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滅びの地ソドム
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海溝潤実SIDEーーー
凄い…二人の闘気のぶつかり合いで生温い風が私達の髪を揺らす程度に吹くが、それは時に電気を帯び、静電気に当たった時の痛覚を覚えてしまう。
それだけの激しい闘気が二人の間で噴出しているのだ。
船内が二人の闘気のぶつかり合いで支障をきたさなければ良いけれど…。
そんな時サキュラが放った。
「待って!ここで闘気を放ち合ったらこの船が故障し、落下してしまうわっ!」
二人はそうかっ!と言う表情をし、闘気を収める。
流れ込んでいた生温かい風、そして電気の糸、二人の体の周りに見えていたデジェウスから溢れる赤色、アテナ様から溢れる水色の気体のようなものがその場で収まる。
「ここは場所が悪い、儂とお前の最も思い出深いあの場所に移そう…!」
「どこへ…?」
「後でわかるさ…」
こう言いデジェウスは「はぁ…」と息を継がせ、腕を回す。
すると空間は捻じ曲がり、回りの風景が渦を巻く。
私達にも空間が渦巻いているのが確認でき、アテナとデジェウス同様浮いているような感覚を覚え渦はまた違う風景を作り出す。
どうやら私達もアテナとデジェウス同様違う場所に導かれたようだ。
兄妹同士の戦いをこの目で見届けよという事だろうか?
「ここは私達の生まれ故郷…私がまだ15歳にも満たない頃…戦争は起きた…私は今は亡き戦友と共に兵士を討ち、街を守ったのだけれど…」
「この後お前の力は暴走し、ソドムを破滅に追いやった!」
!!!
私達もギョッとする…アテナさんの強過ぎる力が…周りを破滅に追いやってしまうなんて!
良くないけれど…私は味方であるはずのアテナさんを怖いと思ってしまった。
背中が冷たく感じる。
「昔の話です!今はこうして制御出来ているし…私は力を使っていない!!」
アテナは反論するも、表情に焦りが見えている。
「ははは臆したなアテナ!貴様は今二人に失望されるのを恐れつつも罪を認めた!もはやこの勝負我の勝ちだ!!」
デジェウスは両手を突き出し、闘気から流れ出る衝撃波をアテナに放った。
「キャアァ!!」
アテナさんは5メートルほど離れた建物の残骸にその身を打ち付けられ、建物の残骸はガララッと音を立てて崩れ去る。
周りに白い煙が舞う。
アテナ様はどうなってるの!?
私は思ったが白い煙から人の影が立っているのが見えた。
その影は近づいて来ると共にその姿を現わす。
アテナ様だ!
しかしアテナ様にさっきまでの強い闘気は見られなくなった。
デジェウスの狙いって…!?
「中々しぶといな、だが貴様には人望も無いはず…こうなったらもう闘気の出しようもあるまい、とどめだ!!!」
デジェウスはそう言いアテナ様にとどめを刺そうと向かった。
「そんな事ない!!!」
私は放ってみせた。
「過去は過去だよ!アテナ様はこれを機にもう無駄な血は流すまいと努力してる!それが今のアテナ様だよ!!」
私の中の異能が溢れ出る。
その力をアテナ様に与えれば…。
「アテナ様!戦わなければ真の平和は訪れない!私達も戦いますから…!」
「潤実さん…」
アテナ様の表情に少し綻びが見えた。
「私もです!」
続いてサキュラが。
「私達は貴女のように強くはない、でも力を与えることは出来ます!ですから精一杯戦ってください!!」
最近のサキュラは感情が豊かになっているようだ。
何がこの子をそうさせているんだろう?
私はチラリとサキュラを見る。
するとサキュラが私を見て微笑んできた。
『貴女のおかげよお姉ちゃん、貴女と出会わなかったら私はこのままだった、だから今は精一杯戦おう、そしてずっと一緒に過ごそう!!』
サキュラがテレパシーを送ってきた。
サキュラのテレパシーを聞いて私は気持ちが暖かくなり、俄然やる気が出た。
「アテナ様!私達の力を貴女にお貸しします!貴女は独りでは無い!私達も付いています!!」
私達はアテナにありったけの力を送った。
白い光が私達の体から溢れ出て、それがアテナに送られる。
アテナは勇ましい出で立ちでデジェウスを睨む。
そして足を踏み込んだ。
それは一瞬にしてデジェウスを怯ませる程の速さであった。
「何ぃ!?」
アテナの鋭い掌底がデジェウスのみぞおちに入る。
「ぐおっ!?」
デジェウスは膝を落とし苦しむ。
その刹那、アテナ様はジャンプし、回し蹴りでデジェウスのぶっというなじ(後ろ首)を蹴り上げた。
何という格闘テクニック…私達が力を与えていると言ってもある程度手練れていないとあれだけの動きは出来ない。
デジェウスは悔しそうに立ち上がる。
「この儂を侮辱するなよお!!!」
デジェウスは手から衝撃波を溜め、手からバリバリと言う音と共にサッカーボール位の大きさの光球が現れる。
「死ねい!!」デジェウスは殺気のこもった光球をアテナめがけて放つ。
アテナ様は光球には光球で返そうと自らも光球を発する。
ブオオオオオオオオオオオォ!!!
