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第1章:ロック=イートの夢
第3話:タイガー・ホール
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――大王歴1195年4月9日 イタリアーノ副王国 ヒマラヤン山脈ふもとのタイガー・ホール付近にて――
男は腰を落とし、左足で地面を蹴っ飛ばした後、右足を大きく前に出す。そしてその右足に十分に体重を乗せながら、相対する相手に向かって右の拳を思いっ切り突き出す。
「ロケット・パーンチーーーッッッ!!」
「ぐべえええ!!」
半狼半人の男が放った右の拳は、ならず者のみぞおちに深々と突き刺さっていた。ならず者の半熊半人は吐しゃ物を口からまき散らし、腹を両手で抑えながら、地面の上でゴロゴロと悶絶する。
「あ、ありがとうございます!」
酔っぱらった半熊半人に絡まれていた酒場のウエイトレスである半兎半人の女性がペコリと頭を下げて、半狼半人の男に礼を言う。だが、礼を言われた側の男はいいよいいよとばかりに謙遜し、自分の胴回りよりも遥かに太い酒樽を両腕で抱え直して、その場からさっさと去っていってしまう。
「しっかし、あいつも男前に育ったもんだねえ……」
「んだんだ。8年前にこの辺りにあるタイガー・ホールに連れてこられたって話を聞いた時はさぞかし不憫なもんだと憐れんだもんだがなあ……」
村の住人は去っていく男の背中を見ながら、そう噂をする。彼はタイガー・ホールの主である拳聖に毎度の如く、酒を買ってこいと言われて、この村の酒場まで出向いてきたのであった。そして、たまたま酒場で乱暴狼藉を働くならず者たちに出くわした。さらにはウェイトレスである半兎半人の女性をそのならず者たちから救い出したという話なのである。
「本当に良い男に育ったよね、ロック=イートくん……。お姉さんが人妻じゃなかったら、性的に食べてしまいたいくらい……」
「よせやい。半兎半人が半狼半人を性的に食うって、どういう話だよ。そんなことより、酒場がちらかっちまったんだ。後片付けをしてくれよ……」
半鼠半人の酒場の主人はうっとり顔のウエイトレスに仕事をするようにと促す。促された側の女性はやれやれとばかりにため息をつき、ホウキとチリトリを手に、割れたグラスや床に転がった料理を片付け始めるのであった。
この村の住人はタイガー・ホールで修行する面々とは付き合いが深い。なんといっても、タイガー・ホール付近にある村々の中で一番近い場所はこのアンダーソン村である。村の名前の由来は、ここの村長の姓がアンダーソンだからである。ド田舎といっては失礼にあたるが、村長の名前やその土地そのものの呼び名で村の名前が決まることは多々ある。
もちろん、これは村だけの話ではなく、大きな街や都市でも同じようなことはある。ただ、そう言った場合は村長とは比べようのない高位の階級の者が名付けたことが由来となる。
拳聖の弟子たちが集い、日々、その腕前を磨くタイガー・ホールの名前の由来は、当代の拳聖が半虎半人であるからだ。キョーコ=モトカード。御年45歳。彼女はアンゴルモア大王付き四天王のひとりであり、かつ、アンゴルモア大王の軍に優秀な兵士を送り出す役目を担っている。
酒場でならず者をのした齢18の半狼半人の少年とも言い難い歳となったロック=イートは両親から離れて、拳聖:キョーコ=モトカードの指導の下、一心不乱に修行を続けていた。彼もまた、輝かしい将来を期待されている若者のひとりである。
「お師匠様。酒を買ってきましたよ。ってか、ここ最近、飲み過ぎじゃないですか?」
「うっさいわい。半虎半人はうわばみなんだよ。命の水を飲むことに関して、説教をされる筋合いなどないわい」
ロック=イートは酒樽をよっこいしょとばかりに、拳聖が住む木造平屋建ての台所付近の土間に置く。そして、ついでとばかりに酒浸りの拳聖に文句を言ったのだ。だが、キョーコ=モトカードは横になりながら、尻をボリボリと掻く始末。ロック=イートがやれやれとため息をつくのは仕方無かったと言えよう。
「あー。小僧。今日の修行が終わった後に大事な話をするから、コタロー=サルガミとサラ=ローランと共に、わしゃの庵に顔を出すんだわい」
