クトゥルフの雨

海豹ノファン

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懐憶

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わいの記憶が走馬灯のように駆け巡ってくる。

「にゃー♪」

「おーおーめんこい猫やなあお前はトラ猫やけん名前はトラテツじゃ♪」

わいとじっちゃんの出会いは鉄道やった。
わいは誰かおらんの言うて親になってくれるん探しよった。

そこでじっちゃんに会ったんじゃ。

「ほれほれメボシ食うで?」

じっちゃんはわいにメボシをくれた。

「にゃー♪」

「そうかぁ美味いか美味いか♪」

顔は厳つかったけど優しかったじっちゃん。
そんでもってじっちゃんは正義の味方やった。

「なんしょんな!痴漢なんかして恥ずかしいと思わんのか!!」

「すみません、もうしません!」

痴漢に謝らせるじっちゃん、ごっついかっこよかった。

「トラテツ、お前はオスやけん男の子じゃ、男の子やったら女の子には優しいにしいよ、間違っても暴力振るったらあかんじょ!暴力や振るったら男失格なんじょ!」

じっちゃんの力説もかっこよかった。
わいから見たじっちゃんは何もかもかっこようて…漢の中の漢だったんじょ!

その明くる日、いつものようにわいがじっちゃんを玄関まで迎えに行っとったらじっちゃんがごっつい怪我して帰って来とった。

『じっちゃん!いけるか!?』

わいはじっちゃんの傷を舐め、手当をする。

「おおトラテツよ、わいの心配してくれるんか、ほなけどわいは心配いらん、アルデナイデと名乗りよる高校生に早よ家帰れ言うたらこんなボロボロにされたけんどな…」

アルデナイデって徳島の吉野川を中心にたむろしよる暴走グループやないか!

いつも正義を大切にしよるじっちゃんが何でこんな目に…!

許さん…じっちゃんをこんなにしやがって!!

じっちゃんへの愛とアルデナイデと名乗る暴走グループへの怒りを覚えた時、わいの中に何かが芽生えた。

『トラテツよ今こそ目覚めるのだ!お前は只の猫では無い!お前はクトゥルフの戦士!稲妻のクトゥルフなのだ!!』

稲妻が轟いた時、わいは猫の姿から人の姿となった。

それを見たじっちゃんは目を大きく見開く。

「と…トラテツ…お前…」

あれだけ大きかったじっちゃんが小さく見える…わい…人間になったんか!?

