13 / 202
第2章:アリス
第2話:論破
しおりを挟む
コッシロー=ネヅはは逡巡するアンドレイ=ラプソティに向かって、きつめの言葉を放つ。アンドレイ=ラプソティが今、天使の姿に戻れていることは『奇跡』だと言っても過言では無いと。
「奇跡は一度きりなのが相場なのでッチュウ。アリスちゃんも自分も創造主:Y.O.N.N様から与えられた使命があるのでッチュウ。自分がこの場に居ることが何よりも説得力があるはずでッチュウ」
「それはわかっている……。天界に戻るには福音の塔を使うか、キミの背中に乗るかの2択しかないことくらい。しかしだ。それでも私はレオンとの思い出を破壊されたくは無いっ!」
アンドレイ=ラプソティは自分の手が血に汚れていることを自覚しながらも、これ以上、誰かの手により、レオンとの思い出を破壊されたくはなかった。レオンの血肉である神聖マケドナルド帝国に所属する100万の兵士たち全てを『塩の柱』と化したのは、アンドレイ=ラプソティ自身である。しかし、アンドレイ=ラプソティは、その100万人の命を奪った自責の念で彼自身の心が押しつぶされることは無かった。
これは神聖マケドナルド帝国に所属する100万人の兵士の構成が原因であったとも言えよう。レオン=アレクサンダーが旗揚げ時からの将や兵士たちは実際のところ、元神聖ローマニアン帝国の首都を防衛するという任が与えられていた。このインディーズ王国との戦いを含め、レオン=アレクサンダー大王が東征のために率いていた100万人の内、失って痛かった命はレオン=アレクサンダーと彼の竹馬の友とも言えるアドラー=ポイゾンとアルバトロス=ダイラーの二大将軍のみなのである。
その3人の命が失われたことは神聖マケドナルド帝国において、手痛いことは手痛い事実であるが、神聖マケドナルド帝国の屋台骨自体が大きく揺らぐ自体にまでは発展しない。そういうシステムを構築してきたのが他でもないアンドレイ=ラプソティ本人なのである。レオン=アレクサンダーが死んだ今となってしまった今の現状下、問題があるとすれば、レオン=アレクサンダーが指名した現在3歳児でしかないミハエル=アレクサンダーに帝位がつつがなく継承されるかどうかだけなのだ。
「私が神聖マケドナルド帝国の首都に戻れば、レオンが築いた大帝国はその版図を縮小するだけで済むはずなのだ。コッシロー殿。私はレオンの帝位を継承させたい相手が居るのだ。それさえ済ませれば、私は天界に戻っても良いと思っている……」
「そう……でッチュウか。自分も、そして自分の相方であるアリス=アンジェラちゃんがアンドレイ=ラプソティ様に説明も無しにレオン=アレクサンダーから『天命』を回収したのは謝るのでッチュウ。もっと自分たちとアンドレイ様とはわかり合えたはずなのでッチュウ」
コッシロー=ネヅはいくら創造主:Y.O.N.N様から与えらえた使命があったとしても、アリス=アンジェラのやったことはアンドレイ=ラプソティにとっては『悪』と断言されても致し方ないことだと思っていた。それゆえに、その辺りをぼかしつつも、アンドレイ=ラプソティを天界に運ぶ期限についての猶予を与えようと考えた。
しかし、ひとり蚊帳の外に置かれていたアリス=アンジェラはきょとんとした顔つきで、今までの話の流れをぶった切った発言をしだす。
「コッシローさん。何を勝手に主命を捻じ曲げているのデス? 創造主:Y.O.N.N様の言うことは絶対であり、いくら自由意志の範囲で解釈しても良いと言えども、越権行為だとボクは思いマス」
アリス=アンジェラのド正論にコッシロー=ネヅはハアアア……と深いため息をつかざるをえなくなってしまう。この創造主:Y.O.N.N様大好き大好き抱いてくださいヒギィ! なアリス=アンジェラをどうやって理論でねじ伏せてやろうかと逆燃えしてしまコッシロー=ネヅであった。
「アリスちゃん、耳の穴をかっぽじってよぉぉぉく聞いてほしいのでッチュウ」
「はい。弁解があるのならば聞きます。創造主:Y.O.N.N様が自由意志を尊重するように、ボクも出来る限り、コッシローさんの話を聞きマス」
アリス=アンジェラは絶壁と称しても問題無い胸をビシッと張り、コッシロー=ネヅの口から吐き出されるであろう『言い訳』を聞こうとした。そして、返す刀で言い返してやろうという態度をありありと見せつけたのだ。しかし、コッシロー=ネヅの放った一撃でアリス=アンジェラは思わず2歩、3歩と後退してしまう。
「自分はアリス=アンジェラちゃんと同じく、創造主:Y.O.N.N様から『アンドレイ=ラプソティを天界に連れ戻せ』とは言われたでッチュウけど、そもそも期限を決められていなのでッチュウ」
