136 / 202
第14章:首都攻防戦
第4話:ヨーコの主
しおりを挟む
傘付き戦車の上で足を放り投げて、ぞんざいな態度を示し続けるダン=クゥガーの右隣りに位置する半狐半人のヨーコ=タマモは狐色の眼を細めて、この戦場の成り行きを見守り続けた。
「神聖マケドナルド帝国の首都を陥落させようとすれば、アンドレイ=ラプソティの邪魔が入ることは予想通りだったのですじゃ。しかしながら、アンドレイ=ラプソティには予定通りクリスをあてがっておりますのじゃ」
「うむ。朕は、其方の采配に満足している。引き続き、ヨーコの好きなように戦場を動かすが良い」
ヨーコ=タマモは、報告をわざわざしなくても、主であるダン=クゥガーに裁可を任せられるであろうという自負を持っていた。しかしながら、実際に軍の全権を掌握しているのは、ダン=クゥガー様である。彼自身が働いたら負けだという雰囲気をバリバリに出してはいるが、体面上の問題ゆえに、これからのことに関して、報告・連絡・相談を怠らないヨーコ=タマモであった。
とにかく、ダン=クゥガー様は用心深い男であり、いくら同じベッドの上で、激しく肉棒と肉穴を絡め合った仲であったとしても、彼からの絶対的信頼を得られたと思えていないヨーコ=タマモであった。そんな、決して自分以外を信じていない主から、指揮権を与えられたヨーコ=タマモは、余裕たっぷりといった感じで首級をコクリと縦に振る。
(ダン=クゥガー様はわらわの好きにしろとおっしゃってくれているが、本人にとって、この首都攻防戦の結果なぞ、どうでも良いことに感じますなあ……)
ダン=クゥガーはそもそもとして、自分が神聖ローマニアン帝国で廃嫡となってしまった経緯に、あのレオン=アレクサンダー帝が関わっていたことが気に喰わないのである。そして、ダン=クゥガーの復讐の対象者は複数人おり、そのひとりはレオン=アレクサンダー帝そのひとであった。そのレオン=アレクサンダー帝はダン=クゥガーの復讐の対象者をことごとく、神聖ローマニアン王国から物理的に排除してくれた。
しかしながら、真に復讐をしてやりたいと思っていたレオン=アレクサンダー帝が、どこぞの小娘により、惨殺されてしまう。ダン=クゥガーが復讐したい人物は、結果的にレオン=アレクサンダー帝の参謀役であるアンドレイ=ラプソティのみになってしまう。
自分の手で復讐したい相手が、この世にアンドレイ=ラプソティのみとなってしまったダン=クゥガーは、出来る限り、アンドレイ=ラプソティを生かさず殺さずで、徹底的にイジメぬいてやろうと考えていた。まずはアンドレイ=ラプソティの周りを固めている守護者たちの命をことごとく奪い、孤立してしまったアンドレイ=ラプソティ相手に、今、どんな気持ちなのか? と尋ねながら、両腕両足を切り落として、ダルマにしてやろうとさえ、思うのであった。
そして、物理的に手も足も出せなくなってしまったアンドレイ=ラプソティの眼の前に、レオン=アレクサンダー帝がこの世に遺した、神聖マケドナルド帝国を継ぐ者たちの首級をことごとく刎ねてやろうと考えていたのである。
そして、その願いを叶えるためにも、ダン=クゥガーの参謀である半狐半人のヨーコ=タマモは、西へ西へと進む道中、色々とアンドレイ=ラプソティたちへの嫌がらせを用意しつつ、自分たちも魔物で構成された一軍を形成するのであった。
その3万に達する魔物の集団の半分を、七大悪魔のひとりであるベリアルにぶつけ、もう半分は神聖マケドナルド帝国の首都であるヴァルハラント攻略に当て続けた。しかし、こうやって戦力を配置することにより、とある少女の存在が浮くことになる。
「いくら魔物と言えども、ボクに興味の一切を示さない相手を背中から襲うのは気が引けマス」
「おや。ようやくワイルドカードのお出ましなのじゃ。ダン=クゥガー様。どうされますかえ?」
「ふん。こいつがこの場にやってくるのも、お前の計算通りなのだろ? 俺様の座右の銘を知っての戦術か?」
「さすがは誰よりも聡いダン=クゥガー様ですじゃ。戦略的にダン=クゥガー様の望みは叶えることが出来る状況となっております。後は、この『戦略を戦術でひっくり返す』存在であるアリス=アンジェラを、ダン=クゥガー様が屠殺することで完成と相成りますのじゃ」
傘付き戦車の横にまで接近してきた、片翼の半天半人に対して、思いっ切りため息をついてみせるのが、ダン=クゥガーであった。彼はダークエルフ特有の紫水晶の双眸で、舐めるように片翼の半天半人を値踏みする。