ロック=イートが用事を済んだがゆえに、小屋から出ようとしていたが、その背中に向けて、拳聖:キョーコ=モトカードが思い出したかのようにそう告げる。振り向いたロック=イートの顔は怪訝なモノに変わっていた。
「大事な話? 今この場で言えない話なんです?」
「ああ、そうだね。3人揃っていないと、どうにも都合が悪くてね? んじゃ、わしゃは出てくるから、夕暮れ16時過ぎくらいには、このあばら家に集まっておくんだよ?」
拳聖:キョーコ=モトカードはそう言うと、のっそりと起き上がる。小屋の出入り口で何の話だろうと疑うロック=イートに、そう気にするなとばかりに彼の左肩に自分の左手をぽんと1度乗せる。そして、彼を置いて、ひとりどこかへと向かっていこうとする。ロック=イートは彼女が去る前に、いくつか質問をしようとしたが、キョーコ=モトカードは地面を勢いよく蹴り、ぴょんと近くの木の枝に乗り移る。しかしながら彼女はその枝の上で留まらずにさらにその枝を蹴り飛ばして、どんどん向こうへと消えていってしまう。
「……ったく。良い意味でも悪い意味でもマイペースだな、お師匠様は。でも、何の話なんだろう? 兄弟子のコタロー兄と姉弟子のサラ姐も一緒じゃないと話せないことって……」
ロック=イートには頼れる拳聖の高弟たちが居る。半猿半人のコタロー=サルガミ。彼は蹴り技において、拳聖:キョーコ=モトカードが持つ技のほとんどを修得している。
そしてもうひとりの高弟は半犬半人のサラ=ローランである。彼女は投げ技を得意としており、こちらも拳聖:キョーコ=モトカードが持つ技のほとんどを修得している。
さらにはロック=イートは拳を用いた打撃技において、キョーコ=モトカードからその技を伝授されている。
この3人は拳聖の3大高弟と呼ばれるようにまでなっており、その3人が同時に師匠であるキョーコ=モトカードから話をされるとなれば、よっぽど大事なことであろうことはロック=イートには容易に想像できた。
しかしながら、どういった内容かまではロック=イートには予測できないでいた。なんと言っても、相手はキョーコ=モトカードなのだ。アンゴルモア大王付き四天王の中で最も強い人物と言われている。そして傍若無人ぶりもアンゴルモア四天王1番とも言われているのだ。
「うーーーん。他流試合とかそんなところか? でも、お師匠様のことだから、酒の肴に紅き竜の肉が食べたいから、3人で倒してきてくれとか言い出す可能性もあるし……」
男は腰を落とし、左足で地面を蹴っ飛ばした後、右足を大きく前に出す。そしてその右足に十分に体重を乗せながら、相対する相手に向かって右の拳を思いっ切り突き出す。
「ロケット・パーンチーーーッッッ!!」
「ぐべえええ!!」
半狼半人の男が放った右の拳は、ならず者のみぞおちに深々と突き刺さっていた。ならず者の半熊半人は吐しゃ物を口からまき散らし、腹を両手で抑えながら、地面の上でゴロゴロと悶絶する。
「あ、ありがとうございます!」
酔っぱらった半熊半人に絡まれていた酒場のウエイトレスである半兎半人の女性がペコリと頭を下げて、半狼半人の男に礼を言う。だが、礼を言われた側の男はいいよいいよとばかりに謙遜し、自分の胴回りよりも遥かに太い酒樽を両腕で抱え直して、その場からさっさと去っていってしまう。
「しっかし、あいつも男前に育ったもんだねえ……」
「んだんだ。8年前にこの辺りにあるタイガー・ホールに連れてこられたって話を聞いた時はさぞかし不憫なもんだと憐れんだもんだがなあ……」
村の住人は去っていく男の背中を見ながら、そう噂をする。彼はタイガー・ホールの主である拳聖に毎度の如く、酒を買ってこいと言われて、この村の酒場まで出向いてきたのであった。そして、たまたま酒場で乱暴狼藉を働くならず者たちに出くわした。さらにはウェイトレスである半兎半人の女性をそのならず者たちから救い出したという話なのである。
「本当に良い男に育ったよね、ロック=イートくん……。お姉さんが人妻じゃなかったら、性的に食べてしまいたいくらい……」
「よせやい。半兎半人が半狼半人を性的に食うって、どういう話だよ。そんなことより、酒場がちらかっちまったんだ。後片付けをしてくれよ……」
半鼠半人の酒場の主人はうっとり顔のウエイトレスに仕事をするようにと促す。促された側の女性はやれやれとばかりにため息をつき、ホウキとチリトリを手に、割れたグラスや床に転がった料理を片付け始めるのであった。