「じっちゃん、わいが今仇取ってきたる!」

人に、いやクトゥルフ戦士になったわいはじっちゃんに誓いを放つ。

「いかん!奴らは凶暴なんじょ!お前までやられたら!!」

「じっちゃんは正義と漢気を大切にしよった!ほなけんわいも正義と漢気を大切にするんじゃ!!」

「トラテツー!!」

じっちゃんの声が虚しく聞こえる中、わいは吉野川でアルデナイデと対峙する。

「何だてめえは中坊か?」

「俺達が誰だかわかってんだろうなあ?」

何人もの顔つきの悪い不良共がバイクをパラリラパラリラと鳴らしわいの周りをグルグル走らせながら凄んでくる。

「アルデナイデ…よくもわいのじっちゃんをボコボコにしてくれたな!わいはじっちゃんの仇打ちに来たんじゃー!!」

わいはアルデナイデに突っ込む。

「やるのかー!!」

暴走グループも突っ込む。

「ライジングボルト!!」

「三節剣!!」

暴走グループも色々な特技でわいを苦しめたがわいは猫の時からの俊敏さを活かしてクトゥルフになって身につけた稲妻の異能で何とか撃退出来た。

「覚えてろぉ!!」

暴走グループ達はわいから逃げていく。
ざっと8人位はいて中には女もいたがまあ細かい事は気にせんとこ。

戦って至る所殴られてあちこちは痛むがじっちゃんと同じ正義を遂行出来て、じっちゃんの仇を討てたことに充実感を覚えとった。

ーーー家

「じっちゃん!仇は取ってきたじょ!!」

わいは元気な声でじっちゃんに朗報を知らせる。
しかしじっちゃんは何故か訝しげな表情でわいを睨んでいた。

わいが何か悪いことしたんかな?
わいは思った。

「中には女がおらんかったか?」
じっちゃんはそんな事を聞いてきた。

「お、おったよ?」
わいはいつにもない険しいじっちゃんに怯え声をこごもらせて答えた。

「馬鹿もんがー!!!」

わいはじっちゃんから雷を落とされた。

「女に暴力振るったらあかんてあれほど言よったのに何でそれがわからんのんへ!?か弱い女の子は守るべきであって殴ったらあかんのんじょ!!!」

激しいじっちゃんの怒号がわいの全身に響き渡った。

「……めんよ…じっちゃん…」

わいは嫌われたんか思って悲しいなり、悔しいなり嗚咽をあげて謝ったんよ。

「わい…もう女の子殴ったりせえへん…命をかけて守る…ほなけん嫌わんといて!」

わいの目からは大粒の涙が嫌な程溢れおちる。
それを見たじっちゃんは静かになり、表情は穏やかになった。

じっちゃんも目に涙が溜まって綺麗に見えた。
じっちゃんはわいを優しく抱いてくれる。

「わかったら良えんじょ、わいはお前を息子のように思うとる、ほなけん女の子に暴力振るうんだけはやめよ!」

じっちゃんの暖かい匂いが、温もりがわいの怒られて寂しくなった心を温めてくれる。

「じっちゃん…」

わいはじっちゃんに体を預けて思い切り甘えた。
そして…わいらは共に布団の上へ。

わいらは服を脱いで布団の中におる。
二人で布団に入っとって布団も暖かくて気持ちいい。

その気持ち良さがわいらの漢を盛り立たせる。
わい、じっちゃんが側におるだけでドキドキしよる。

恥ずかしい意味や無くてワクワクするみたいな、繋がりたいて言うな。

じっちゃんもそうやろう、そうであってほしい。
そしてじっちゃんの漢も盛っており、わいは嬉しくなる。

「じっちゃん…あったかい…」

「トラテツ…お前もあったかいじょ…」

わいとじっちゃんは漢と漢を合わせる。
硬い…熱い…次第にわいの蜜が溢れてくる。

じっちゃんはそれを見抜いたんか、わいのとこに手を弄ってくる。

「濡れとる…わいでこんなに感じてくれてお前はわいの自慢の息子じゃ」

「じっちゃん…」

「挿れるじょ…」

じっちゃんはわいと一晩中繋がった。
互いに狂うくらい、初めは痛かったり試行錯誤したけんどだんだん気持ち良うするコツがわかってきて、わいはその度に喜び、じっちゃんを喜ばせた。

そんな厳しいて、優しかったじっちゃんももうおらん、ほなけどわいは寂しいない、今は潤実ちゃんがおるけん。

でもそんな潤実ちゃんは洗脳されとって、わいを仇みたいに攻撃してくる。

ほなけどわいは潤実ちゃんをベストパートナーと思っとんじょ。

ほなけど…。

「間一髪だったわね…」

え?

「全くこんな女の子相手に何手こずってるのよ!」

わいはいつのまにかサキュラとカナ言う子に抱かれとった。

それと潤実ちゃんが槍で突き刺しとんは…木株!?

「忍法変わり身の術ってやつよ!サイキックを舐めてはいけないよ!」

カナは声を張る。

「人間…人間は抹殺!!」

潤実ちゃんはやっぱり何かに取り憑かれとる!?
わいにはそこにおる潤実ちゃんがホンマに潤実ちゃんなんか疑問に思えてきた。

サキュラSIDEーーー

厄介な事になってるわね…。
潤実はオークから洗脳されて人間を敵だと教えられている。

貴女だって人間なのよ、でも地球の生き物って簡単にマインドコントロールされるのね。

こう言うのも滑稽だけどね。
それともっと滑稽なのはこのトラテツ。

気絶させれば済む話なのに何故出来ないのかしら。
貴方なら潤実を倒す事位なんて事ないでしょう?

「人間…殺ス!!」

潤実は槍を構えて私達に突っ込んでくる。

「いい加減にしなさい、サイコボール!!」

カナはサイコボールを放ち潤実は槍を弾かれる。

「くっ、メイルストローム!!」

「きゃっ!?」

潤実がメイルストロームを放ちカナは水色の閃光に巻き込まれる。

激しく壁に打ち付けられるカナ。

「トラテツ!しっかりしなさいっ味方が危機に遭ってるのよ!!」

「いかん…わいに女の子に手を上げる事は出来へん!!」

わかってるわよ、トラテツは女の子に手を上げる事が出来る奴じゃないのよね、でも潤実とカナが傷つけ遭っている。

それを止める事が出来るのは二人より強いトラテツだけなのよ!

「トラテツ!二人が傷ついてもいいの!??」

私は激しくトラテツに発破をかける。
!!!

(潤実ちゃんとカナちゃんが戦いあいよる!互いに鬼みたいな顔になって…何手汚しあいよん!女の子が唸ったり攻撃しあったり醜いやん!)

ようやく気づいたみたいね。

つばぜり合いしていた潤実とカナが互いに後方に弾き飛ばされ、再び一騎打ちしようとした所に身体中に稲妻を纏ったトラテツが上空から二人の間に割り込みに入った。

ドドオオオオオォン!!!

トラテツの落下した床下はめり込み、激しい雷の音、稲光が轟く。

潤実もカナも驚き、互いに向かいあおうとしていたのを止める。

「二人ともやめない!!女の子同士が醜い争いやしよって見てて見苦しいわ!!!」

トラテツの激しい怒号が響く。

ビリビリ…!
少なくとも部屋に振動が走るくらい。

潤実とカナは静かになり、武器を収める。
それで良いのよ、トラテツ。

優しさだけでは人の心は動かせない、時には厳しさも大事なの…。

どっちも極端に向かっては駄目。
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