72 / 122
第8章:目覚めの兆し
第1話:退けぬ戦士たち
しおりを挟む
――大王歴1200年10月19日 アンゴリア大王国 首都:アウクスブルグにて――
上覧武闘会では四日間に渡り、第1回戦が繰り広げられることとなる。本大会のスペシャルゲストである神槍:ブリトニー=ノーガゥは危なげなく勝利を掴み取り、第2回戦へと駒を進めていた。彼を倒せば、開拓軍の代表者となれるわけだが、老いたといえどもさすがに『神槍』と呼ばれるだけはあり、第1回戦の相手はなすすべなく倒されることとなる。そんな完勝に近い勝利を得たブリトニー=ノーガゥたちに対して、観客たちは拍手を惜しみなく送る。だが、少しばかり熱はこもっていないようにも感じるブリトニー=ノーガゥであった。
(う~む。もう少し、相手に華を持たせてやるべきでしたかねえ? でも、手を抜くと主アンゴルモア大王から叱責を喰らいそうですし……)
神槍:ブリトニー=ノーガゥとしても、ウサギに対して、獅子が全力を出さねばならぬ状況へと追いやられていたのである。それは第1回戦・第1試合で観客の声援を独り占めした男が存在したからである。だからこそ、神槍ここにありという戦いぶりをしろと主アンゴルモア大王から厳命されていたという経緯があったのだ。そのため、相手の立場をおもんばかるようなことは出来ずに圧勝せざるをえなかったのだ。
そんな彼の事情を置いておいて、第1回戦は進んでいく。そもそも、この第1回戦で勝利した時点で開拓軍の幹部入りは決まったも同然であった。だが、戦士たちにとって、ここからさらに厳しくなっていく。開拓軍入りは確定したが、そこでの序列が変わってくるからだ。序列が上ならば、支払われる給金も倍々となっていく。一介の浪人風情にしか過ぎない戦士にとっては、給金の過多は死活問題ともなってくる。
上覧武闘会に出場する戦士たちはお互いにライバルの関係なのである。戦士たちにとって名誉は大事であるが、それ以上に喰っていかなければならないのだ。この先の地位向上のためにも、出来る限り上へと勝ち進まねばならない。上覧武闘会に出場するような戦士ならば、軍に入れば良いじゃないかと言われるかもしれないが、その場合は一兵卒からのスタートなのである。そこで何年も自分よりも実力が下の者に顎で使われるのは納得いかないのは当たり前であろう。
だからこそ、予選大会でしのぎを削り合い、本戦へと駒を進めてきたのだ。そして、その野望は膨らむことをやめようとせず、さらに上へ上へと高みを目指していくことになるは致し方ないと言えよう。戦士たちは1回戦を突破したからといって、眼の輝きを失ってはいなかった。いや、それまで以上にギラついていたのである。そして、そんな戦士たちが集う控室の雰囲気が日ごとに悪くなっていくのは当然と言えば当然であった。
ピリピリと肌が焼け付くような感触をロック=イートも感じていた。皆が生き急いでいる。そんな感覚をロック=イートは肌で感じていたのだ。だが、そんな緊張感に包まれている控室へ飛び込んでくるや否や、ロック=イートに抱き着く人物が二人居た。
「あ~。わたくしの騎士様。バナナジュースを持ってきたのですわ。ごっくんと一気飲みしてほしいのですわ」
リリー=フルールが木製のジョッキいっぱいに注ぎ込んできたバナナジュースを無理やりロック=イートに飲ませようとする。ロック=イートは何かを言わんとするまえに口をバナナジュースで塞がれてしまう。ロック=イートがバナナジュースの波に溺れそうになっているところを、助けるべくヨーコ=タマモが動く。
「おぬしは何をしておるのじゃ。試合前のカロリー摂取と言えば、赤マムシの一気食いに決まっておるのじゃ。ほれ、ロック。わらわが丹精込めて焼いた赤マムシの串焼きを食べるのじゃっ!」
