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3-2 残穢足枷編:彼女の幸せは
159 おかいもの終了!
しおりを挟むアンが悩みながら拳殻を選んでいるのを見ながら、トニーさんと色々と話していった。
なんでギルドと提携したのかって話や、元々いた鍛冶師の街の話とか色々。
これくらい入り組んだ偏狭の地に店を構えたら他の鍛冶師に客を取られる心配はないだろうって思っていたんだけど、全く客が来ないからギルドと提携することにしたんだと。
鍛冶師は何も鉱人ばかりではないんだけど、鍛冶師でも上の方の人達はほとんど鉱人が占める。
ちなみに、トニーさんのお師匠や、タルトさんのお師匠も鉱人らしい。
「あ、そういやぁ、村には装備作りではないんだけど、独創的なモノ作ってる奴がいるなぁ」
「それは鉱人の方なんですか?」
「ん~、顔は見たことから知らねぇけど、最近じゃ魔素注入型で動作する物を発明したって言ってたな」
魔素注入型……?
もしかして、ムロさんやレヴィさんが乗ってた車っていうのはその人の発明のやつだったのかな。
「どうやったら、あんな発明ができるんか俺にゃぁ分からんなぁ~」
「原理は魔素で動くってわけですよね? 街灯やそういうのって、魔石が使われてるって話を聞いたんですけど」
「魔石に含有されてる魔素を原動力にして使うって考えは前からあったが、それを人の魔素に置き換えるってのはなぁ……。元々、魔素を変換するために必要なモノも魔素の力で動かすっていう非効率なもんだったわけでよ、あり得ねぇほど莫大な魔素が必要だった。そんなんを人にやったら死んじまうからな。だけど、それを――」
それからトニーさんの技術的な話は止まらなくなってしまい、途中から一方的な話になって来て、僕も相槌しかできない時間が続いていた。
すると、アンが拳殻を二つ持って出てきたから、拳殻とアン用の小物入れ買うことにして切り上げた。
「ありがとうございました」
「おう、また来てくれよなお得意様」
「じゃあな! お得意様!」
「あはは……」
最期の方には「ここに来るお客さんなんか滅多にいないから専属とまではいかねぇが、少しの融通なら利かすから他の店に行くんじゃねぇぞ」って言われた。
割引されるということなら、こっちも願ってもみないことで承諾をした。
思ったより偏屈とかではなかったし、こうやって買い物はできたから良かったな。
アンが買った拳殻も少しとげとげしてて禍々しい部分があるけど……真っ黒で腕まで覆うモノだし……うん、多分良いだろう。
「よし……えっと、ここまでどの道できたっけ……」
「わたし、覚えてますよ」
「アン……! ありがとう、連れ帰ってください」
「! わ、分かりました! こっちです」
手をつないで路地を走って行き、元来た道までアンの誘導で何とか外に出ることができた。
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