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第16章:マーラ様
第3話:眼の前の障害
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悪魔皇:サタンはアリス=アンジェラの唇と自分の唇が接触してしまいそうなほどに顔を近づける。アリス=アンジェラの紅玉と翠玉のオッドアイをじっと見つめる。その奥底にある感情を読み取ろうとする。
「チュゥしていいか?」
「ふざけるなのデス!」
悪魔皇:サタンは胸に向かって、アリス=アンジェラの右手の掌底をドスンと叩きこまれることになり、思わず、後ずさりしてしまう。そうされながらも、右手で前髪をたくし上げ、クハーハハッ! と高笑いをするのであった。
「まさかファーストキスも済ませてないのか?」
「うっ、うるさいのデス! キスは未来の旦那様にとっておいて、何が悪いのデスカ!?」
「お前の未来の旦那様ってか。これは面白い。創造主:Y.O.N.Nから聞かされていないのか? お前の花婿候補は複数人いる。そのひとりが我なのにな?」
「世迷言はやめるのデス! あなたのような高飛車で、威圧的な男性に惚れるわけがないのデス!」
悪魔皇:サタンはアリス=アンジェラにずばりと核心を言われ、思わず、そりゃそうだっ! と素直に返してしまう他無かった。そもそも、何故、アリス=アンジェラと自分が、創造主:Y.O.N.Nを仲人にして、くっつけられねばならないのかと、憤慨し続けていた。そして、アリス=アンジェラ側にも、その気が無いことを知り、これはせいせいしたと思ってしまう。
ならば、アリス=アンジェラがこれ以上、自分に付き纏う理由も無いだろうと言うことで、彼女にはこの場からご退場してもらうのが正しい気がする悪魔皇:サタンであった。
「アンドレイ=ラプソティに告げろ、アリス=アンジェラ。旧マケドナルド王国で、お前の探し人が待っていると。レオン=アレクサンダーの遺児はそこに居る」
「なんで、あなたがそれを知っているのデス??」
「それこそ、創造主:Y.O.N.Nに聞け。創造主:Y.O.N.Nの手のひらで踊っているのは、アンドレイ=ラプソティ、アリス=アンジェラ、そして、我も同じなのだよ。苦々しいが、我が出来ることは、あいつの準備した台本にケチをつけることのみだ」
悪魔皇:サタンは自分が現時点で言えることを伝えきったと感じ、隣に居るルシフェルと共に、その場からさらに上空へと昇っていく。そして、アリス=アンジェラにわかるように、右腕をここからまっすぐに、北西の方へと突き伸ばす。そうすることで、サタン自身も、その地に向かうことを暗に示してみせるのであった。
悪魔皇:サタンと悪魔将軍:ルシフェルはコクリと頷き合った後、かの地に向けて、飛び去る。アリス=アンジェラは彼らを追いかけようとするが、彼女が着こむ赤よりも紅い戦乙女・天使装束のスカートの裾を引っ張る存在が居た。
「それ以上はダメなのでッチュウ! アリスちゃんは命を取られなかっただけでも、御の字状態なのでッチュウ!」
「コッシローさん。悪魔皇:サタンが何かを企んでいるのデス! このまま、放っておけというのデスカ!?」
「少しは冷静になるのでッチュウ! 上ばっかり見ていると、足元をすくわれてしまうのでッチュウ! マーラと化したダン=クゥガーは、どんどん膨張していくばかりなのでッチュウ!」
アリス=アンジェラはスカートの裾を口で咥えるのを止めるようにコッシロー=ネヅに訴えかける。しかし、今、このスカートの裾を離してしまえば、アリス=アンジェラが単騎で大空を駆け、悪魔皇:サタンを追いかけるのは自明の理であった。そして、悪魔皇:サタンはアリス=アンジェラひとりに追いかけてもらおうとしている気がしてならないコッシロー=ネヅであった。
「悪魔は狡猾なのでッチュウ! その中でも、アリスちゃんが相手をしているのは、あの悪魔皇なのでッチュウ! ヴァルハラントの混乱を収めた後に、アンドレイ様の御神力を借りるべきなのでッチュウ!」
コッシロー=ネヅの言うことは正論も正論であった。アリス=アンジェラは悔しそうな表情をその顔に浮かべながら、両手をギリッと握りしめる。アリス=アンジェラがここまで、手も足も出なかった存在が、まだまだ何か悪だくみをしている。彼の言っていたことを頭の中で反芻する。
だが、そうすれば、そうするほど、アリス=アンジェラの頭の中には熱い血潮が走り回ることになる。自分の主である創造主:Y.O.N.N様のことを心底嫌っていることは、簡単に察することが出来た。創造主:Y.O.N.N様と仲違いをし、自ら、堕天しておきながら、その責は全て創造主:Y.O.N.N様にあるとでも言いたげなしゃべり方に、腹が立って仕方が無いアリス=アンジェラであった。
「わかりま……シタ。アリス=アンジェラがヴァルハラントの混乱をすぐに鎮めてみせるのデス! そしたら、アンドレイ様の首に首輪と鎖をつけて、無理やりにでも、旧マケドナルド王国へと連れていくのデス!」
アリス=アンジェラはクルリと身体を翻させ、何も無い空中を蹴っ飛ばし、地上へ向けて、一直線に落ちていく。コッシロー=ネヅはヤレヤレとため息をつかざるをえなかった。
「首輪と鎖を付けておくのは、アリスちゃんの方だと思うのでッチュウ……」
コッシロー=ネヅは大空から地上へと向かって、すっ飛んでいくアリス=アンジェラの背を追いながら、そう呟く。しかし、激情に囚われたアリス=アンジェラの耳に、コッシロー=ネヅの忠言は届かない。アリス=アンジェラは眉間にシワを寄せたまま、地上のヴァルハラントを破壊し続ける巨大化したおちんこさんに向かって、真っ赤に燃えたぎる右の拳を叩きこもうとした。
「弾力が強すギル!?」
アリス=アンジェラは振り下ろした右の拳を、巨大化したおちんこさんの中ほどにぶち込んだのだが、まるでゴム毬のような感触を、その右の拳で感じてしまうことになる。アリス=アンジェラは弾かれた右の拳と共に、大空へとぶっ飛ばされることになる。
「今の一撃はアリス嬢ちゃんがやってくれたのか!? とんでもない音を出したかと思ったら、アリス嬢ちゃんが天へと昇っていくぞ!?」
「何、うひょぉぉぉ!? っていう顔をしているんです!? アリス殿が加勢してくれるのであれば、私たちも連携を取らないとダメでしょう!」
「お、おう! まずはアリス嬢ちゃんが天界に戻っていかないように、我輩たちがアリス嬢ちゃんを地上界へ引きずり降ろさないとなっ!」
ベリアルとアンドレイ=ラプソティは大空の彼方へとすっ飛んでいくアリス=アンジェラの後を急いでおいかけるのであった。彼らの大空を駆ける速度は、まさに神速であった。2人でアリス=アンジェラの背中側へと回り、アリス=アンジェラがこれ以上、上昇していかないように、2人でアリス=アンジェラを受け止めるのであった。
「油断したのデス! あのおちんこさんは化け物なのデスカ!?」
「チュゥしていいか?」
「ふざけるなのデス!」
悪魔皇:サタンは胸に向かって、アリス=アンジェラの右手の掌底をドスンと叩きこまれることになり、思わず、後ずさりしてしまう。そうされながらも、右手で前髪をたくし上げ、クハーハハッ! と高笑いをするのであった。
「まさかファーストキスも済ませてないのか?」
「うっ、うるさいのデス! キスは未来の旦那様にとっておいて、何が悪いのデスカ!?」
「お前の未来の旦那様ってか。これは面白い。創造主:Y.O.N.Nから聞かされていないのか? お前の花婿候補は複数人いる。そのひとりが我なのにな?」
「世迷言はやめるのデス! あなたのような高飛車で、威圧的な男性に惚れるわけがないのデス!」
悪魔皇:サタンはアリス=アンジェラにずばりと核心を言われ、思わず、そりゃそうだっ! と素直に返してしまう他無かった。そもそも、何故、アリス=アンジェラと自分が、創造主:Y.O.N.Nを仲人にして、くっつけられねばならないのかと、憤慨し続けていた。そして、アリス=アンジェラ側にも、その気が無いことを知り、これはせいせいしたと思ってしまう。
ならば、アリス=アンジェラがこれ以上、自分に付き纏う理由も無いだろうと言うことで、彼女にはこの場からご退場してもらうのが正しい気がする悪魔皇:サタンであった。
「アンドレイ=ラプソティに告げろ、アリス=アンジェラ。旧マケドナルド王国で、お前の探し人が待っていると。レオン=アレクサンダーの遺児はそこに居る」
「なんで、あなたがそれを知っているのデス??」
「それこそ、創造主:Y.O.N.Nに聞け。創造主:Y.O.N.Nの手のひらで踊っているのは、アンドレイ=ラプソティ、アリス=アンジェラ、そして、我も同じなのだよ。苦々しいが、我が出来ることは、あいつの準備した台本にケチをつけることのみだ」
悪魔皇:サタンは自分が現時点で言えることを伝えきったと感じ、隣に居るルシフェルと共に、その場からさらに上空へと昇っていく。そして、アリス=アンジェラにわかるように、右腕をここからまっすぐに、北西の方へと突き伸ばす。そうすることで、サタン自身も、その地に向かうことを暗に示してみせるのであった。
悪魔皇:サタンと悪魔将軍:ルシフェルはコクリと頷き合った後、かの地に向けて、飛び去る。アリス=アンジェラは彼らを追いかけようとするが、彼女が着こむ赤よりも紅い戦乙女・天使装束のスカートの裾を引っ張る存在が居た。
「それ以上はダメなのでッチュウ! アリスちゃんは命を取られなかっただけでも、御の字状態なのでッチュウ!」
「コッシローさん。悪魔皇:サタンが何かを企んでいるのデス! このまま、放っておけというのデスカ!?」
「少しは冷静になるのでッチュウ! 上ばっかり見ていると、足元をすくわれてしまうのでッチュウ! マーラと化したダン=クゥガーは、どんどん膨張していくばかりなのでッチュウ!」
アリス=アンジェラはスカートの裾を口で咥えるのを止めるようにコッシロー=ネヅに訴えかける。しかし、今、このスカートの裾を離してしまえば、アリス=アンジェラが単騎で大空を駆け、悪魔皇:サタンを追いかけるのは自明の理であった。そして、悪魔皇:サタンはアリス=アンジェラひとりに追いかけてもらおうとしている気がしてならないコッシロー=ネヅであった。
「悪魔は狡猾なのでッチュウ! その中でも、アリスちゃんが相手をしているのは、あの悪魔皇なのでッチュウ! ヴァルハラントの混乱を収めた後に、アンドレイ様の御神力を借りるべきなのでッチュウ!」
コッシロー=ネヅの言うことは正論も正論であった。アリス=アンジェラは悔しそうな表情をその顔に浮かべながら、両手をギリッと握りしめる。アリス=アンジェラがここまで、手も足も出なかった存在が、まだまだ何か悪だくみをしている。彼の言っていたことを頭の中で反芻する。
だが、そうすれば、そうするほど、アリス=アンジェラの頭の中には熱い血潮が走り回ることになる。自分の主である創造主:Y.O.N.N様のことを心底嫌っていることは、簡単に察することが出来た。創造主:Y.O.N.N様と仲違いをし、自ら、堕天しておきながら、その責は全て創造主:Y.O.N.N様にあるとでも言いたげなしゃべり方に、腹が立って仕方が無いアリス=アンジェラであった。
「わかりま……シタ。アリス=アンジェラがヴァルハラントの混乱をすぐに鎮めてみせるのデス! そしたら、アンドレイ様の首に首輪と鎖をつけて、無理やりにでも、旧マケドナルド王国へと連れていくのデス!」
アリス=アンジェラはクルリと身体を翻させ、何も無い空中を蹴っ飛ばし、地上へ向けて、一直線に落ちていく。コッシロー=ネヅはヤレヤレとため息をつかざるをえなかった。
「首輪と鎖を付けておくのは、アリスちゃんの方だと思うのでッチュウ……」
コッシロー=ネヅは大空から地上へと向かって、すっ飛んでいくアリス=アンジェラの背を追いながら、そう呟く。しかし、激情に囚われたアリス=アンジェラの耳に、コッシロー=ネヅの忠言は届かない。アリス=アンジェラは眉間にシワを寄せたまま、地上のヴァルハラントを破壊し続ける巨大化したおちんこさんに向かって、真っ赤に燃えたぎる右の拳を叩きこもうとした。
「弾力が強すギル!?」
アリス=アンジェラは振り下ろした右の拳を、巨大化したおちんこさんの中ほどにぶち込んだのだが、まるでゴム毬のような感触を、その右の拳で感じてしまうことになる。アリス=アンジェラは弾かれた右の拳と共に、大空へとぶっ飛ばされることになる。
「今の一撃はアリス嬢ちゃんがやってくれたのか!? とんでもない音を出したかと思ったら、アリス嬢ちゃんが天へと昇っていくぞ!?」
「何、うひょぉぉぉ!? っていう顔をしているんです!? アリス殿が加勢してくれるのであれば、私たちも連携を取らないとダメでしょう!」
「お、おう! まずはアリス嬢ちゃんが天界に戻っていかないように、我輩たちがアリス嬢ちゃんを地上界へ引きずり降ろさないとなっ!」
ベリアルとアンドレイ=ラプソティは大空の彼方へとすっ飛んでいくアリス=アンジェラの後を急いでおいかけるのであった。彼らの大空を駆ける速度は、まさに神速であった。2人でアリス=アンジェラの背中側へと回り、アリス=アンジェラがこれ以上、上昇していかないように、2人でアリス=アンジェラを受け止めるのであった。
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