リリー=フルールを無理やりロック=イートの身から剥がしたヨーコ=タマモが、ロック=イートの口の中に赤マムシの串焼きを無理やり捻じ込みだしたのだ。ロック=イートはふごー! ふごー! と抵抗の意思を示すのだが、それでもヨーコ=タマモはその手を止めようとはしなかったのである。そして今度はリリー=フルールがヨーコ=タマモを無理やりロック=イートの身から引きはがし、またもやロック=イートの口の中にバナナジュースを注ぎ込んでいく。
ロック=イートは眼でセイ=レ・カンコーに助けてくれという意思を伝えているのだが、セイ=レ・カンコーはロック=イートから顔を背け、同時に視線をも外してしまう。視線を外されたロック=イートは眼を白黒とさせる他無かったのである。もし彼女たちを静止しようものなら、セイ=レ・カンコーは彼女たちからあらん限りの罵声を浴びせられるのは眼に見えていた。ならば、犠牲者はロック=イートだけで良いだろうということで、関わり合いになろうとしなかったのだ。
ロック=イートがリリー=フルールとヨーコ=タマモからの精神的な攻撃も含めての労いをされてから10分もすると、ようやく彼女たちは落ち着きを取り戻す。急に騒がしくなった控室を嫌う戦士たちが白い眼で彼女たちを見続けたのが功を奏したとも言えよう。
「うう……。わたくしとしたことが場の空気も考えずにはしゃいでしまいましたわ……」
「うう……。わらわも一端の戦士だというのに、我を忘れていたのじゃ。皆、すまぬのじゃ……」
美女二人が頭を下げたことで、控室に居る戦士たちも留飲が下がることとなる。そして、彼らはそれぞれに調整を再開しだす。リリー=フルールは彼らの邪魔となってしまったことに後悔の念を少なからず抱くことになる。そんなしょげ気味の彼女に対して、覆面の戦士がずかずかと歩いてきて、リリー=フルールの金髪をわしゃわしゃと掻きまわしだす。
リリー=フルールは何事ですの!? と驚くことになるが、覆面の戦士は口の端をニヤリと歪め、彼女から離れるや否や、今度はロック=イートに近づいていく。そして、ロック=イートがその覆面の戦士が接近してくることに驚いている内に、その戦士はスッと彼の間合いの内側に入り込む。
「ロック。久々に顔を見れたと思ったら、大層な美人に囲まれているわね。あたしとしては嫉妬を覚えちゃうわよ?」
覆面の戦士が口から出す声は女性のモノであった。そして、ロック=イートはその声に懐かしさを覚えてしまう。だが、そんなロック=イートに対して、覆面の戦士は突然、ロック=イートの右の義腕をひねるように掴み、彼の腹に自分の背中から腰部分を当てて、よいしょとばかりに一本背負いをかましてしまうのであった……。
上覧武闘会では四日間に渡り、第1回戦が繰り広げられることとなる。本大会のスペシャルゲストである神槍:ブリトニー=ノーガゥは危なげなく勝利を掴み取り、第2回戦へと駒を進めていた。彼を倒せば、開拓軍の代表者となれるわけだが、老いたといえどもさすがに『神槍』と呼ばれるだけはあり、第1回戦の相手はなすすべなく倒されることとなる。そんな完勝に近い勝利を得たブリトニー=ノーガゥたちに対して、観客たちは拍手を惜しみなく送る。だが、少しばかり熱はこもっていないようにも感じるブリトニー=ノーガゥであった。
(う~む。もう少し、相手に華を持たせてやるべきでしたかねえ? でも、手を抜くと主アンゴルモア大王から叱責を喰らいそうですし……)
神槍:ブリトニー=ノーガゥとしても、ウサギに対して、獅子が全力を出さねばならぬ状況へと追いやられていたのである。それは第1回戦・第1試合で観客の声援を独り占めした男が存在したからである。だからこそ、神槍ここにありという戦いぶりをしろと主アンゴルモア大王から厳命されていたという経緯があったのだ。そのため、相手の立場をおもんばかるようなことは出来ずに圧勝せざるをえなかったのだ。
