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冒険の収穫

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上から落ちてくる『あられ』はすぐに止まった。
もう廃坑になったとこだもんな。そんな残ってないか。


「すごいね。これ、掘れない場所の輝石を集める魔法陣だよ。これで確定した。ここはアサイー帝の初期の採掘場だ。」
「ってことは、これで全部か。」
「うん。最後は魔力を流しても、出てこなくなったしね。これだけ残ってるだけでも驚きだよ。」


オルが興奮したようにしゃべくりまくる。
じゃあ、あの石のランドセルも当時の本物ってわけだ。


にしても、ひまわりって魔法陣だったんだな。
これなら、種の収穫みたいに、一度に輝石を出しやすかったんだろう。


それがそのまま帝国のマークになったと。
じゃあ、このマークのデザインはアサイー帝か。


絵心は微妙だったみたいだな。
ひまわりはひまわりだけど、子供の絵だしな。これ。


きっと後の方で「もうちょっと頑張っとけば良かった。」とか思ったんだろうなあ。
いや、もしかしたら「良く書けた。頑張った。俺。」とか思ってたかも。


まあ、それはともかく、オルの騒ぎように他のメンバーも集まってきた。
また部屋が狭くなるな。


「あら~。また見つけたのぉ?って、ちょっとサイちゃん!その手に持ってるのって、輝石じゃなぁい!」
「おお。さすがサイ。やっぱ見つけてくれたか!」
「もしかして下に落ちてるのも全部か?お前、すげえな。」


副船長、ヤジスさん、ミランさんが入口で感心してる。
入ってこないのかと不思議に思えば、ヤジスさんとミランさんがしゃがんで輝石を広い集めていた。


結構部屋中に散らばったんだな。
あ。船長もオルも拾ってる。俺も拾うか。


副船長と他のメンバーは入口から中の様子に感心しながらも、当りの様子を伺ってるようだった。
もしかしたら、新しい装置の起動で何か罠が発動するかもしれないって思ってるのかもな。


どうせ、しゃがんでの作業だと全員は入れないし、役割分担で丁度いいだろ。
ついでに、拾いながらも俺の功績にされたら困るので、本当のことを言っておく。
変にプレッシャーかけられるようになるのはごめんだ。


「違いますよ。仕掛けを見付けたのは船長ですし、動かしたのはオルです。」
「あら。そうなのぉ。船長もオルも流石よねぇ。やっぱり知識が豊富って強いわぁ。」
「流石ですね。どんな仕掛けだったんですか?」


俺の話に、皆はすぐに納得してくれた。
きっとこれまでも、こうやって隠されたお宝を発見したことがあるんだろう。


「言っとくけど、動かすスイッチはサイが見つけたんだからね?いくら仕掛けがあるってわかっても、とっかかりが無いとどうしようもないんだから。」
「あらぁ。やっぱりサイちゃんのお手柄じゃない。」
「たまたま手を付いたら、岩が動いたんですよ。ほんと、偶然で…。たぶん、アサイー帝が俺と同じくらいの体格だったんだと思います。」


オルの余計なひと言で、また俺に注目が集まる。
勘弁してくれ。これ以上ハードル上げられたら、胃がやられちまう。


「そう言えば、アサイー帝は小柄な人物で有名だったね。その強さと見た目のギャップで初めて謁見した者は驚いたとか。」
「成る程なあ。ってことは、帝国初期の遺跡はサイ連れてけば、丁度いいスケールになるかもな。」


あ。別の意味でダメージが。
小柄じゃねーよ。俺は普通だ。


アサイー帝もきっとそう主張したに違いない。
っていうか、ヤジスさん、スケール扱いは酷いっす。
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