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リリアーナは誰かに呼ばれた気がして、そっと瞼を開けた。
「リリアーナ。大丈夫か? 」
リリアーナの大好きなハンサムが、心配そうに覗き込んできた。
リリアーナは小首を傾げながら、キョロキョロと辺りを見渡す。
ラベンダー畑を目の前に、芝生に広げた敷物にリリアーナは横たわっていた。
空は雲一つなく澄み渡り、爽やかな風が吹き抜けていく。
山鳩がどこかの枝でバサバサと羽を休め、ウーウーと鳴いた。
籐籠に収められた白い磁器のティーセット。
手付かずで皿にあるキューリのサンドイッチ。
ピクニックをしていたのだろうか?
記憶が飛んでしまっている。
「ユリアンのお転婆も困ったものだな」
ザカリスは横たわるリリアーナの頭をちょっと上げると、己の膝にちょんと乗せた。
あの偏屈のザカリスが、このような甘ったるい仕草を躊躇いなくするなんて。
飛び起きそうになって、しかし、くらっと視界が反転する。
リリアーナは再びザカリスの膝枕に甘んじる結果となってしまった。
「わ、私? どうしていたのかしら? 」
曖昧な記憶を必死に組み立てるリリアーナ。
「た、確かザカリス様が銃で撃たれて。私はあなたに駆け寄って。血が凄くて」
瞼の奥で、ジワリジワリと広がっていく血の海。
「それから、死に戻って。レイラが」
「おいおい、リリアーナ。寝惚けているのか? 」
ザカリスは苦笑いして、夢を彷徨うリリアーナを途中で止めた。
彼には、いつの間にか笑い皺が出来ている。
いつもしかめ面で、ハンサムを台無しにしていたというのに。
「ユリアンが蜘蛛をお前にプレゼントしたら、お前は飛び上がって気絶したんだ」
ふと、スカートの裾をぐっと引かれた。
視線の先には、ぷっくりとした小さな手。
「お母様、ごめんなさい。でも、でも私……」
三歳くらいの、漆黒の艶やかな髪を三つ編みにした少女が、えんえんと小鳥のように泣いている。ふりふりしたリボンやレースがふんだんに使われた、ピンクの愛らしいドレス。
「泣くな、ユリアン」
ザカリスは手を伸ばして、ぐしゃぐしゃと少女の頭を撫で回した。
「お前の母も、ちゃんとわかってる。お前が宝物を母にプレゼントしようとしたことを」
リリアーナは、次第に記憶を取り戻していく。
夢から現実世界へと、リリアーナは帰ってきた。
「ええ。ユリアン。あなたの気持ちは、ちゃんと通じているわ」
泣いているのは、リリアーナの可愛い一人娘。
ザカリスと同じ髪と瞳の色をして、面差しはリリアーナの子供の頃にそっくりな、可愛いユリアン。
ユリアンは泣き腫らした目でリリアーナを窺う。
リリアーナは半身を起こすと、両手を開いて娘のためにスペースを開けた。
「本当に? 」
「ええ。本当よ」
「お母様! 大好きよ! 」
ユリアンの小さな体が母の胸にすっぽり収まった。まるでビスクドールのような、くりくりした目。ぷくぷく柔らかい肌。リリアーナは、あんまりユリアンが可愛くて、頬を擦り寄せた。
「あなたの蜘蛛のお友達は、家族と離れ離れで寂しがっているわ。早くお家に帰してあげてね」
「うん! 」
てててて、と小さな足が芝生をゆっくり進んでいく。
ユリアンの手には、お友達が入った虫籠があった。
「しかし、ユリアンの虫好きもいつになったら飽きることやら」
虫籠の蓋を開けてお友達に手を振ってさよならをするユリアンを遠巻きに、ザカリスはやれやれと溜め息をついた。
敷物の上で長い脚を持て余し気味に投げ出す。
リリアーナは至極当然のようにその開いた脚の間に入ると、後頭部を彼の胸にぴったりくっつけた。
「あら。最近、ユリアンは人形遊びに嵌っているのよ」
「そうなのか? 」
ヒョイとザカリスの眉が上がる。
今日は珍しく休日の彼だが、いつもは仕事で慌ただしくあちこち駆け回り、一日中、執務室から出てこれない日も多い。
共同出資の機関車事業から発展して、機関車を使ったツアー旅行の会社を興したばかり。ようやく軌道に乗り、顧客は日毎に増している。
今や機関車旅行は金持ちのステイタスだ。
そんな忙しさだから、ザカリスは最近のユリアンの興味には疎い。
「ええ。人形を弟や妹に見たてて。本物が良いと言って聞かないの」
言いながら、リリアーナはスカートの中にユリアンが隠れんぼさせたビスクドールの「リチャード」を引っ張り出す。
「それなら、娘の願いを叶えてやらないとな」
ザカリスは苦笑しながら、少年のビスクドールの頭をぐしゃぐしゃ撫でた。
「大丈夫よ、ザカリス様。あと八ヶ月後には、ちゃんと願いは叶うから」