そんな彼の事情を置いておいて、第1回戦は進んでいく。そもそも、この第1回戦で勝利した時点で開拓軍の幹部入りは決まったも同然であった。だが、戦士たちにとって、ここからさらに厳しくなっていく。開拓軍入りは確定したが、そこでの序列が変わってくるからだ。序列が上ならば、支払われる給金も倍々となっていく。一介の浪人風情にしか過ぎない戦士にとっては、給金の過多は死活問題ともなってくる。
上覧武闘会に出場する戦士たちはお互いにライバルの関係なのである。戦士たちにとって名誉は大事であるが、それ以上に喰っていかなければならないのだ。この先の地位向上のためにも、出来る限り上へと勝ち進まねばならない。上覧武闘会に出場するような戦士ならば、軍に入れば良いじゃないかと言われるかもしれないが、その場合は一兵卒からのスタートなのである。そこで何年も自分よりも実力が下の者に顎で使われるのは納得いかないのは当たり前であろう。
だからこそ、予選大会でしのぎを削り合い、本戦へと駒を進めてきたのだ。そして、その野望は膨らむことをやめようとせず、さらに上へ上へと高みを目指していくことになるは致し方ないと言えよう。戦士たちは1回戦を突破したからといって、眼の輝きを失ってはいなかった。いや、それまで以上にギラついていたのである。そして、そんな戦士たちが集う控室の雰囲気が日ごとに悪くなっていくのは当然と言えば当然であった。
ピリピリと肌が焼け付くような感触をロック=イートも感じていた。皆が生き急いでいる。そんな感覚をロック=イートは肌で感じていたのだ。だが、そんな緊張感に包まれている控室へ飛び込んでくるや否や、ロック=イートに抱き着く人物が二人居た。
「あ~。わたくしの騎士様。バナナジュースを持ってきたのですわ。ごっくんと一気飲みしてほしいのですわ」
リリー=フルールが木製のジョッキいっぱいに注ぎ込んできたバナナジュースを無理やりロック=イートに飲ませようとする。ロック=イートは何かを言わんとするまえに口をバナナジュースで塞がれてしまう。ロック=イートがバナナジュースの波に溺れそうになっているところを、助けるべくヨーコ=タマモが動く。
「おぬしは何をしておるのじゃ。試合前のカロリー摂取と言えば、赤マムシの一気食いに決まっておるのじゃ。ほれ、ロック。わらわが丹精込めて焼いた赤マムシの串焼きを食べるのじゃっ!」
リリー=フルールを無理やりロック=イートの身から剥がしたヨーコ=タマモが、ロック=イートの口の中に赤マムシの串焼きを無理やり捻じ込みだしたのだ。ロック=イートはふごー! ふごー! と抵抗の意思を示すのだが、それでもヨーコ=タマモはその手を止めようとはしなかったのである。そして今度はリリー=フルールがヨーコ=タマモを無理やりロック=イートの身から引きはがし、またもやロック=イートの口の中にバナナジュースを注ぎ込んでいく。
ロック=イートは眼でセイ=レ・カンコーに助けてくれという意思を伝えているのだが、セイ=レ・カンコーはロック=イートから顔を背け、同時に視線をも外してしまう。視線を外されたロック=イートは眼を白黒とさせる他無かったのである。もし彼女たちを静止しようものなら、セイ=レ・カンコーは彼女たちからあらん限りの罵声を浴びせられるのは眼に見えていた。ならば、犠牲者はロック=イートだけで良いだろうということで、関わり合いになろうとしなかったのだ。
ロック=イートがリリー=フルールとヨーコ=タマモからの精神的な攻撃も含めての労いをされてから10分もすると、ようやく彼女たちは落ち着きを取り戻す。急に騒がしくなった控室を嫌う戦士たちが白い眼で彼女たちを見続けたのが功を奏したとも言えよう。
「うう……。わたくしとしたことが場の空気も考えずにはしゃいでしまいましたわ……」
「うう……。わらわも一端の戦士だというのに、我を忘れていたのじゃ。皆、すまぬのじゃ……」