「そ、それは……」
「アリスちゃんはどうなんでッチュウ? レオン=アレクサンダーから天命を回収後、今すぐとか、ただちにアンドレイ=ラプソティと共に天界に帰還せよと言われたのでッチュウ?」
「グッ! コッシローさんは意地悪なのデスッ! 確かにボクはボクの自由意志の下に、今すぐ連れ帰ってこいと解釈してしまっていたのデス……」
アリス=アンジェラはたじろぎながら、台詞も尻すぼみに声が小さくなってしまっている。アリス=アンジェラの思惑としては、コッシロー=ネヅがそもそもとしてアンドレイ=ラプソティを天界に『連れ戻さない』という選択肢を採ると思っていたのだ。それゆえに『期限』がどうとかという言い訳で、それを先延ばしして、後でうやむやにしようとしているのだと考えていた。
しかし、コッシロー=ネヅはきっぱりとそもそもその根本を変えるとかという話をしているわけではないと言いのけてみせる。アリス=アンジェラは自分の不明さに切歯扼腕となってしまうのであった。
「だから、常日頃、ヒトの話をちゃんと聞けと言われるのでッチュウ、アリスちゃんは。勘違いも甚だしいのでッチュウ」
「ウゥ……。返す言葉が無いのデス……。覚えてやがれなのデス!」
アリス=アンジェラはそう言うと、右腕の袖で涙を吹きながら、その場から走り去ってしまうのであった。コッシロー=ネヅはやれやれ……と顔を左右に振り、大声でどこに行くのでッチュウ? 旅は道連れでッチュウよーーー! と明後日の方向へと走っていくアリス=アンジェラを引き留めるのであった。
「紆余曲折があったでッチュウけど、アリスちゃん共々、アンドレイ=ラプソティ様と同行するのでッチュウ」
「あ、ありがとう? いや、私はコッシロー殿だけ居てくれればそれで良いのだが……」
「そんなつれないことをを言うなでッチュウ。アリスちゃんはこう見えても、アンドレイ=ラプソティ様よりも強いのでッチュウ」
「いや、まさか……。私は『天界の十三司徒』なのだぞ? 片翼の天使ということは、アリス殿は『半天半人』ということだろう? 『混ざり者』が私よりも神力が上だとぉぉぉ!?」
「奇跡は一度きりなのが相場なのでッチュウ。アリスちゃんも自分も創造主:Y.O.N.N様から与えられた使命があるのでッチュウ。自分がこの場に居ることが何よりも説得力があるはずでッチュウ」
「それはわかっている……。天界に戻るには福音の塔を使うか、キミの背中に乗るかの2択しかないことくらい。しかしだ。それでも私はレオンとの思い出を破壊されたくは無いっ!」
アンドレイ=ラプソティは自分の手が血に汚れていることを自覚しながらも、これ以上、誰かの手により、レオンとの思い出を破壊されたくはなかった。レオンの血肉である神聖マケドナルド帝国に所属する100万の兵士たち全てを『塩の柱』と化したのは、アンドレイ=ラプソティ自身である。しかし、アンドレイ=ラプソティは、その100万人の命を奪った自責の念で彼自身の心が押しつぶされることは無かった。
これは神聖マケドナルド帝国に所属する100万人の兵士の構成が原因であったとも言えよう。レオン=アレクサンダーが旗揚げ時からの将や兵士たちは実際のところ、元神聖ローマニアン帝国の首都を防衛するという任が与えられていた。このインディーズ王国との戦いを含め、レオン=アレクサンダー大王が東征のために率いていた100万人の内、失って痛かった命はレオン=アレクサンダーと彼の竹馬の友とも言えるアドラー=ポイゾンとアルバトロス=ダイラーの二大将軍のみなのである。
その3人の命が失われたことは神聖マケドナルド帝国において、手痛いことは手痛い事実であるが、神聖マケドナルド帝国の屋台骨自体が大きく揺らぐ自体にまでは発展しない。そういうシステムを構築してきたのが他でもないアンドレイ=ラプソティ本人なのである。レオン=アレクサンダーが死んだ今となってしまった今の現状下、問題があるとすれば、レオン=アレクサンダーが指名した現在3歳児でしかないミハエル=アレクサンダーに帝位がつつがなく継承されるかどうかだけなのだ。
「私が神聖マケドナルド帝国の首都に戻れば、レオンが築いた大帝国はその版図を縮小するだけで済むはずなのだ。コッシロー殿。私はレオンの帝位を継承させたい相手が居るのだ。それさえ済ませれば、私は天界に戻っても良いと思っている……」
「そう……でッチュウか。自分も、そして自分の相方であるアリス=アンジェラちゃんがアンドレイ=ラプソティ様に説明も無しにレオン=アレクサンダーから『天命』を回収したのは謝るのでッチュウ。もっと自分たちとアンドレイ様とはわかり合えたはずなのでッチュウ」