「おい。ヨーコ。俺様は処女とヤルほど、初心じゃねえ」
「そう言いなさんな。確かに処女では、ダン=クゥガー様の性癖を満足させられないのは百も承知のこと。しかし、たまには処女をその手で、自分色に染めるのも一興かと」
「ふんっ。さすがは口がよく回る。その口車に乗せられてやろうじゃねえか」
ダン=クゥガーはさも面倒くさいといった感じを身体全体から放ちつつ、よっこらせと傘付き戦車から飛び降りて、真冬の冷気で固くなってしまっている地面へと両足をつける。そして、ふぁぁぁと思いっ切り眠たそうなあくびをするのであった。
こんな不遜すぎる態度に出られては、いくら気の長い天使族と言えども、カチンと頭にきてしまうのは当然であったはずだ。しかし、ダン=クゥガーの計算外は、対峙している片翼の半天半人からも、さも興味のなさそうな雰囲気を醸し出されていることであった。
「なんだ? 神聖マケドナルド帝国を滅ぼし、神聖ローマニアン帝国を復興させようとしている俺様が直々に相手をしてやろうというのに、その興味無さげな態度は、何なんだ?」
「ボクは貴方に一切、興味を持っていまセン。アンドレイ様から、ヴァルハラントの中へと魔物がなだれ込まないようにしてほしいと頼まれましたノデ」
片翼の半天半人の言いに、ビキッ! とこめかみに青筋が立ってしまうダン=クゥガーであった。要は自分を倒したところで、魔物が首都:ヴァルハラントから手を引くことはあり得ないのだが、それをたかが小娘に的確に指摘されることは腹立たしい気持ちで感情が染め上がるのも無理が無かったと言えよう。
ヨーコ=タマモは思わず、ほぅ……と感心を示す声を漏らす他無かった。この片翼の半天半人は、目的を達成するために倒さねばならぬ相手を的確に見抜いてた。
「神聖マケドナルド帝国の首都を陥落させようとすれば、アンドレイ=ラプソティの邪魔が入ることは予想通りだったのですじゃ。しかしながら、アンドレイ=ラプソティには予定通りクリスをあてがっておりますのじゃ」
「うむ。朕は、其方の采配に満足している。引き続き、ヨーコの好きなように戦場を動かすが良い」
ヨーコ=タマモは、報告をわざわざしなくても、主であるダン=クゥガーに裁可を任せられるであろうという自負を持っていた。しかしながら、実際に軍の全権を掌握しているのは、ダン=クゥガー様である。彼自身が働いたら負けだという雰囲気をバリバリに出してはいるが、体面上の問題ゆえに、これからのことに関して、報告・連絡・相談を怠らないヨーコ=タマモであった。
とにかく、ダン=クゥガー様は用心深い男であり、いくら同じベッドの上で、激しく肉棒と肉穴を絡め合った仲であったとしても、彼からの絶対的信頼を得られたと思えていないヨーコ=タマモであった。そんな、決して自分以外を信じていない主から、指揮権を与えられたヨーコ=タマモは、余裕たっぷりといった感じで首級をコクリと縦に振る。
(ダン=クゥガー様はわらわの好きにしろとおっしゃってくれているが、本人にとって、この首都攻防戦の結果なぞ、どうでも良いことに感じますなあ……)
ダン=クゥガーはそもそもとして、自分が神聖ローマニアン帝国で廃嫡となってしまった経緯に、あのレオン=アレクサンダー帝が関わっていたことが気に喰わないのである。そして、ダン=クゥガーの復讐の対象者は複数人おり、そのひとりはレオン=アレクサンダー帝そのひとであった。そのレオン=アレクサンダー帝はダン=クゥガーの復讐の対象者をことごとく、神聖ローマニアン王国から物理的に排除してくれた。
しかしながら、真に復讐をしてやりたいと思っていたレオン=アレクサンダー帝が、どこぞの小娘により、惨殺されてしまう。ダン=クゥガーが復讐したい人物は、結果的にレオン=アレクサンダー帝の参謀役であるアンドレイ=ラプソティのみになってしまう。
自分の手で復讐したい相手が、この世にアンドレイ=ラプソティのみとなってしまったダン=クゥガーは、出来る限り、アンドレイ=ラプソティを生かさず殺さずで、徹底的にイジメぬいてやろうと考えていた。まずはアンドレイ=ラプソティの周りを固めている守護者たちの命をことごとく奪い、孤立してしまったアンドレイ=ラプソティ相手に、今、どんな気持ちなのか? と尋ねながら、両腕両足を切り落として、ダルマにしてやろうとさえ、思うのであった。