リリアーナは微笑んで、「リチャード」のおでこに軽くキスをする。
ザカリスの時間が止まった。
リリアーナが人形の額にキスをするのを、放心して見つめるばかり。
「……本当か? 」
ようやく彼は尋ねた。
リリアーナは、豆鉄砲をくらった鳩そのもののハンサムに、くすくす笑う。
「ええ。今朝、お医者様に診ていただいたら。間違いないそうよ」
「何故、早く言わないんだ」
「驚かせたかったの」
リリアーナの企みは大成功だ。
想像した百倍は、ザカリスを驚かせることが出来た。
「何だかまだ夢の中にいるみたい」
リリアーナは顔の角度を変えて、彼の心臓の位置に耳をつける。
驚愕したせいで、いつになく鼓動が速い。その規則的な動きを、リリアーナはしばし聞き入る。
「いや、現実だ。またユリアンのときのように、夜泣きに困り果て、ナニーメイドには愚痴を零され、お前は育児ノイローゼになり」
「ザカリス様はそのたびに途方に暮れて、私をひたすら抱きしめるのよ」
それも今は、楽しい思い出の一つ。
リリアーナの涙を、彼は何度、その唇で掬っただろう。
「子育てなんて、夢物語では終わらないからな」
「わかってるわ。失礼ね。いつまでも子供じゃないわ」
リリアーナは拗ねて口を尖らせる。
未だに彼は、リリアーナを大切にし過ぎて、子供を扱うように接するときがある。
「それを乗り越えて家族になったのよ、私達」
ザカリスがリリアーナとユリアンを守るのと同じくらいに、リリアーナだってザカリスとユリアンを守る。
たとえ何度死んでしまおうと、何度だって死に戻り、大切な家族を救う。
「ああ。リリアーナ。俺は世界一の幸福者だ」
ザカリスは感慨深く息を吐いた。
「人生をやり直し出来て、お前の魅力に気づいた」
「ザカリス様? 」
もしや、リリアーナと同じように、彼にもかつての記憶が残されているのだろうか?
ザカリスの妹だったユリアンの記憶は、人々から綺麗さっぱり消されたかと思っていたのに。
死に戻ったときの出来事の、大半がなかったことになっていた。
ザカリスも、あれ以来、一度として口にしなかったから。てっきり。
「ここは黙って頷くところだろ? リリアーナ? 」
ザカリスは何か言いかけたリリアーナの唇に人差し指を当てると、悪戯っぽくウィンクする。
「ええ。そうね。私もよ。ザカリス様」
リリアーナは微笑んで、彼と秘密を共有した。
【終わり】
「リリアーナ。大丈夫か? 」
リリアーナの大好きなハンサムが、心配そうに覗き込んできた。
リリアーナは小首を傾げながら、キョロキョロと辺りを見渡す。
ラベンダー畑を目の前に、芝生に広げた敷物にリリアーナは横たわっていた。
空は雲一つなく澄み渡り、爽やかな風が吹き抜けていく。
山鳩がどこかの枝でバサバサと羽を休め、ウーウーと鳴いた。
籐籠に収められた白い磁器のティーセット。
手付かずで皿にあるキューリのサンドイッチ。
ピクニックをしていたのだろうか?
記憶が飛んでしまっている。
「ユリアンのお転婆も困ったものだな」
ザカリスは横たわるリリアーナの頭をちょっと上げると、己の膝にちょんと乗せた。
あの偏屈のザカリスが、このような甘ったるい仕草を躊躇いなくするなんて。
飛び起きそうになって、しかし、くらっと視界が反転する。
リリアーナは再びザカリスの膝枕に甘んじる結果となってしまった。
「わ、私? どうしていたのかしら? 」
曖昧な記憶を必死に組み立てるリリアーナ。
「た、確かザカリス様が銃で撃たれて。私はあなたに駆け寄って。血が凄くて」
瞼の奥で、ジワリジワリと広がっていく血の海。
「それから、死に戻って。レイラが」
「おいおい、リリアーナ。寝惚けているのか? 」
ザカリスは苦笑いして、夢を彷徨うリリアーナを途中で止めた。
彼には、いつの間にか笑い皺が出来ている。
いつもしかめ面で、ハンサムを台無しにしていたというのに。
「ユリアンが蜘蛛をお前にプレゼントしたら、お前は飛び上がって気絶したんだ」
ふと、スカートの裾をぐっと引かれた。
視線の先には、ぷっくりとした小さな手。
「お母様、ごめんなさい。でも、でも私……」
三歳くらいの、漆黒の艶やかな髪を三つ編みにした少女が、えんえんと小鳥のように泣いている。ふりふりしたリボンやレースがふんだんに使われた、ピンクの愛らしいドレス。
「泣くな、ユリアン」
ザカリスは手を伸ばして、ぐしゃぐしゃと少女の頭を撫で回した。
「お前の母も、ちゃんとわかってる。お前が宝物を母にプレゼントしようとしたことを」
リリアーナは、次第に記憶を取り戻していく。
夢から現実世界へと、リリアーナは帰ってきた。
「ええ。ユリアン。あなたの気持ちは、ちゃんと通じているわ」