コッシロー=ネヅはいくら創造主:Y.O.N.N様から与えらえた使命があったとしても、アリス=アンジェラのやったことはアンドレイ=ラプソティにとっては『悪』と断言されても致し方ないことだと思っていた。それゆえに、その辺りをぼかしつつも、アンドレイ=ラプソティを天界に運ぶ期限についての猶予を与えようと考えた。
しかし、ひとり蚊帳の外に置かれていたアリス=アンジェラはきょとんとした顔つきで、今までの話の流れをぶった切った発言をしだす。
「コッシローさん。何を勝手に主命を捻じ曲げているのデス? 創造主:Y.O.N.N様の言うことは絶対であり、いくら自由意志の範囲で解釈しても良いと言えども、越権行為だとボクは思いマス」
アリス=アンジェラのド正論にコッシロー=ネヅはハアアア……と深いため息をつかざるをえなくなってしまう。この創造主:Y.O.N.N様大好き大好き抱いてくださいヒギィ! なアリス=アンジェラをどうやって理論でねじ伏せてやろうかと逆燃えしてしまコッシロー=ネヅであった。
「アリスちゃん、耳の穴をかっぽじってよぉぉぉく聞いてほしいのでッチュウ」
「はい。弁解があるのならば聞きます。創造主:Y.O.N.N様が自由意志を尊重するように、ボクも出来る限り、コッシローさんの話を聞きマス」
アリス=アンジェラは絶壁と称しても問題無い胸をビシッと張り、コッシロー=ネヅの口から吐き出されるであろう『言い訳』を聞こうとした。そして、返す刀で言い返してやろうという態度をありありと見せつけたのだ。しかし、コッシロー=ネヅの放った一撃でアリス=アンジェラは思わず2歩、3歩と後退してしまう。
「自分はアリス=アンジェラちゃんと同じく、創造主:Y.O.N.N様から『アンドレイ=ラプソティを天界に連れ戻せ』とは言われたでッチュウけど、そもそも期限を決められていなのでッチュウ」
「そ、それは……」
「アリスちゃんはどうなんでッチュウ? レオン=アレクサンダーから天命を回収後、今すぐとか、ただちにアンドレイ=ラプソティと共に天界に帰還せよと言われたのでッチュウ?」
「グッ! コッシローさんは意地悪なのデスッ! 確かにボクはボクの自由意志の下に、今すぐ連れ帰ってこいと解釈してしまっていたのデス……」
アリス=アンジェラはたじろぎながら、台詞も尻すぼみに声が小さくなってしまっている。アリス=アンジェラの思惑としては、コッシロー=ネヅがそもそもとしてアンドレイ=ラプソティを天界に『連れ戻さない』という選択肢を採ると思っていたのだ。それゆえに『期限』がどうとかという言い訳で、それを先延ばしして、後でうやむやにしようとしているのだと考えていた。
しかし、コッシロー=ネヅはきっぱりとそもそもその根本を変えるとかという話をしているわけではないと言いのけてみせる。アリス=アンジェラは自分の不明さに切歯扼腕となってしまうのであった。
「だから、常日頃、ヒトの話をちゃんと聞けと言われるのでッチュウ、アリスちゃんは。勘違いも甚だしいのでッチュウ」
「ウゥ……。返す言葉が無いのデス……。覚えてやがれなのデス!」
アリス=アンジェラはそう言うと、右腕の袖で涙を吹きながら、その場から走り去ってしまうのであった。コッシロー=ネヅはやれやれ……と顔を左右に振り、大声でどこに行くのでッチュウ? 旅は道連れでッチュウよーーー! と明後日の方向へと走っていくアリス=アンジェラを引き留めるのであった。
「紆余曲折があったでッチュウけど、アリスちゃん共々、アンドレイ=ラプソティ様と同行するのでッチュウ」
「あ、ありがとう? いや、私はコッシロー殿だけ居てくれればそれで良いのだが……」
「そんなつれないことをを言うなでッチュウ。アリスちゃんはこう見えても、アンドレイ=ラプソティ様よりも強いのでッチュウ」
「いや、まさか……。私は『天界の十三司徒』なのだぞ? 片翼の天使ということは、アリス殿は『半天半人』ということだろう? 『混ざり者』が私よりも神力が上だとぉぉぉ!?」
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
彼女の母は蜜の味
緋山悠希
恋愛
ある日、彼女の深雪からお母さんを買い物に連れて行ってあげて欲しいと頼まれる。密かに綺麗なお母さんとの2人の時間に期待を抱きながら「別にいいよ」と優しい彼氏を演じる健二。そんな健二に待っていたのは大人の女性の洗礼だった…
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる