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第1章:堕天
第5話:溢れ出す呪力
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「ああ、恋焦がれるとはまさにこういうことなのだな。憎い相手の心臓こそ、私が欲するモノ。愛憎は表裏一体。私は『悟り』を開いたようだ。真に欲するモノは創造主:Y.O.N.Nだっ!」
アンドレイ=ラプソティは産声をあげる。片膝をついたまま、顔と両腕を天に向ける。アンドレイ=ラプソティの両目はギラギラと輝き、ついには天が真っ赤に染まる。しかし、実際にはアンドレイ=ラプソティの両目に縦横無尽に血が充満し、彼の視界を真っ赤に染め上げたのだ。だが、アンドレイ=ラプソティが真に欲するのは視界ではなく、実際にこの世を紅く染め上げることである。だからこそ、地上に幸せを運ぶはずの天使では無く、悪魔として地上に不幸の雨を降らせる側になろうと心に誓ったのだ。
そして天に突きあげた両腕の先にある両手で天界自体を地上に堕とそうとしたのだ。しかし、今はまだその呪力はアンドレイ=ラプソティには無い。だからこそ、アンドレイ=ラプソティは呪力を欲した。天界を実際に地上界へと落とすための呪力をだ。
アンドレイ=ラプソティが願えば願うほど、身体と心の奥底から呪力が溢れ出す。背中から生える6枚羽から発せれていた銀色の鱗粉は薄汚れていく。今や、銀色と紫色が混じり合った色へと変わる。それと同時にアンドレイ=ラプソティの身を包み込んでいた天使装束はその姿を変えていく。神官が纏う羽衣のような、いで立ちであったのに、今や金属製の全身鎧へと変換されていく。
「これが私の新しい呪力。だが、これでは足らぬ。天使の血を私は欲してやまぬっ! アリス=アンジェラ。貴様の血を寄こせっ!!」
アンドレイ=ラプソティがそう裂帛の言葉を放つや否や、彼の肩が盛り上がり、金属製のパーツを弾き飛ばす。内側から爆ぜるように飛び出したのは新たな腕であった。アンドレイ=ラプソティは計4本の腕を持つことになる。そして、その先端にある4つの手にそれぞれ4色に輝く長剣を手にするや否や、未だ、周囲を覆う紅い短剣群の対処に追われていたアリス=アンジェラに肉薄していく。
「何者かの介入があったと推測シマス。しかしながら、ボクが創造主:Y.O.N.N様から与えられた使命は、天使であるアンドレイ=ラプソティ様を天界に連れ戻すことです。今の貴方ではありまセン!」
アリス=アンジェラは身を翻しながら、4本の腕で振り回されてくる4色に輝く長剣を躱してみせる。しかし、異様な存在と化したアンドレイ=ラプソティはアリス=アンジェラが自分の圧に負けたと思って、そのまま肉薄し続ける。4本の長剣で彼女の身を天使の羽衣ごと切り裂き、その腹を引き裂いて、その空いた穴に長剣を突き刺して、腹を内側から犯してやろうと思っていたのだ。
アンドレイ=ラプソティは4本ある長剣の内、2本を突きで繰り出す。アリス=アンジェラが身を翻すことで、その2本の長剣は地面を貫く。突きを躱されたアンドレイ=ラプソティは残りの2本の長剣を左右から内側へと振り回す。それを身をかがめることでアリス=アンジェラはまたしても躱してしまう。
アンドレイ=ラプソティはギリッ! と歯ぎしりし、口を大きく開く。その大きく開かれた口の奥から一条の光線が放たれる。アリス=アンジェラは両手を自分の顔の前で交差させ、光線の軌道を変えてしまう。視界を自らの手で塞いでしまったアリス=アンジェラであったが、自分の足元の地面が隆起するのを足裏で感じ取る。その場で大きく大空に跳躍したアリス=アンジェラは空中でバク転からの三回転半ひねりをしながら、地面に埋まっていた2本の長剣を躱してみせる。
しかし、アリス=アンジェラが地面に着地する間際を狙って、余った2本の長剣を彼女に突き立てようとするのがアンドレイ=ラプソティであった。回避のみで対処してきたアリス=アンジェラがついに両足を用いて、突き立てられた2本の長剣を左右の足からの2連撃で蹴り上げることになる。
しかしながら、アンドレイ=ラプソティの膂力は異常も異常であった。蹴り上げられた2本の長剣を間髪入れずに上から下へと振り下ろしてきたのだ。アリス=アンジェラは体勢が整わぬままに、その2本の長剣に切り裂かれそうになる。
アリス=アンジェラは体勢が崩れているのを逆手に取り、身体をくるりと回転させて、右足の踵で振り下ろされきた2本の長剣の内の1本の腹を蹴り飛ばし、もう1本の長剣の腹とぶつけてみせる。起動を逸らされた2本の長剣はアリス=アンジェラの身体の右側をかすめるようにしながら、鍬のように地面を掘ることになる。
アリス=アンジェラは覚悟を決める。多少、アンドレイ=ラプソティを傷つけることになっても、彼を止める方向へと動きを見せたのだ。左手を鈎爪状態にして、アンドレイ=ラプソティの右胸にぶつける。しかしながら、アンドレイ=ラプソティが身体に纏っている銀色と紫色が交じり合う全身鎧には傷ひとつ付けられなかった。
アリス=アンジェラが出来たことは、今の掌底打ちでアンドレイ=ラプソティを数歩、後退させることだけであった。逆に痛みを感じたのはアリス=アンジェラのほうであり、アリス=アンジェラはだらりと左腕を地面の方へと向けることこになる。
「傷ひとつつけることが出来ないと豪語してくれたな!? その言葉をそっくりそのまま返してやるっ! お前如きが生まれ変わった私に傷ひとつ付けれると思っているのか!!」
「おっしゃる通りデス。ボクはアンドレイ=ラプソティ様を舐めていました。今のボクではアンドレイ=ラプソティ様に傷ひとつ付けることは出来ません。これはボクの願い通りであると同時に、ボクが手詰まりになってしまっているということデス」
「ならばどうする!? 私はお前を殺す気満々だっ! 貴様は私を殺すつもりはないのかっ!?」
アリス=アンジェラは痛む左腕を右手で抑えながら、防戦一方となっていた。アリス=アンジェラの至上命題は『天使のアンドレイ=ラプソティを天界に戻す』ことである。それゆえに異常な状態へと移行しているアンドレイ=ラプソティをどうするべきなのかを未だに決めかねていた。しかし、その逡巡するアリス=アンジェラに一切の加減など不要と言いたげにアンドレイ=ラプソティは4本ある腕の先にある手に持つ長剣でアリス=アンジェラを切り刻もうと、執拗に攻撃を繰り出し続けた。
アンドレイ=ラプソティは産声をあげる。片膝をついたまま、顔と両腕を天に向ける。アンドレイ=ラプソティの両目はギラギラと輝き、ついには天が真っ赤に染まる。しかし、実際にはアンドレイ=ラプソティの両目に縦横無尽に血が充満し、彼の視界を真っ赤に染め上げたのだ。だが、アンドレイ=ラプソティが真に欲するのは視界ではなく、実際にこの世を紅く染め上げることである。だからこそ、地上に幸せを運ぶはずの天使では無く、悪魔として地上に不幸の雨を降らせる側になろうと心に誓ったのだ。
そして天に突きあげた両腕の先にある両手で天界自体を地上に堕とそうとしたのだ。しかし、今はまだその呪力はアンドレイ=ラプソティには無い。だからこそ、アンドレイ=ラプソティは呪力を欲した。天界を実際に地上界へと落とすための呪力をだ。
アンドレイ=ラプソティが願えば願うほど、身体と心の奥底から呪力が溢れ出す。背中から生える6枚羽から発せれていた銀色の鱗粉は薄汚れていく。今や、銀色と紫色が混じり合った色へと変わる。それと同時にアンドレイ=ラプソティの身を包み込んでいた天使装束はその姿を変えていく。神官が纏う羽衣のような、いで立ちであったのに、今や金属製の全身鎧へと変換されていく。
「これが私の新しい呪力。だが、これでは足らぬ。天使の血を私は欲してやまぬっ! アリス=アンジェラ。貴様の血を寄こせっ!!」
アンドレイ=ラプソティがそう裂帛の言葉を放つや否や、彼の肩が盛り上がり、金属製のパーツを弾き飛ばす。内側から爆ぜるように飛び出したのは新たな腕であった。アンドレイ=ラプソティは計4本の腕を持つことになる。そして、その先端にある4つの手にそれぞれ4色に輝く長剣を手にするや否や、未だ、周囲を覆う紅い短剣群の対処に追われていたアリス=アンジェラに肉薄していく。