この村の住人はタイガー・ホールで修行する面々とは付き合いが深い。なんといっても、タイガー・ホール付近にある村々の中で一番近い場所はこのアンダーソン村である。村の名前の由来は、ここの村長の姓がアンダーソンだからである。ド田舎といっては失礼にあたるが、村長の名前やその土地そのものの呼び名で村の名前が決まることは多々ある。
もちろん、これは村だけの話ではなく、大きな街や都市でも同じようなことはある。ただ、そう言った場合は村長とは比べようのない高位の階級の者が名付けたことが由来となる。
拳聖の弟子たちが集い、日々、その腕前を磨くタイガー・ホールの名前の由来は、当代の拳聖が半虎半人であるからだ。キョーコ=モトカード。御年45歳。彼女はアンゴルモア大王付き四天王のひとりであり、かつ、アンゴルモア大王の軍に優秀な兵士を送り出す役目を担っている。
酒場でならず者をのした齢18の半狼半人の少年とも言い難い歳となったロック=イートは両親から離れて、拳聖:キョーコ=モトカードの指導の下、一心不乱に修行を続けていた。彼もまた、輝かしい将来を期待されている若者のひとりである。
「お師匠様。酒を買ってきましたよ。ってか、ここ最近、飲み過ぎじゃないですか?」
「うっさいわい。半虎半人はうわばみなんだよ。命の水を飲むことに関して、説教をされる筋合いなどないわい」
ロック=イートは酒樽をよっこいしょとばかりに、拳聖が住む木造平屋建ての台所付近の土間に置く。そして、ついでとばかりに酒浸りの拳聖に文句を言ったのだ。だが、キョーコ=モトカードは横になりながら、尻をボリボリと掻く始末。ロック=イートがやれやれとため息をつくのは仕方無かったと言えよう。
「あー。小僧。今日の修行が終わった後に大事な話をするから、コタロー=サルガミとサラ=ローランと共に、わしゃの庵に顔を出すんだわい」
ロック=イートが用事を済んだがゆえに、小屋から出ようとしていたが、その背中に向けて、拳聖:キョーコ=モトカードが思い出したかのようにそう告げる。振り向いたロック=イートの顔は怪訝なモノに変わっていた。
「大事な話? 今この場で言えない話なんです?」
「ああ、そうだね。3人揃っていないと、どうにも都合が悪くてね? んじゃ、わしゃは出てくるから、夕暮れ16時過ぎくらいには、このあばら家に集まっておくんだよ?」
拳聖:キョーコ=モトカードはそう言うと、のっそりと起き上がる。小屋の出入り口で何の話だろうと疑うロック=イートに、そう気にするなとばかりに彼の左肩に自分の左手をぽんと1度乗せる。そして、彼を置いて、ひとりどこかへと向かっていこうとする。ロック=イートは彼女が去る前に、いくつか質問をしようとしたが、キョーコ=モトカードは地面を勢いよく蹴り、ぴょんと近くの木の枝に乗り移る。しかしながら彼女はその枝の上で留まらずにさらにその枝を蹴り飛ばして、どんどん向こうへと消えていってしまう。
「……ったく。良い意味でも悪い意味でもマイペースだな、お師匠様は。でも、何の話なんだろう? 兄弟子のコタロー兄と姉弟子のサラ姐も一緒じゃないと話せないことって……」
ロック=イートには頼れる拳聖の高弟たちが居る。半猿半人のコタロー=サルガミ。彼は蹴り技において、拳聖:キョーコ=モトカードが持つ技のほとんどを修得している。
そしてもうひとりの高弟は半犬半人のサラ=ローランである。彼女は投げ技を得意としており、こちらも拳聖:キョーコ=モトカードが持つ技のほとんどを修得している。
さらにはロック=イートは拳を用いた打撃技において、キョーコ=モトカードからその技を伝授されている。
この3人は拳聖の3大高弟と呼ばれるようにまでなっており、その3人が同時に師匠であるキョーコ=モトカードから話をされるとなれば、よっぽど大事なことであろうことはロック=イートには容易に想像できた。
しかしながら、どういった内容かまではロック=イートには予測できないでいた。なんと言っても、相手はキョーコ=モトカードなのだ。アンゴルモア大王付き四天王の中で最も強い人物と言われている。そして傍若無人ぶりもアンゴルモア四天王1番とも言われているのだ。
「うーーーん。他流試合とかそんなところか? でも、お師匠様のことだから、酒の肴に紅き竜の肉が食べたいから、3人で倒してきてくれとか言い出す可能性もあるし……」
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