異世界で海賊始めました

探検の始まり

窓から見える紅い海、雲一つない空が広がって、これ以上ないくらいの絶景だ。
風もないけどな。


「ちっ。」


船長が凶悪な顔しながら、酒を飲む。
前の時もこんなだったな。


空になった杯にすかさず酒を注ぐ。
早く風が吹いてくれねえかな。


目的地になかなか着かねえんだよな。
船長の機嫌がどんどん悪くなる。


レッドキャッスルから東にずっと向かっていくと、交通の要衝になっている少し大きい島があって、そこから南に小さな三角の島がある。
そこに青の洞窟があるらしい。


今回はその洞窟の探検と、アサイー帝が残したものを探すのが目的だ。
船長には、アサイー帝のメッセージは伝えてある。


船長の返事は「そうか。」だけだったけどな。
まあ、船長ならエルフに会ったら、注意くらいはしてくれんだろ。多分。


コンコンコン


「船長？ヤジスです。風が出てきました。」


ヤジスさんだ。
風が出てきたのか。助かった。


「よし。甲板に出る。」


俺の注いだ酒を飲み干すと、ニヤリと笑って立ち上がった。
肉食獣の笑い方だよな。


「サイ。いくぞ。」


痛で、いでででで。
行きます。行きますよ。