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3-1 残穢足枷編:最強の少女
140 大金ゲット!
しおりを挟む掛け金一位のぺリカって人とクマの人さんとの戦闘が終わった後、気が付くと中位部門の戦いは決着をしていた。
結果はマーシャルさんの圧勝。
飛んできた武器を避けもせずに全てを叩き落としていき、振り下ろされた剣を槍の振り上げで消し飛ばし、殴り掛かってきた参加者の腹部に蹴りを入れる。
終始スキルを使わずの戦闘で、スキル有りの450オーバーの参加者を圧倒する力量……あれが、アサルトリアの血盟主……。
「可哀そうなくらいに実力差がありましたね」
「……ですね」
「銃か、やっぱりいいなぁ」
『――異例の異例!!! 掛け金上位10名を全員下し、栄光を手にしたのは! 現、血盟順位五位の最上位血盟の一角!! アサルトリアの血盟主、マーシャル~~!!!』
場内に割れんばかりの拍手の音が響く。ぼくもぱちぱちと拍手を送った。
それにしても本当に強かったな。魔法を食らっても傷一つ付いてないのは耐性とか、そういうのがあるからなのかな。
それより、クマの被り物って……結構ああいうのが趣味だったり?
場内からマーシャルさんが退場して、清掃員のような人と魔導士のような恰好の人が闘技台とその周辺の修復活動を行い始めた。
『――ここで、中位部門の勝者が決定したことで賭けが当たった方へと返戻金の金額が表示されます。該当者は端末をご確認ください』
それを余韻に浸るようにボーっと見つめているると先までの男性のアナウンスの声ではなく、淡々と話す女性の声が場内に響き渡った。
あれ、声が違う。返戻金……。賭けが当たった……?
「あ、そうだ。僕はマーシャルさんに賭け――」
場内アナウンスの声で思い出したように端末に目を落とすと、そこには息をのむような金額が表示されていた。
滝汗が流れ出て、感嘆詞すら喉の奥へと引っ込んでいった。
体に力が入り、その数字を凝視し、端から桁を数えていった。
(……一、十、百、千、万、十万、ひゃ――)
「どうしました? クラディス様」
「ぁっ……ぇ、こ、これ……、ぼく、の端末……これっ」
「……?」
僕の言っていることが数秒理解出来ない様子で、少し考えたナグモさんとペルシェトさんだったが、すぐに気付きクラディスの手持ちの端末に目を移した。
「これは……」
「わぁ、クラディスくん、大当たり」
僕は、自分の所持金の約12万ウォルを直感でマーシャルさんだと思った参加者に賭けた。
こういう賭け事は人気の少ない人が勝った時の倍率が凄まじいことになるのは理解していた、しかし、予想以上の跳ね上がりで僕の端末に表示されていた桁数はなんと七桁に達していた。
賭け対象:マーシー
賭け方:上位1人
払戻金:7,230,000ウォル
『なお、マーシー氏への掛けはとても少なかったので、倍率がとても高くなっていました。予想が的中した方、大当たりおめでとうございます』
僕は端末を見て完全に体が固まっていた。
並ぶ数字をただただ見つめて、頭が思考を放棄してパンク状態。
「ひぅ、ぇぅ……あ、っ……え」
賭け方上位1人……これは、優勝する人を決める賭け方だ。
他の賭け方と比べると当たった時の跳ね上がり方は中の上くらいだとナグモさんに聞いた。
12万を一つの賭けに賭ける僕もそれなりに狂っているとは思う……それでも、このお金は今日のために頑張って稼いだお金だった。【転生者】と言われている727番さんを合法的に匿うために、死ぬ思いをしながら稼いだお金だ。
それでも……本当に当たるとは、こんなに大勝するとは思っても見なかった。
端末を見て、放心していると隣のナグモさんが了承のボタンを押してくれて、その画面は引っ込んでいった。
「う……ぁ、ナグモ……さん」
「おお、凄い顔ですね。とりあえず飲み物でも飲みますか?」
「今、ちょっと、無理かもです」
こんな状態で何か口に含んだら入って来た瞬間出ていきそうだ。
鳥肌がいまだに収まらない。
「すご、クラディス君が富豪になった」
「なりましたけど、本来の目的はそれじゃないですものね?」
「そうなの?」
「……はい、僕は、あの727番さんのことを買うために来たんです」
僕が727番が目的で闘技場に来たというのを【転生者】という話には触れずに小声で説明をした。理由はどうとでもいえて、なるべく嘘っぽく聞こえないような話を作り、織り交ぜた。
終始興味深そうに話を聞いてくれて、ナグモさんは「だからあの時727番さんの話を知りたがっていたんですね」と納得してくれた。
それと奴隷を買うという行為自体、二人は反対をせず僕の判断に任せると言ってくれて話が終わった。
「最近頑張ってクエストやってた理由はコレなんだ。私達がクエスト禁止って紙の言葉の穴を突いて受けてたもんね」
「それは申し訳ないと思ってるのですが……、それでも興味があって」
「外れたら大損だったけど、運がいいんだね。いいなぁ~」
「ペルシェトはああいってますが、彼女は大金持ちなので気にしなくてもいいですよ。1000万ウォルまでは、彼女にとって端金ですから」
「えっ、ぅ、ま、まぁーね! ふふん!」
「ですので私達に変な気を遣わなくていいですよ、自分のお好きなようにしてくださいね」
「すみません……助かります」
ナグモさんの一言で、お金の使い方に踏ん切りがついた。
実はムロさん達が払ってくれている訓練の諸費用を払った方が、ギルド的にも僕が今いる立場的にも最善であると思っていた。けど、それは訓練期間後にゆっくりと払っていこう。
(このお金は、727番さんのために使うんだ)
その後、中位部門が終わったからお昼休憩へと入るアナウンスがされた。
食欲はあまりなかったのだが、少し外に出ていた露店を覗きに行って軽くお腹にモノを入れることにした。
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