泣いているのは、リリアーナの可愛い一人娘。
ザカリスと同じ髪と瞳の色をして、面差しはリリアーナの子供の頃にそっくりな、可愛いユリアン。
ユリアンは泣き腫らした目でリリアーナを窺う。
リリアーナは半身を起こすと、両手を開いて娘のためにスペースを開けた。
「本当に? 」
「ええ。本当よ」
「お母様! 大好きよ! 」
ユリアンの小さな体が母の胸にすっぽり収まった。まるでビスクドールのような、くりくりした目。ぷくぷく柔らかい肌。リリアーナは、あんまりユリアンが可愛くて、頬を擦り寄せた。
「あなたの蜘蛛のお友達は、家族と離れ離れで寂しがっているわ。早くお家に帰してあげてね」
「うん! 」
てててて、と小さな足が芝生をゆっくり進んでいく。
ユリアンの手には、お友達が入った虫籠があった。
「しかし、ユリアンの虫好きもいつになったら飽きることやら」
虫籠の蓋を開けてお友達に手を振ってさよならをするユリアンを遠巻きに、ザカリスはやれやれと溜め息をついた。
敷物の上で長い脚を持て余し気味に投げ出す。
リリアーナは至極当然のようにその開いた脚の間に入ると、後頭部を彼の胸にぴったりくっつけた。
「あら。最近、ユリアンは人形遊びに嵌っているのよ」
「そうなのか? 」
ヒョイとザカリスの眉が上がる。
今日は珍しく休日の彼だが、いつもは仕事で慌ただしくあちこち駆け回り、一日中、執務室から出てこれない日も多い。
共同出資の機関車事業から発展して、機関車を使ったツアー旅行の会社を興したばかり。ようやく軌道に乗り、顧客は日毎に増している。
今や機関車旅行は金持ちのステイタスだ。
そんな忙しさだから、ザカリスは最近のユリアンの興味には疎い。
「ええ。人形を弟や妹に見たてて。本物が良いと言って聞かないの」
言いながら、リリアーナはスカートの中にユリアンが隠れんぼさせたビスクドールの「リチャード」を引っ張り出す。
「それなら、娘の願いを叶えてやらないとな」
ザカリスは苦笑しながら、少年のビスクドールの頭をぐしゃぐしゃ撫でた。
「大丈夫よ、ザカリス様。あと八ヶ月後には、ちゃんと願いは叶うから」
リリアーナは微笑んで、「リチャード」のおでこに軽くキスをする。
ザカリスの時間が止まった。
リリアーナが人形の額にキスをするのを、放心して見つめるばかり。
「……本当か? 」
ようやく彼は尋ねた。
リリアーナは、豆鉄砲をくらった鳩そのもののハンサムに、くすくす笑う。
「ええ。今朝、お医者様に診ていただいたら。間違いないそうよ」
「何故、早く言わないんだ」
「驚かせたかったの」
リリアーナの企みは大成功だ。
想像した百倍は、ザカリスを驚かせることが出来た。
「何だかまだ夢の中にいるみたい」
リリアーナは顔の角度を変えて、彼の心臓の位置に耳をつける。
驚愕したせいで、いつになく鼓動が速い。その規則的な動きを、リリアーナはしばし聞き入る。
「いや、現実だ。またユリアンのときのように、夜泣きに困り果て、ナニーメイドには愚痴を零され、お前は育児ノイローゼになり」
「ザカリス様はそのたびに途方に暮れて、私をひたすら抱きしめるのよ」
それも今は、楽しい思い出の一つ。
リリアーナの涙を、彼は何度、その唇で掬っただろう。
「子育てなんて、夢物語では終わらないからな」
「わかってるわ。失礼ね。いつまでも子供じゃないわ」
リリアーナは拗ねて口を尖らせる。
未だに彼は、リリアーナを大切にし過ぎて、子供を扱うように接するときがある。
「それを乗り越えて家族になったのよ、私達」
ザカリスがリリアーナとユリアンを守るのと同じくらいに、リリアーナだってザカリスとユリアンを守る。
たとえ何度死んでしまおうと、何度だって死に戻り、大切な家族を救う。
「ああ。リリアーナ。俺は世界一の幸福者だ」
ザカリスは感慨深く息を吐いた。
「人生をやり直し出来て、お前の魅力に気づいた」
「ザカリス様? 」
もしや、リリアーナと同じように、彼にもかつての記憶が残されているのだろうか?
ザカリスの妹だったユリアンの記憶は、人々から綺麗さっぱり消されたかと思っていたのに。
死に戻ったときの出来事の、大半がなかったことになっていた。
ザカリスも、あれ以来、一度として口にしなかったから。てっきり。
「ここは黙って頷くところだろ? リリアーナ? 」
ザカリスは何か言いかけたリリアーナの唇に人差し指を当てると、悪戯っぽくウィンクする。
「ええ。そうね。私もよ。ザカリス様」
リリアーナは微笑んで、彼と秘密を共有した。
【終わり】
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