
まさか、佐竹の奴、西野さんに告白でもしてんのか?
俺は興味本位に扉の前に隠れて聞き耳を立てる。
「マズいって、真央。」
「なにがマズいの? 私たち付き合ってるんだから別に普通でしょ?」
「いや、そうじゃなくて……、ここだと誰かに見られちゃうかもしれないだろ?」
「それがいいんじゃん♪」
「そ、それに、ほら。もう休憩も終わるし、そろそろ俺、部活に戻んないと……」
「えいっ、隙ありっ」
「———っっ! んんっ」
「んっ♡クチュ…クチュ…♡」
「クチュ…クチュ…レロッ…んんっ!」
………。
はああああああぁぁぁぁぁっっ⁉
え、なにそれ⁉
どういうこと⁉
二人は付き合って……いや、それよりも西野さん、あんな大胆に、え? 痴女なの? あんなガッツリ、ベロチューかまして……しかも西野さんの方から無理矢理……え? え? なにそれ佐竹……ずるくねぇ⁉
俺の股間が膨張を始めた。
そのことに俺が気付くよりも先に、俺の右手は自然とちんこをこすり始めていた。
最初はズボンの上から。
次第に、チャックを下ろし、パンツの中からガッチガチに自己主張をするムスコを引っ張り出す。
そして、一気に擦る。
ずるいずるいずるいずるいずるいずるい‼
羨ましい妬ましい‼
なんだよそれ‼
佐竹、おい‼
おまっ、俺が西野さんオカズに右手とイチャイチャしてる間にテメー、西野さんと付き合って突き合ってたのかよ⁉
あっちの竹刀振ってる間にこっちの竹刀も振ってましたってか⁉
やーん、佐竹くんの竹刀おっきぃー♡それじゃあルール違反よ。私のマンコのレギュレーションに合ってないわ♡ってか⁉
俺の迎え突きで真央の腰に帯刀してやるよってか⁉
やかましいわ‼
いや、落ち着けそうじゃない。
西野さんがあんなに積極的なんだ!
佐竹くんの鎬にすり足しちゃうぞー♡
真央っそれやばいっ!
次は脇構えだー♡
真央っ! やばっ! もうっ!
うん。
きっと普段はこうだな。
……あの野郎っ‼
西野さんの誰も知らないあんな顔を‼
「はぁっ…はあっ…」
あいつは毎晩毎晩‼
「はぁっ…はあっ…」
独り占めしやがって‼
「はぁっ…はぁっ…」
ちっくしょぉぉぉぉぉぉぉぉ‼
「はっ…はっ…」
ああ、西野さんの手が佐竹の股間に伸びて……
「はっ…はっ…」
佐竹ももうあんな恍惚とした表情で西野さんの胸に手がいって……
「はっはぁっはっ」
西野さん、その手つきやばいって……
見てるだけで、もう…もう…
「はぁっ…うっ……」
ドクドクと、脈打つちんこから大量の精液が流れ出していった。
「……はぁ……はぁ…」
手にべっとりとついたその臭いが鼻孔を刺激し、ようやく我に返る。
ああ……、何やってんだろ俺。
クラスメートの前戯現場オカズにしちゃった……。
しかも人待たせてんのに……。
「っ! やべぇっ」
俺は慌てて周りを見回す。
廊下は人気もなく静まり返っていた。
「……ふぅ…」
あぶねぇあぶねぇ。
すっかり忘れてたが、ここは学校の廊下だった。
こんなところ、誰かに見られでもしたら自主退学コース一直線だもんなぁ…。
ほんと、危なかったぜ。
「とりあえず、汚しちゃったから後処理しないと」
「お前、なにやってんだよ。」
背後からの声に振り返ると、そこには嵐山が息を切らして立っていた。
五月十三日、午後十七時十三分。
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