美女二人が頭を下げたことで、控室に居る戦士たちも留飲が下がることとなる。そして、彼らはそれぞれに調整を再開しだす。リリー=フルールは彼らの邪魔となってしまったことに後悔の念を少なからず抱くことになる。そんなしょげ気味の彼女に対して、覆面の戦士がずかずかと歩いてきて、リリー=フルールの金髪をわしゃわしゃと掻きまわしだす。
リリー=フルールは何事ですの!? と驚くことになるが、覆面の戦士は口の端をニヤリと歪め、彼女から離れるや否や、今度はロック=イートに近づいていく。そして、ロック=イートがその覆面の戦士が接近してくることに驚いている内に、その戦士はスッと彼の間合いの内側に入り込む。
「ロック。久々に顔を見れたと思ったら、大層な美人に囲まれているわね。あたしとしては嫉妬を覚えちゃうわよ?」
覆面の戦士が口から出す声は女性のモノであった。そして、ロック=イートはその声に懐かしさを覚えてしまう。だが、そんなロック=イートに対して、覆面の戦士は突然、ロック=イートの右の義腕をひねるように掴み、彼の腹に自分の背中から腰部分を当てて、よいしょとばかりに一本背負いをかましてしまうのであった……。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
魔法少女の異世界刀匠生活
ミュート
ファンタジー
私はクアンタ。魔法少女だ。
……終わりか、だと? 自己紹介をこれ以上続けろと言われても話す事は無い。
そうだな……私は太陽系第三惑星地球の日本秋音市に居た筈が、異世界ともいうべき別の場所に飛ばされていた。
そこでリンナという少女の打つ刀に見惚れ、彼女の弟子としてこの世界で暮らす事となるのだが、色々と諸問題に巻き込まれる事になっていく。
王族の後継問題とか、突如現れる謎の魔物と呼ばれる存在と戦う為の皇国軍へ加入しろとスカウトされたり……
色々あるが、私はただ、刀を打つ為にやらねばならぬ事に従事するだけだ。
詳しくは、読めばわかる事だろう。――では。
※この作品は「小説家になろう!」様、「ノベルアップ+」様でも同様の内容で公開していきます。
※コメント等大歓迎です。何時もありがとうございます!
裏庭が裏ダンジョンでした@完結
まっど↑きみはる
ファンタジー
結界で隔離されたど田舎に住んでいる『ムツヤ』。彼は裏庭の塔が裏ダンジョンだと知らずに子供の頃から遊び場にしていた。
裏ダンジョンで鍛えた力とチート級のアイテムと、アホのムツヤは夢を見て外の世界へと飛び立つが、早速オークに捕らえれてしまう。
そこで知る憧れの世界の厳しく、残酷な現実とは……?
挿絵結構あります
【第一部完結】魔王暗殺から始まった僕の異世界生活は、思ってたよりブラックでした
水母すい
ファンタジー
やりたいことがない空っぽの高校生の僕がトラックに轢かれて転移したのは、なんと魔王城だった。
貴重な役職の《暗殺者》である僕はチートスキルを駆使して、魔王を倒して囚われの姫を救い出すことに。
⋯⋯ただし使えるのは短剣一本。
英雄なのに英雄になれない、そんな報われない僕の異世界生活は魔王討伐から始まる──
・一話の分量にバラつきがありますが気分の問題なのでご容赦を⋯⋯
【第一部完結】
第二部以降も時間とネタができ次第執筆するつもりでいます。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
私ではありませんから
三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」
はじめて書いた婚約破棄もの。
カクヨムでも公開しています。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる