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第23章:ソフィアの言い訳

第2話:漏れそうなレオ

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 コッシロー=ネヅがごそごそと腹の辺りを探り、どこからともなく1冊のハードカバーされた本を取り出す。それは虫メガネで見なければならないのかというサイズであったが、コッシロー=ネヅがムニャムニャと呪文を詠唱するや否や、普通のサイズの本に変わる。

 レオナルト=ヴィッダーはその本を手に取ると、ふむふむと言いながら、ページをめくっていく。レオナルト=ヴィッダーの両脇を占拠しているリリベル=ユーリィとエクレア=シューはどれどれと身を乗り出してレオナルト=ヴィッダーが手にしている本を横から覗き見る。

 レオナルト=ヴィッダーが今、開いているページは女性器が大きく描かれているページであり、さらには女性器のところどころの部位の名前まで記されている。

「卑肉ってこんなんだったっけ? リリベルやエクレアのはもっと卑猥な形をしてるぞ?」

「あくまでも解説本の図説だから、一般的表現として書いているだけでッチュウ。お前が普段見ているリリベルとエクレアのあそこは充血して、さらには濡れ濡れ状態だから、肥大化しまくりの変形しまくりなのでッチュウ」

 レオナルト=ヴィッダーはページに描かれている女性器がリリベル=ユーリィたちのモノとは似て非なるモノであるため、コッシロー=ネヅにツッコミを入れる形となる。だが、コッシロー=ネヅは理路整然に、レオナルト=ヴィッダーの質問に答えてみせる。

「なるほどなあ。女性のあそこってのは、興奮すると全然、形が変わっちまうのかぁ。俺はそんなことも知らなかったなぁ」

 レオナルト=ヴィッダーは感慨深そうにそう言ってのける。女性器というものは、男性器と同じく、変形するモノだということを初めて知ることになる。男性器というのは血と呪力ちからが流れ込むことにより、より太く、より長く、より反りが強くなるだけのシロモノだ。

 しかしながら、通常状態と思わしき女性器を図説で見ることで、レオナルト=ヴィッダーは女性器はそそり立つ男性器からスペル魔を絞り出すために最適な形へと花開くものなのだということを知ったのである。

 だが、レオナルト=ヴィッダーの女性器への興味はそこで止まる。レオナルト=ヴィッダーが本当に好きなのはケツ穴なのである。ケツ穴の扱い方に関する解説ページが無いのかと本のページをどんどんめくっていく。

「チュッチュッチュ。レオンは本当につける薬が無いくらいに馬鹿なのでッチュウ。ケツ穴の方は110ページ以降なのでッチュウ」

「サンキュ、コッシロー」

 レオナルト=ヴィッダーはコッシロー=ネヅに感謝の言葉を贈ると同時に、目当てのページへ向かって、どんどんページをめくっていく。しかし、彼の両脇を陣取るリリベル=ユーリィとエクレア=シューは、レオナルト=ヴィッダーの手を止めることになる。

「レオ……。あなたのケツ穴好きを責める気は一切無いの……。でも、今は前戯について知ってほしいって言ってるの」

「レオン様は本当にケツ穴ばかりなのです~~~。でも、そこに至る前の手順にも興味を持ってほしいのです~~~」

 リリベル=ユーリィとエクレア=シューの懇願により、レオナルト=ヴィッダーはページをめくる手を止める。そして、言い訳がましい台詞を吐きつつ、コッシロー=ネヅからもらった本を腰の右側に結わえてある革製のポーチにしまい込んでしまう。コッシロー=ネヅの持っていた本はサイズを自由自在に変えることが出来た。

 少しばかり魔力を扱えるニンゲンであれば、それは可能であり、レオナルト=ヴィッダーはそれを無意識でおこなったのである。レオナルト=ヴィッダーは時間がある時にでも、『紅性伝』を読んでおこうと思うのだが、その機会はそれほど時間が経ずにおこなわれることになる。

「あれ? ソフィア様がいつの間にか離席しているのですゥ。料理を食べている最中にぼくたちがあっちの話ばかりしているのに嫌気を差したのでしょうかァ?」

「ほっほっほ。ワインの飲み過ぎで、膀胱が破裂しそうになったけでおじゃろう。よろよろとした足取りでかわやがある方へと案内されていったのでおじゃる」

 教皇の説明で、ホッと安堵するクルス=サンティーモであった。気分を害したのであれば、あとで謝ろうとしていたのだが、そんなことをせずに済みそうであった。そして、ソフィア=グレイプが離席してから10分も経過すると、今度はレオナルト=ヴィッダーがもよおしたため、離席すると皆に伝え、かわやに向かう。

 レオナルト=ヴィッダーは食事の間で立っている近衛兵のひとりにかわやへ行くための道順を教えてもらい、少々、千鳥足でそこへと向かっていく。そんなレオナルト=ヴィッダーは蝋燭の灯りと三日月の光しかない暗い廊下でけつまずいて、倒れてしまうことになる。

「いたたっ。何だ? 俺は何にけつまづいた?」

 レオナルト=ヴィッダーは暗い視界の中、自分が転んでしまった原因を探ることになる。そして、自分が何故転んだのかの原因が判明するや否や、はぁぁぁ……と深いため息をつくことになる。

「ソフィアがこんなところで爆睡してやがるぞ……。4月半ばだからといって、風邪を引いちまうだろうが……」

 レオナルト=ヴィッダーはやれやれと思いながらも、ソフィア=グレイプの上半身に両腕を回し、彼女を抱きかかえる。そして、彼女を落とさぬように注意しながら、とりあえず、用を足してしまおうとかわやへと向かう。

「むむ。困ったな!? ソフィアを便座に乗せたは良いけど、俺の膀胱が破裂しそうだっ!!」

 レオナルト=ヴィッダーはかわやにある個室のひとつに入って、ソフィア=グレイプを便座の上に座らせたまでは良かった。しかし、この時点でレオナルト=ヴィッダーの膀胱にあるダムは決壊寸前となっていた。女性をかわやの床に直接置くような失礼なことも出来ないだろうと思う気持ちが半分。おしっこ漏れちゃうのおおおおおお! という気持ちが半分、レオナルト=ヴィッダーの脳内を駆け巡ることになる。

 レオナルト=ヴィッダーは折衷案として、便座に座っているソフィア=グレイプの太ももを出来る限り広げさせて、その太ももの間を縫うように、小便を噴射することであった。レオナルト=ヴィッダーはソフィア=グレイプの身体に黄金こがね色の鉄砲水の一滴もかけないように細心の注意を払うことになる。

 だが、男性ならわかってもらうだろう。便器に向かって小便をする時、男の場合はしぶきをまき散らすということを。便器からはみ出さないように小便をすることが出来ないのが、おちんこさんなのである。

 ソフィア=グレイプは顔に暖かなミストを当てられたことで、うぅぅんと唸り声をあげながら、ゆっくりとまぶたを開くことになる。すると、かすむ視界の先に赤黒いポークビッツが見える。しかし、奇怪なことにその赤黒いポークビッツの先端からはやや斜め下方向に向かって、麦酒ビールのような色をした液体を噴射させている。

「ポークビッツが麦酒ビールを出して……いる? ポークビッツはかぶりつきながら、麦酒ビールを飲むものではなくて?」
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