光球と光球がぶつかり合うと轟音と共に煙が周りを立ち込める。
「アテナ様は…!?」
「あ、あれ!!」
目の前で戦っているはずのアテナ達が見えず、確認しようとしているとサキュラが上空に指を指した。
!!!
アテナとデジェウスは何と建物の三階分の高さの上空で攻防を繰り広げていた。
「ふはは!上空戦では儂に分があるようだな!!」
何と上空での戦いはデジェウスの方が有利らしく、アテナ様は少しばかり苦戦を強いられているかのように見える。
それにしてもデジェウス、あの図体でなんと素早い動きが出来るのだろう!
デジェウスの岩をも砕きそうな拳や蹴りを必死とは言え受け流しているアテナもアテナだ。
私達では想像も出来ない身体能力を二人は兼ね備えている。
「くっ!」
アテナは衝撃波を手から発しデジェウスめがけて放つ。
「甘いわ!」
デジェウスは避けるがアテナの放った衝撃波は地上に建っている一つの半壊した建物を粉々に粉砕してしまった。
しかし粉砕された建物は運悪く私達のすぐそばだった。
何と、粉砕された建物の瓦礫は私達に降り注いできたのだ!
いけない!このままだと…!
しかし、判断が遅すぎた。
判断出来るだけの能力は私達には無く、その前に鈍い衝撃と目の前が真っ暗になる感覚に私達は襲われた。
アテナSIDEーーー
「ははは馬鹿め!唯一の味方の二人を生き埋めにしてどうする!!破壊の巫女!疫病神!!」
デジェウスは私を徹底的に罵る。
そんな…私はまた味方をこの手で殺めてしまった…。
神よ…何故私にそんな力を…。
「とどめだ!!」
デジェウスは殺気を込めた手刀を私の首筋に浴びせ、その勢いで私は地上に突き落とされる。
受け身で最小限のダメージは食い止めたが大地に叩きつけられ大地にクレーターは作られ、私自身も骨が軋むような痛みに襲われた。
しかしダメージは身体だけに留まらなかった。
私はまたしても味方を殺めてしまった…。
デジェウスを狙って放った気功砲が何と潤実さん達のすぐ側のコンクリート状の建物を破壊し、潤実さん達を建物の下敷きにしてしまったのだ。
デジェウスは音も立てず大地に足をつける。
「ふははは破壊の巫女としての運命を呪うが良い!!」
デジェウスは私の心をジワジワと嬲り尽くす。
凄い…二人の闘気のぶつかり合いで生温い風が私達の髪を揺らす程度に吹くが、それは時に電気を帯び、静電気に当たった時の痛覚を覚えてしまう。
それだけの激しい闘気が二人の間で噴出しているのだ。
船内が二人の闘気のぶつかり合いで支障をきたさなければ良いけれど…。
そんな時サキュラが放った。
「待って!ここで闘気を放ち合ったらこの船が故障し、落下してしまうわっ!」
二人はそうかっ!と言う表情をし、闘気を収める。
流れ込んでいた生温かい風、そして電気の糸、二人の体の周りに見えていたデジェウスから溢れる赤色、アテナ様から溢れる水色の気体のようなものがその場で収まる。
「ここは場所が悪い、儂とお前の最も思い出深いあの場所に移そう…!」
「どこへ…?」
「後でわかるさ…」
こう言いデジェウスは「はぁ…」と息を継がせ、腕を回す。
すると空間は捻じ曲がり、回りの風景が渦を巻く。
私達にも空間が渦巻いているのが確認でき、アテナとデジェウス同様浮いているような感覚を覚え渦はまた違う風景を作り出す。
どうやら私達もアテナとデジェウス同様違う場所に導かれたようだ。
兄妹同士の戦いをこの目で見届けよという事だろうか?
「ここは私達の生まれ故郷…私がまだ15歳にも満たない頃…戦争は起きた…私は今は亡き戦友と共に兵士を討ち、街を守ったのだけれど…」
「この後お前の力は暴走し、ソドムを破滅に追いやった!」
!!!
私達もギョッとする…アテナさんの強過ぎる力が…周りを破滅に追いやってしまうなんて!
良くないけれど…私は味方であるはずのアテナさんを怖いと思ってしまった。
背中が冷たく感じる。
「昔の話です!今はこうして制御出来ているし…私は力を使っていない!!」
アテナは反論するも、表情に焦りが見えている。
「ははは臆したなアテナ!貴様は今二人に失望されるのを恐れつつも罪を認めた!もはやこの勝負我の勝ちだ!!」
デジェウスは両手を突き出し、闘気から流れ出る衝撃波をアテナに放った。
「キャアァ!!」
アテナさんは5メートルほど離れた建物の残骸にその身を打ち付けられ、建物の残骸はガララッと音を立てて崩れ去る。
周りに白い煙が舞う。
アテナ様はどうなってるの!?
私は思ったが白い煙から人の影が立っているのが見えた。
その影は近づいて来ると共にその姿を現わす。
アテナ様だ!
しかしアテナ様にさっきまでの強い闘気は見られなくなった。
デジェウスの狙いって…!?
「中々しぶといな、だが貴様には人望も無いはず…こうなったらもう闘気の出しようもあるまい、とどめだ!!!」
デジェウスはそう言いアテナ様にとどめを刺そうと向かった。
「そんな事ない!!!」
私は放ってみせた。
「過去は過去だよ!アテナ様はこれを機にもう無駄な血は流すまいと努力してる!それが今のアテナ様だよ!!」
私の中の異能が溢れ出る。
その力をアテナ様に与えれば…。
「アテナ様!戦わなければ真の平和は訪れない!私達も戦いますから…!」
「潤実さん…」
アテナ様の表情に少し綻びが見えた。
「私もです!」
続いてサキュラが。
「私達は貴女のように強くはない、でも力を与えることは出来ます!ですから精一杯戦ってください!!」
最近のサキュラは感情が豊かになっているようだ。
何がこの子をそうさせているんだろう?
私はチラリとサキュラを見る。
するとサキュラが私を見て微笑んできた。
『貴女のおかげよお姉ちゃん、貴女と出会わなかったら私はこのままだった、だから今は精一杯戦おう、そしてずっと一緒に過ごそう!!』
サキュラがテレパシーを送ってきた。
サキュラのテレパシーを聞いて私は気持ちが暖かくなり、俄然やる気が出た。
「アテナ様!私達の力を貴女にお貸しします!貴女は独りでは無い!私達も付いています!!」
私達はアテナにありったけの力を送った。
白い光が私達の体から溢れ出て、それがアテナに送られる。
アテナは勇ましい出で立ちでデジェウスを睨む。
そして足を踏み込んだ。
それは一瞬にしてデジェウスを怯ませる程の速さであった。
「何ぃ!?」
アテナの鋭い掌底がデジェウスのみぞおちに入る。
「ぐおっ!?」
デジェウスは膝を落とし苦しむ。
その刹那、アテナ様はジャンプし、回し蹴りでデジェウスのぶっというなじ(後ろ首)を蹴り上げた。
何という格闘テクニック…私達が力を与えていると言ってもある程度手練れていないとあれだけの動きは出来ない。
デジェウスは悔しそうに立ち上がる。
「この儂を侮辱するなよお!!!」
デジェウスは手から衝撃波を溜め、手からバリバリと言う音と共にサッカーボール位の大きさの光球が現れる。
「死ねい!!」デジェウスは殺気のこもった光球をアテナめがけて放つ。
アテナ様は光球には光球で返そうと自らも光球を発する。
ブオオオオオオオオオオオォ!!!
光球と光球がぶつかり合うと轟音と共に煙が周りを立ち込める。
「アテナ様は…!?」
「あ、あれ!!」
目の前で戦っているはずのアテナ達が見えず、確認しようとしているとサキュラが上空に指を指した。
!!!
アテナとデジェウスは何と建物の三階分の高さの上空で攻防を繰り広げていた。
「ふはは!上空戦では儂に分があるようだな!!」
何と上空での戦いはデジェウスの方が有利らしく、アテナ様は少しばかり苦戦を強いられているかのように見える。
それにしてもデジェウス、あの図体でなんと素早い動きが出来るのだろう!
デジェウスの岩をも砕きそうな拳や蹴りを必死とは言え受け流しているアテナもアテナだ。
私達では想像も出来ない身体能力を二人は兼ね備えている。
「くっ!」
アテナは衝撃波を手から発しデジェウスめがけて放つ。
「甘いわ!」
デジェウスは避けるがアテナの放った衝撃波は地上に建っている一つの半壊した建物を粉々に粉砕してしまった。
しかし粉砕された建物は運悪く私達のすぐそばだった。
何と、粉砕された建物の瓦礫は私達に降り注いできたのだ!
いけない!このままだと…!
しかし、判断が遅すぎた。
判断出来るだけの能力は私達には無く、その前に鈍い衝撃と目の前が真っ暗になる感覚に私達は襲われた。
アテナSIDEーーー
「ははは馬鹿め!唯一の味方の二人を生き埋めにしてどうする!!破壊の巫女!疫病神!!」
デジェウスは私を徹底的に罵る。
そんな…私はまた味方をこの手で殺めてしまった…。
神よ…何故私にそんな力を…。
「とどめだ!!」
デジェウスは殺気を込めた手刀を私の首筋に浴びせ、その勢いで私は地上に突き落とされる。
受け身で最小限のダメージは食い止めたが大地に叩きつけられ大地にクレーターは作られ、私自身も骨が軋むような痛みに襲われた。
しかしダメージは身体だけに留まらなかった。
私はまたしても味方を殺めてしまった…。
デジェウスを狙って放った気功砲が何と潤実さん達のすぐ側のコンクリート状の建物を破壊し、潤実さん達を建物の下敷きにしてしまったのだ。
デジェウスは音も立てず大地に足をつける。
「ふははは破壊の巫女としての運命を呪うが良い!!」
デジェウスは私の心をジワジワと嬲り尽くす。
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