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第11章:覇王と代弁者と女王
第5話:拳聖の技
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覇王は上下左右に振るう大剣と戦斧の真名を唱え、それぞれに雷光と暴風を纏わせる。エルフの女王はクッ! と唸りつつ、額に滝のような汗を流しつつも、宝剣・絶対王者の剣からのエネルギー波を放射しつづけた。
しかりながら、彼女は防戦一方に陥ったというのに、覇王を真向から受け止めようとし続けた。そして、ついに覇王が得意とする『屠り喰らう』を発動させる。右手に持つ大剣で100連撃。左手に持つ戦斧で100連撃。合わせて200連撃をエルフの女王へと叩きつけていく。
雷光と暴風が合わさり、暴虐のエネルギーが生み出される。それでもエルフの女王はその場から一歩も退こうとはしなかった。宝剣・絶対王者の剣を自分の身体正面、真横に構え直す。今まで放出していたエネルギー波を自分を中心として、前面へと半球状に放出する。
「脆弱脆弱脆弱ゥゥゥ!! 死ね、死ね、死ねィィィ!!」
覇王はエルフ族の女王が生み出した黄金色に光る障壁に対して、散々に大剣と戦斧を叩きつけていく。最初の10撃ほどを光の障壁は弾くことは出来たが、続く30撃でその障壁に亀裂が入る。さらに50撃目にはその亀裂が広がりを見せる。さらに100連撃を喰らったあたりで光の障壁全体に亀裂が走ることとなる。
エルフ族の女王は身に宿る魔力の全てを黄金色に光る障壁に注ぎ込んでいた。全身から汗が吹き出し、苦痛に顔が歪んでいく。一撃をもらうたびに、障壁を通り抜けて、身体に鈍痛が走る。しかし、それでもエルフ族の女王は覇王に抗い続けた。その抵抗する姿がどれほどまでに愚かといわんばかりに覇王は雷光を纏う大剣と暴風を噴き出す戦斧で叩き続けた。
そして、ついに160撃目を数えた時、黄金色の障壁は数千の欠片となり、影も形も失くしながら、宙へと散布されることとなる。覇王はこれ以上無い喜びの表情を顔に浮かべ、残りの40連撃をエルフ族の女王に打ち付けようとする。
「先生の女にひどいことをするのは、そこまでです。アンジェラくん、よく持ちこたえましたね?」
そう言いながら、二人の戦いに介入するのは魔族の代弁者であった。彼はエルフ族の女王が張った結界が砕けるや否や、覇王とエルフ族の間に割って入る。そして、彼の右手にはドウジキリヤスツナ、左手にはオニマルクニツナが握られていた。魔族の代弁者は一瞬だけ、エルフ族の女王の方へ顔を向けて、ニッコリと優しく微笑む。そして、前へと向き直し、彼女に代わり、覇王が放つ『屠り喰らう』と真向から対峙する。
「そんな玩具で我の加速しきった『屠り喰らう』をどう防ぐ!? 我に見せてみよッ!!」
覇王は加速力を乗せに乗せまくった左右合わせての200連撃の内、残りの40連撃を割って入ってきた魔族の代弁者に叩きつけていく。一撃一撃が破城槌以上の破壊力を持つソレは、魔族の代弁者がその手に持つ二本のカタナの刀身を削りに削っていく。魔族の代弁者が握るカタナは一撃を喰らうたびに刃こぼれし、残りの40連撃の内、20連撃を受けた時点で、ナマクラ以上の鉄の棒へと化してしまう。
さらにそこから10連撃を叩きこまれ、左手に持つオニマルクニツナはポッキリと半ばから折れる。さらに9連撃を叩きこまれ、残された右手に持つドウジキリヤスツナは粉々に砕け散る。覇王はこれ以上無い歓喜の表情をその顔に浮かべ、今度こそは魔族の代弁者の頭をかち割らんと、最後の1撃を上段から下へと振り下ろす。
「なん……だと!?」
覇王の表情は邪悪な笑みから、驚愕へと一瞬にして移り変わる。それもそうだろう。魔族の代弁者は雷光が散々に発せされている大剣を両手で受け止めてみせたのだ。
「この技を知っていますか? 『真剣白刃取り』って言うんです。先生は、この技を身に付けるのに丸100年を要しました」
未だに覇王が右手に持つ大剣からは稲光が吐き出されていた。しかし、魔族の代弁者がその大剣を挟み込むように両手を添えているというのに、その稲光は魔族の代弁者に伝播しようといかないのである。これほどまでにふざけた技など、覇王は産まれてからこの方、一度も見たことが無い。
魔族の代弁者が取った行動に驚かされるだけでなく、その技の冴えに我を忘れていまいそうになる覇王であった。それほどまでに魔族の代弁者がやったことは前代未聞もいいところである。今まで、自分の剛剣をその手に持つ武器で防ぐ漢たちとは出会ってきたが、両手で挟み込んで受け止められたのは、これが初めての経験であった。
「ふざけるなっ! 何をやった!? 我の知らぬ妖術の類であろうっ!!」
「いえ。これは亜人族において、『拳聖』と呼ばれた男が編み出した技法です。イヴァン=アレクサンドロヴァくんのひいひいお爺さんが会得した技ですよ。覇王くんはヒトの可能性を舐めましたね?」
魔族の代弁者はそう言うと、両手をゆっくりと右の方へと動かしていく。覇王は驚きの顔がさらに深まっていく。自分は覇王力50パーセントを発揮しており、たかだかヒトの膂力で自分の右手に持つ大剣をどうにか出来るわけがな無いと考えていた。
だが、その考えは間違えとばかりに、徐々にではあるが、右手に持つ大剣が自分から向かって左方向へと流されていく。覇王は必死に大剣を動かされないように右腕に神力を込めていく。だが、筋肉に喝を入れて、右腕に神力を注ぎ込めば注ぎ込むほど、大剣が左方向へ流されていくスピードが速まっていく。
覇王の頭の中は混乱の境地へと至る。何故に脆弱な存在に過ぎぬヒトが自分の膂力を負かすのか? それがどうしても理解できないでいた。そして、その疑問が氷解する前に、覇王は自分の身体を左側にスッ転ばされることとなる。
地面に伏す形となった覇王はまるで何が起きたかわからないといったチンプンカンプンという表情をその顔に浮かべる。そんな彼に対して、魔族の代弁者は涼し気な表情をその顔にたたえていた。
「『投法を以て打剣を制す』。これは拳聖くんの受け売りなんですけどね? いやあ、先生もようやく彼の域に少しばかり足を踏み入れれたのかもしれませんねえ? さあ、早く立ってください。先生は自分の女を傷つけられそうになったことで怒っています……」
しかりながら、彼女は防戦一方に陥ったというのに、覇王を真向から受け止めようとし続けた。そして、ついに覇王が得意とする『屠り喰らう』を発動させる。右手に持つ大剣で100連撃。左手に持つ戦斧で100連撃。合わせて200連撃をエルフの女王へと叩きつけていく。
雷光と暴風が合わさり、暴虐のエネルギーが生み出される。それでもエルフの女王はその場から一歩も退こうとはしなかった。宝剣・絶対王者の剣を自分の身体正面、真横に構え直す。今まで放出していたエネルギー波を自分を中心として、前面へと半球状に放出する。
「脆弱脆弱脆弱ゥゥゥ!! 死ね、死ね、死ねィィィ!!」
覇王はエルフ族の女王が生み出した黄金色に光る障壁に対して、散々に大剣と戦斧を叩きつけていく。最初の10撃ほどを光の障壁は弾くことは出来たが、続く30撃でその障壁に亀裂が入る。さらに50撃目にはその亀裂が広がりを見せる。さらに100連撃を喰らったあたりで光の障壁全体に亀裂が走ることとなる。
エルフ族の女王は身に宿る魔力の全てを黄金色に光る障壁に注ぎ込んでいた。全身から汗が吹き出し、苦痛に顔が歪んでいく。一撃をもらうたびに、障壁を通り抜けて、身体に鈍痛が走る。しかし、それでもエルフ族の女王は覇王に抗い続けた。その抵抗する姿がどれほどまでに愚かといわんばかりに覇王は雷光を纏う大剣と暴風を噴き出す戦斧で叩き続けた。
そして、ついに160撃目を数えた時、黄金色の障壁は数千の欠片となり、影も形も失くしながら、宙へと散布されることとなる。覇王はこれ以上無い喜びの表情を顔に浮かべ、残りの40連撃をエルフ族の女王に打ち付けようとする。
「先生の女にひどいことをするのは、そこまでです。アンジェラくん、よく持ちこたえましたね?」
そう言いながら、二人の戦いに介入するのは魔族の代弁者であった。彼はエルフ族の女王が張った結界が砕けるや否や、覇王とエルフ族の間に割って入る。そして、彼の右手にはドウジキリヤスツナ、左手にはオニマルクニツナが握られていた。魔族の代弁者は一瞬だけ、エルフ族の女王の方へ顔を向けて、ニッコリと優しく微笑む。そして、前へと向き直し、彼女に代わり、覇王が放つ『屠り喰らう』と真向から対峙する。
「そんな玩具で我の加速しきった『屠り喰らう』をどう防ぐ!? 我に見せてみよッ!!」
覇王は加速力を乗せに乗せまくった左右合わせての200連撃の内、残りの40連撃を割って入ってきた魔族の代弁者に叩きつけていく。一撃一撃が破城槌以上の破壊力を持つソレは、魔族の代弁者がその手に持つ二本のカタナの刀身を削りに削っていく。魔族の代弁者が握るカタナは一撃を喰らうたびに刃こぼれし、残りの40連撃の内、20連撃を受けた時点で、ナマクラ以上の鉄の棒へと化してしまう。
さらにそこから10連撃を叩きこまれ、左手に持つオニマルクニツナはポッキリと半ばから折れる。さらに9連撃を叩きこまれ、残された右手に持つドウジキリヤスツナは粉々に砕け散る。覇王はこれ以上無い歓喜の表情をその顔に浮かべ、今度こそは魔族の代弁者の頭をかち割らんと、最後の1撃を上段から下へと振り下ろす。
「なん……だと!?」
覇王の表情は邪悪な笑みから、驚愕へと一瞬にして移り変わる。それもそうだろう。魔族の代弁者は雷光が散々に発せされている大剣を両手で受け止めてみせたのだ。
「この技を知っていますか? 『真剣白刃取り』って言うんです。先生は、この技を身に付けるのに丸100年を要しました」
未だに覇王が右手に持つ大剣からは稲光が吐き出されていた。しかし、魔族の代弁者がその大剣を挟み込むように両手を添えているというのに、その稲光は魔族の代弁者に伝播しようといかないのである。これほどまでにふざけた技など、覇王は産まれてからこの方、一度も見たことが無い。
魔族の代弁者が取った行動に驚かされるだけでなく、その技の冴えに我を忘れていまいそうになる覇王であった。それほどまでに魔族の代弁者がやったことは前代未聞もいいところである。今まで、自分の剛剣をその手に持つ武器で防ぐ漢たちとは出会ってきたが、両手で挟み込んで受け止められたのは、これが初めての経験であった。
「ふざけるなっ! 何をやった!? 我の知らぬ妖術の類であろうっ!!」
「いえ。これは亜人族において、『拳聖』と呼ばれた男が編み出した技法です。イヴァン=アレクサンドロヴァくんのひいひいお爺さんが会得した技ですよ。覇王くんはヒトの可能性を舐めましたね?」
魔族の代弁者はそう言うと、両手をゆっくりと右の方へと動かしていく。覇王は驚きの顔がさらに深まっていく。自分は覇王力50パーセントを発揮しており、たかだかヒトの膂力で自分の右手に持つ大剣をどうにか出来るわけがな無いと考えていた。
だが、その考えは間違えとばかりに、徐々にではあるが、右手に持つ大剣が自分から向かって左方向へと流されていく。覇王は必死に大剣を動かされないように右腕に神力を込めていく。だが、筋肉に喝を入れて、右腕に神力を注ぎ込めば注ぎ込むほど、大剣が左方向へ流されていくスピードが速まっていく。
覇王の頭の中は混乱の境地へと至る。何故に脆弱な存在に過ぎぬヒトが自分の膂力を負かすのか? それがどうしても理解できないでいた。そして、その疑問が氷解する前に、覇王は自分の身体を左側にスッ転ばされることとなる。
地面に伏す形となった覇王はまるで何が起きたかわからないといったチンプンカンプンという表情をその顔に浮かべる。そんな彼に対して、魔族の代弁者は涼し気な表情をその顔にたたえていた。
「『投法を以て打剣を制す』。これは拳聖くんの受け売りなんですけどね? いやあ、先生もようやく彼の域に少しばかり足を踏み入れれたのかもしれませんねえ? さあ、早く立ってください。先生は自分の女を傷つけられそうになったことで怒っています……」
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