「何者かの介入があったと推測シマス。しかしながら、ボクが創造主:Y.O.N.N様から与えられた使命は、天使であるアンドレイ=ラプソティ様を天界に連れ戻すことです。今の貴方ではありまセン!」
アリス=アンジェラは身を翻しながら、4本の腕で振り回されてくる4色に輝く長剣を躱してみせる。しかし、異様な存在と化したアンドレイ=ラプソティはアリス=アンジェラが自分の圧に負けたと思って、そのまま肉薄し続ける。4本の長剣で彼女の身を天使の羽衣ごと切り裂き、その腹を引き裂いて、その空いた穴に長剣を突き刺して、腹を内側から犯してやろうと思っていたのだ。
アンドレイ=ラプソティは4本ある長剣の内、2本を突きで繰り出す。アリス=アンジェラが身を翻すことで、その2本の長剣は地面を貫く。突きを躱されたアンドレイ=ラプソティは残りの2本の長剣を左右から内側へと振り回す。それを身をかがめることでアリス=アンジェラはまたしても躱してしまう。
アンドレイ=ラプソティはギリッ! と歯ぎしりし、口を大きく開く。その大きく開かれた口の奥から一条の光線が放たれる。アリス=アンジェラは両手を自分の顔の前で交差させ、光線の軌道を変えてしまう。視界を自らの手で塞いでしまったアリス=アンジェラであったが、自分の足元の地面が隆起するのを足裏で感じ取る。その場で大きく大空に跳躍したアリス=アンジェラは空中でバク転からの三回転半ひねりをしながら、地面に埋まっていた2本の長剣を躱してみせる。
しかし、アリス=アンジェラが地面に着地する間際を狙って、余った2本の長剣を彼女に突き立てようとするのがアンドレイ=ラプソティであった。回避のみで対処してきたアリス=アンジェラがついに両足を用いて、突き立てられた2本の長剣を左右の足からの2連撃で蹴り上げることになる。
しかしながら、アンドレイ=ラプソティの膂力は異常も異常であった。蹴り上げられた2本の長剣を間髪入れずに上から下へと振り下ろしてきたのだ。アリス=アンジェラは体勢が整わぬままに、その2本の長剣に切り裂かれそうになる。
アリス=アンジェラは体勢が崩れているのを逆手に取り、身体をくるりと回転させて、右足の踵で振り下ろされきた2本の長剣の内の1本の腹を蹴り飛ばし、もう1本の長剣の腹とぶつけてみせる。起動を逸らされた2本の長剣はアリス=アンジェラの身体の右側をかすめるようにしながら、鍬のように地面を掘ることになる。
アリス=アンジェラは覚悟を決める。多少、アンドレイ=ラプソティを傷つけることになっても、彼を止める方向へと動きを見せたのだ。左手を鈎爪状態にして、アンドレイ=ラプソティの右胸にぶつける。しかしながら、アンドレイ=ラプソティが身体に纏っている銀色と紫色が交じり合う全身鎧には傷ひとつ付けられなかった。
アリス=アンジェラが出来たことは、今の掌底打ちでアンドレイ=ラプソティを数歩、後退させることだけであった。逆に痛みを感じたのはアリス=アンジェラのほうであり、アリス=アンジェラはだらりと左腕を地面の方へと向けることこになる。
「傷ひとつつけることが出来ないと豪語してくれたな!? その言葉をそっくりそのまま返してやるっ! お前如きが生まれ変わった私に傷ひとつ付けれると思っているのか!!」
「おっしゃる通りデス。ボクはアンドレイ=ラプソティ様を舐めていました。今のボクではアンドレイ=ラプソティ様に傷ひとつ付けることは出来ません。これはボクの願い通りであると同時に、ボクが手詰まりになってしまっているということデス」
「ならばどうする!? 私はお前を殺す気満々だっ! 貴様は私を殺すつもりはないのかっ!?」
アリス=アンジェラは痛む左腕を右手で抑えながら、防戦一方となっていた。アリス=アンジェラの至上命題は『天使のアンドレイ=ラプソティを天界に戻す』ことである。それゆえに異常な状態へと移行しているアンドレイ=ラプソティをどうするべきなのかを未だに決めかねていた。しかし、その逡巡するアリス=アンジェラに一切の加減など不要と言いたげにアンドレイ=ラプソティは4本ある腕の先にある手に持つ長剣でアリス=アンジェラを切り刻もうと、執拗に攻撃を繰り出し続けた。
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