そして、物理的に手も足も出せなくなってしまったアンドレイ=ラプソティの眼の前に、レオン=アレクサンダー帝がこの世に遺した、神聖マケドナルド帝国を継ぐ者たちの首級をことごとく刎ねてやろうと考えていたのである。
そして、その願いを叶えるためにも、ダン=クゥガーの参謀である半狐半人のヨーコ=タマモは、西へ西へと進む道中、色々とアンドレイ=ラプソティたちへの嫌がらせを用意しつつ、自分たちも魔物で構成された一軍を形成するのであった。
その3万に達する魔物の集団の半分を、七大悪魔のひとりであるベリアルにぶつけ、もう半分は神聖マケドナルド帝国の首都であるヴァルハラント攻略に当て続けた。しかし、こうやって戦力を配置することにより、とある少女の存在が浮くことになる。
「いくら魔物と言えども、ボクに興味の一切を示さない相手を背中から襲うのは気が引けマス」
「おや。ようやくワイルドカードのお出ましなのじゃ。ダン=クゥガー様。どうされますかえ?」
「ふん。こいつがこの場にやってくるのも、お前の計算通りなのだろ? 俺様の座右の銘を知っての戦術か?」
「さすがは誰よりも聡いダン=クゥガー様ですじゃ。戦略的にダン=クゥガー様の望みは叶えることが出来る状況となっております。後は、この『戦略を戦術でひっくり返す』存在であるアリス=アンジェラを、ダン=クゥガー様が屠殺することで完成と相成りますのじゃ」
傘付き戦車の横にまで接近してきた、片翼の半天半人に対して、思いっ切りため息をついてみせるのが、ダン=クゥガーであった。彼はダークエルフ特有の紫水晶の双眸で、舐めるように片翼の半天半人を値踏みする。
「おい。ヨーコ。俺様は処女とヤルほど、初心じゃねえ」
「そう言いなさんな。確かに処女では、ダン=クゥガー様の性癖を満足させられないのは百も承知のこと。しかし、たまには処女をその手で、自分色に染めるのも一興かと」
「ふんっ。さすがは口がよく回る。その口車に乗せられてやろうじゃねえか」
ダン=クゥガーはさも面倒くさいといった感じを身体全体から放ちつつ、よっこらせと傘付き戦車から飛び降りて、真冬の冷気で固くなってしまっている地面へと両足をつける。そして、ふぁぁぁと思いっ切り眠たそうなあくびをするのであった。
こんな不遜すぎる態度に出られては、いくら気の長い天使族と言えども、カチンと頭にきてしまうのは当然であったはずだ。しかし、ダン=クゥガーの計算外は、対峙している片翼の半天半人からも、さも興味のなさそうな雰囲気を醸し出されていることであった。
「なんだ? 神聖マケドナルド帝国を滅ぼし、神聖ローマニアン帝国を復興させようとしている俺様が直々に相手をしてやろうというのに、その興味無さげな態度は、何なんだ?」
「ボクは貴方に一切、興味を持っていまセン。アンドレイ様から、ヴァルハラントの中へと魔物がなだれ込まないようにしてほしいと頼まれましたノデ」
片翼の半天半人の言いに、ビキッ! とこめかみに青筋が立ってしまうダン=クゥガーであった。要は自分を倒したところで、魔物が首都:ヴァルハラントから手を引くことはあり得ないのだが、それをたかが小娘に的確に指摘されることは腹立たしい気持ちで感情が染め上がるのも無理が無かったと言えよう。
ヨーコ=タマモは思わず、ほぅ……と感心を示す声を漏らす他無かった。この片翼の半天半人は、目的を達成するために倒さねばならぬ相手を的確に見抜いてた。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
マッサージ店員二人に、マッサージと称して喉奥責められながらおまんこほじられて上も下も強制快感責めされる女の子の話
ちひろ
恋愛
前回のマッサージのお話の続きです。
今回は村上くんも加わって、喉奥責められて喘げないのにいっぱいおまんこイかされちゃうし潮吹きでお顔びしょびしょになっちゃう話です。お楽しみくださいませ。
睡眠開発〜ドスケベな身体に変えちゃうぞ☆〜
丸井まー(旧:まー)
BL
本人に気づかれないようにやべぇ薬を盛って、毎晩こっそり受けの身体を開発して、ドスケベな身体にしちゃう変態攻めのお話。
なんかやべぇ変態薬師✕純粋に懐いている学生。
※くぴお・橘咲帆様に捧げます!やり過ぎました!ごめんなさい!反省してます!でも後悔はしてません!めちゃくちゃ楽しかったです!!
※喉イキ、おもらし、浣腸プレイ、睡眠姦、イラマチオ等があります。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。
イケメン御曹司の初恋
波木真帆
BL
ホテル王の御曹司である佐原恭一郎はゲイを公言しているものの、父親から女性に会うようにと頼まれた。
断りに行くつもりで仕方なく指定されたホテルラウンジで待っていると、中庭にいた可愛らしい人に目を奪われる。
初めてのことにドキドキしながら、急いで彼の元に向かうと彼にとんでもないお願いをされて……。
イケメンスパダリ御曹司のドキドキ初恋の物語です。
甘々ハッピーエンドですのでさらっと読んでいただけると思います。
R18には※つけます。
【R18】先生が、なんでもお願い聞いてくれるって言ったから【官能】
ななこす
恋愛
痴漢に遭った谷珠莉(たにじゅり)は、かねてから憧れていた教師、村瀬智生(むらせともき)に助けられる。
ひょんなことから距離の縮まった珠莉と村瀬の、禁断関係の行く末を見守る話。
*官能表現、R-18表現多くなる予定です。ご容赦下さい。
サファヴィア秘話 ―月下の虜囚―
文月 沙織
BL
祖国を出た軍人ダリクは、異国の地サファヴィアで娼館の用心棒として働くことになった。だが、そこにはなんとかつての上官で貴族のサイラスが囚われていた。彼とは因縁があり、ダリクが国を出る理由をつくった相手だ。
性奴隷にされることになったかつての上官が、目のまえでいたぶられる様子を、ダリクは復讐の想いをこめて見つめる。
誇りたかき軍人貴族は、異国の娼館で男娼に堕ちていくーー。
かなり過激な性描写があります。十八歳以下の方はご遠慮ください。
その令嬢は兵器である
基本二度寝
恋愛
貴族の子女だけを集めた舞踏会。
その場で王太子は婚約破棄を宣言した。
傍らに、婚約者令嬢の従妹を侍らせて。
婚約者は首を傾げる。
婚約の破棄などしてもよいのかと。
王太子と従妹は薄ら笑いを浮かべている。
彼らは愚かな事をしたことに、気づかずに。
※若干のR表現
※タイトル【凶器】→【兵器】に変更しました。
※ちょこちょこ内容変更しまくってすいません…。
憧れの剣士とセフレになったけど俺は本気で恋してます!
藤間背骨
BL
若い傭兵・クエルチアは、凄腕の傭兵・ディヒトバイと戦って負け、その強さに憧れた。
クエルチアは戦場から姿を消したディヒトバイを探し続け、数年後に見つけた彼は闘技場の剣闘士になっていた。
初めてディヒトバイの素顔を見たクエルチアは一目惚れし、彼と戦うために剣闘士になる。
そして、勢いで体を重ねてしまう。
それ以来戦いのあとはディヒトバイと寝ることになったが、自分の気持ちを伝えるのが怖くて体だけの関係を続けていた。
このままでいいのかと悩むクエルチアは護衛の依頼を持ちかけられる。これを機にクエルチアは勇気を出してディヒトバイと想いを伝えようとするが――。
※2人の関係ではありませんが、近親相姦描写が含まれるため苦手な方はご注意ください。
※年下わんこ攻め×人生に疲れたおじさん受け
※毎日更新・午後8時投稿・全32話
ヒーローの末路
真鉄
BL
狼系獣人ヴィラン×ガチムチ系ヒーロー
正義のヒーロー・ブラックムーンは悪の組織に囚われていた。肉体を改造され、ヴィランたちの性欲処理便器として陵辱される日々――。
ヒーロー陵辱/異種姦/獣人×人間/パイズリ/潮吹き/亀頭球
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる